内出血(血腫)ってどんなもの?
概要
血腫(けっしゅ)は、血管が破れて血液が血管の外に漏れ、皮膚の下や体の組織の中でたまって固まったものです。ぶつけたときにできる「あざ(青あざ)」も、血腫のひとつです。体のどこにでもできますが、皮膚のすぐ下、おしりの筋肉の中、頭の中、おなかの中などにできることがあります。多くの血腫は時間とともに体に吸収されて消えていきます。
重要な事実
- 血腫は「血液が血管の外に漏れて、組織の中にたまった状態」で、あざもその一種です。
- 軽い打ち身でできる小さな血腫は、数日から数週間で自然に色が変わりながら消えていくことがほとんどです。
- 頭を強く打ったあとや、腫れがどんどん大きくなる場合は、早めの受診が必要になることがあります。
とてもよくある状態です。ドアに手をぶつけた、転んだ、注射を打ったなど、日常のちょっとしたことで誰にでも起こります。
子どもから高齢者まで、どの年代でも起こります。特に、転びやすい高齢の方、スポーツをする方、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬や抗血小板薬など)を飲んでいる方、出血しやすい体質や持病のある方によくみられます。
症状
- 頭を強く打ったあと、意識がもうろうとしている、または意識を失った
- けいれんが起きた、何度も吐いている、ろれつが回らない、手足が動かしにくい
- 突然の激しい腹痛、おなかの張り、冷や汗、ぐったりしている
- 顔色が青白い、呼吸が苦しい、冷や汗が止まらない(体の中で大量に出血している可能性)
- 腫れがどんどん大きくなり、手足がしびれる、動かしにくい、感覚がなくなる
- ⚠腫れや痛みが強く、日を追うごとに悪化している
- ⚠ぶつけた場所が赤く熱を持ち、発熱もある(感染の可能性)
- ⚠傷口からの出血がなかなか止まらない、血が止まりにくい
- ⚠頭をぶつけたあと、軽い頭痛や吐き気が続いている
一般的な症状
- ぶつけた場所が腫れる、盛り上がる
- 押すと痛む、触ると熱く感じる
- 皮膚の色が赤や紫になり、数日かけて青、緑、黄色、茶色へと変化する
- 時間がたつと、しこりのように硬く触れることがある
- 体を動かすと痛む、違和感がある
子供の症状
- 転んだり走り回ったりして、すねや膝にあざができやすい
- 子どものあざは目立ちますが、多くは1〜2週間ほどで色が薄くなって消えます
- 頭を打ったあとは、機嫌が悪い、元気がない、繰り返し吐く、視線が合いにくいなどの様子の変化に注意してください
高齢者の症状
- 皮膚が薄くなり血管ももろくなるため、軽くぶつかっただけでも大きなあざになりやすい
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合は、出血が広がりやすい
- 頭をぶつけたときは、症状が出るまでに時間がかかることがあるため、本人が元気そうでも注意して見守ってください
原因
主な原因
- 転倒や打撲、スポーツ中の衝撃など、外からの力で血管が傷つく
- 注射や採血、点滴のあと(針を抜いた場所から内出血することがあります)
- 手術や出産のあと
- 筋肉の強い引っ張りや使いすぎ(筋肉の中にできる血腫)
- はっきりした原因が思い当たらないのに、あざが増えることがある
リスク要因
- 血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)を飲んでいる
- 高齢で皮膚や血管がもろくなっている
- 肝臓の病気などで血液が固まりにくい状態がある
- 生まれつき出血しやすい体質や、血が止まりにくい持病がある
- アルコールを多く飲む習慣がある
- スポーツや仕事で体をぶつける機会が多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 頭を打ったあとに、意識の変化、繰り返す嘔吐、激しい頭痛、手足の動きにくさがある(すぐに救急要請を)
- 腫れが急速に大きくなっている、痛みがどんどん強くなっている
- 腫れている部分の手足がしびれる、動かしにくい、色が白っぽい
- 発熱や赤み、熱感があり、感染が心配される
- 出血が長く続く、血が止まりにくい
定期受診を予約すべき場合:
- あざが2週間以上たってもよくならない、または大きくなっている
- 特にぶつけた覚えがないのに、あざが増えていく
- 同じ場所にしこりが残っていて気になる
- 見た目や痛みが日常生活の妨げになっている
診断
多くは、お話をうかがい、見た目と触った感じで診断できます。「いつ、どこを、どのようにぶつけたか」「血液を固まりにくくする薬を飲んでいないか」などを確認します。腫れの場所や症状によっては、中にどれくらい血液がたまっているかを見るための検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 診察(腫れの大きさ、硬さ、皮膚の色、押したときの痛みを確認)
- 超音波検査(体の内側にたまった血液の量や位置を見る)
- 血液検査(血が止まりやすいか、貧血がないかなどを調べる)
- 頭を打った場合や神経の症状がある場合の画像検査(CTなど)
- 必要に応じて、たまった血液を少量抜いて調べる検査
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、痛みを伴う検査は多くありません。経過を見るために、数日後にもう一度受診をお願いされることがあります。症状の変化をメモしておくと、診察のときに役立ちます。
治療
小さな血腫の多くは、特別な治療をしなくても体に吸収されて自然に治ります。大切なのは、できたばかりの頃は冷やして安静にし、腫れが落ち着いてきたら様子を見ながら日常の活動に戻していくことです。腫れが大きい場合や痛みが強い場合、神経を圧迫している場合には、医療機関での処置が必要になることがあります。
自宅でのセルフケア
- できたばかりの頃は、氷や保冷剤をタオルで包んで患部を冷やす(一度に15〜20分ほど、皮膚を直接冷やさない)
- 患部を心臓より高く上げると、腫れが抑えられます
- 無理に動かさず、痛みのない範囲で安静にする
- 痛みが強いときの市販薬の使用は、かかりつけ医や薬剤師に相談してからにする
- あざの色や大きさの変化を、写真に撮って記録しておくと安心です
- 腫れが引いてきたら、無理のない範囲で少しずつ体を動かす
医療治療
医療機関では、腫れの程度や場所に応じて、たまった血液を注射器で抜く処置や、出血を止めるための処置、腫れを抑えるための治療などが行われることがあります。痛みに対しては、その方の状態に合わせた方法が選ばれます。どの治療が適切かは、医師が状態を確認して判断します。
手術が検討される場合
血腫が大きい、神経や血管を圧迫している、頭の中やおなかの中にできた、痛みや動きの制限が強いといった場合には、血液を取り除くための手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、画像検査などの結果をもとに医師が判断します。
この病気と共に生きる
血腫ができた直後は、見た目が目立ったり痛みがあったりして気になりますが、多くの場合は少しずつ落ち着いていきます。仕事や家事は、痛みのない範囲で無理なく続けて構いません。あざの色が日ごとに変わっていくのを確認しながら、焦らずに過ごしてください。
生活習慣のアドバイス
- 同じ場所を繰り返しぶつけないよう、家具の角や段差に気をつける
- スポーツをするときは、必要に応じて防具やサポーターを使う
- 飲酒はほどほどにする(血が止まりにくくなることがあります)
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方は、自己判断で中断せず、必ず医師に相談する
- 気になる変化はメモや写真に残し、受診のときに伝える
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスのよい食事と水分をとり、腫れが落ち着いてきたら痛みのない範囲で軽い散歩やストレッチから再開するとよいでしょう。強い痛みが残っている間は、患部に負担のかかる運動は控えてください。
精神的健康と心の健康
見た目の変化や痛みが長引くと、「このままで大丈夫だろうか」と不安になることがあります。多くは自然に治るものですが、不安が続くときは一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の保健相談窓口に話してみてください。気持ちがつらくて眠れないなど、心の不調が続く場合も同じです。もし自分や家族の身に危険が及ぶような緊急の状況があれば、迷わず119番に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、工夫できることはあります。家の中の段差や物の配置を整えて転びにくくする、スポーツ時は防具を使う、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方はぶつけないよう特に気をつける、といったことが役立ちます。また、血圧や肝臓の健康を保つことも、出血しにくい体づくりにつながります。
検診プログラム
特にぶつけていないのにあざが増える、血が止まりにくいと感じる場合は、一度かかりつけ医に相談してみてください。出血しやすさの背景に別の病気が隠れていないかを確認することがあります。
合併症
治療しない場合
- 血腫が大きくなり、周りの神経や血管を圧迫して、しびれや動きにくさを引き起こすことがある
- たまった血液に細菌が入り、感染を起こすことがある(発熱や強い赤みがサイン)
- 出血量が多いと、貧血やだるさ、息切れにつながることがある
- しこりが残ったり、皮膚の色がしばらく残ったりすることがある
- 頭の中にできた場合は、意識や手足の動きに影響が出ることがある
長期的な見通し
多くの血腫は、時間とともに体に吸収され、1〜2週間で色が変わり、数週間から数か月で目立たなくなります。経過には個人差がありますが、適切に様子を見て必要なときに医療機関へ相談すれば、安心して回復を待つことができます。
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最終更新: 2026年10月24日
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