痔核(いぼ痔)の治療と日常生活での対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
痔核(じかく)は、おしりの肛門の周りにある血管のクッションがうっ血して腫れたり、いぼのように飛び出したりする状態です。一般的に「いぼ痔」とも呼ばれます。
重要な事実
- 痔核は非常によくある症状で、軽度であれば多くの場合、自宅での生活改善で良くなります。
- 痔核は感染症でもがんでもなく、適切な対処で改善できる良性の病気です。
- 実際には恥ずかしいと感じる方も多いですが、医療機関では多くの患者さんが診察を受けています。
とてもよくある症状です。成人のおよそ2人に1人がある時点で痔核を経験するといわれています。
子どもから高齢者まで幅広い年代で起こりますが、特に便秘がちな人、長時間座って仕事をする人、妊娠中の女性に多くみられます。
症状
- 多量の出血があり、目まいや立ちくらみ、意識がもうろうとする場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 激しい痛みに加えて、おなか全体の張りや重度の貧血(顔色が青白い、脈が速い)がある場合も救急対応が必要です。
- ⚠飛び出したいぼが戻らず、腫れや激しい痛みがある。
- ⚠出血が長時間止まらない。
- ⚠発熱を伴う強い痛みや違和感がある。
- ⚠排便のたびに痛みがあり、生活に支障をきたしている。
一般的な症状
- 排便のときに鮮やかな赤い血が便に付いたり、トイレットペーパーに血が付いたりする。
- 肛門の周りに痛みやかゆみを感じる。
- 肛門の外に柔らかいしこり(いぼ)がある。
- 排便後も便が残っているような感じ(残便感)がある。
子供の症状
- 子どもでは便秘によるいきみが原因になることが多く、便に血が混じったり、排便を嫌がったりすることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では筋肉の衰えや運動不足、便秘が重なり痔核が起こりやすくなります。また、他の病気の症状と間違えないよう注意が必要です。
原因
主な原因
- 便秘や下痢のためにいきみ、肛門の血管に強い圧力がかかる。
- 長時間座りっぱなしで、肛門周辺の血流が悪くなる。
- 妊娠・出産による圧迫やホルモンの影響で血管が広がる。
- 重いものを持ち上げるときにいきんでしまう。
リスク要因
- 食物繊維が少なく、水分が不足した食生活。
- 便秘や下痢を繰り返している。
- 過度のアルコール、香辛料、コーヒーなどで肛門周辺の血流が変化する。
- 肥満や運動不足。
- 日常的に長時間座る仕事や生活。
- 家族に痔核の人がいる。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血量が多い、または繰り返す場合。
- 痛みが強く、市販の軟膏や座薬で改善しない場合。
- 飛び出したいぼが自分で戻せず、腫れがひどい場合。
- 発熱を伴う場合。
定期受診を予約すべき場合:
- 痔核の症状が1週間以上続く場合。
- 排便後にも血が混ざる場合。
- 便の形状や色が気になる場合。
- 妊娠中や出産後に症状が出た場合。
- 過去に痔の手術を受けたことがある場合。
診断
診察は、問診(生活習慣や症状の聞き取り)と、おしりの目視・触診から始まります。必要に応じて肛門内を観察する肛門鏡(こうもんきょう)などを使って詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 視診(おしりの状態を目で確認)
- 触診(指で肛門の中を確認)
- 肛門鏡検査(肛門の中を器具で観察)
- 大腸内視鏡検査(がんや炎症性腸疾患などとの区別が必要な場合に検討)
診察で予想されること
診察の前に、便秘の有無や症状がいつから出たか、日頃の食事や排便習慣などを整理しておくとスムーズです。診察は短時間で、多くの場合は特別な準備は必要ありません。
治療
治療は、症状の重さや生活への影響に応じて、生活習慣の改善→薬による治療→手術(またはこれに近い手技)の順に進みます。軽度から中等度の痔核は、自宅でのセルフケアと通院での薬物療法で改善することがほとんどです。
自宅でのセルフケア
- 水を多めに飲み、食物繊維(野菜、果物、海藻、きのこ類など)を十分に摂って便をやわらかく保つ。
- 排便時にあまり強くいきまない。トイレは短時間で切り上げる。
- 毎日、ぬるめのお湯に10分~15分ほどつかる(座浴)ことで血行を促し、痛みを和らげる。
- 肛門を清潔に保ち、トイレの後は刺激の少ない湿らせたティッシュやぬるま湯で洗う。
- 長時間座っている場合は、1時間ごとに立ち上がって歩く。
- 冷やしすぎや温めすぎに注意し、締め付けの強い下着やジーンズを避ける。
医療治療
医療機関では、痔核の炎症や痛み、かゆみを和らげるための塗り薬(軟膏)、坐薬(ざやく)、内服薬などが処方されることがあります。便通を整える薬も併用されることがあります。使用する際は、医師や薬剤師の説明に従い、自己判断で使用をやめたり混ぜたりしないでください。
手術が検討される場合
重度の場合や、生活改善と薬物療法で効果が不十分な場合には、痔核をゴムで縛って取る結紮療法(けっさつりょうほう)や、痔核を切除する手術が検討されます。手術の必要性は専門医が症状や痔核の種類、進行度を確認して決めます。
この病気と共に生きる
痔核は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。普段からトイレの習慣や食事に気を配ることで、症状の悪化を防ぎながら暮らすことができます。
生活習慣のアドバイス
- トイレは我慢しない。便意を感じたらすぐに行く。
- 1日1回、決まった時間に軽い運動(ウォーキングなど)をする。
- 仕事や家事で座りっぱなしのときは、タイマーをかけてこまめに休憩する。
- おしりを清潔にする習慣を続ける。
- ストレスをためず、十分な睡眠をとる。
- アルコールや刺激の強い食べ物は、症状があるときは控えめにする。
食事と運動
便秘を防ぐため、1日1.5リットル程度の水を目安にこまめに水分をとり、野菜、果物、豆類、海藻、きのこなどを積極的に食べましょう。また、おなか周りの血流を良くするために、ウォーキングや軽い腹筋運動、おしりを引き締める運動などを無理のない範囲で続けることが大切です。急激な運動や重い物を持ち上げる行為は避けてください。
精神的健康と心の健康
デリケートな場所の病気であるため、「人に相談しにくい」と感じる方は少なくありません。恥ずかしさから受診をためらうと、症状が悪化したり、別の病気を見逃したりする可能性もあります。医療機関では、痔の悩みは日常的によくあることで、診察は丁寧かつ短時間に行われます。気軽に相談してください。
予防
痔核は完全に防ぐことは難しいですが、生活習慣を整えることで発症や再発のリスクを大きく減らすことができます。
検診プログラム
便潜血検査や大腸内視鏡検査は、痔核と似た症状(出血など)がある場合に、大腸がんや炎症性腸疾患と区別するために行われることがあります。痔核の診断後も、重篤な病気のサインを見逃さないために、医師の勧めに従って定期的な検診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 出血が長期間続くと、貧血になるときがあります。
- 痔核が肛門の外に飛び出たまま戻らなくなることがあります(脱肛)。
- 痔核の中に血栓ができると、強い痛みと腫れを伴うことがあります(血栓性痔核)。
- まれに、痔核が破れて大量に出血することがあります。
長期的な見通し
痔核は、適切な治療と生活改善によって、ほとんどの場合良くなります。がんに変化することはありません。症状に合わせて治療を選択すれば、再発を防ぐことも十分可能です。不安や疑問は、遠慮なく医療機関に相談しながら進めていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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