痔(じ)の症状があるとき、受診のタイミングとセルフケア
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
痔とは、肛門のまわりや直腸の静脈がふくらんで、はれたり痛んだりする状態です。いわゆる「いぼ痔」とも呼ばれます。肛門の外側にできる外痔核と、内側にできる内痔核があります。
重要な事実
- 痔はとてもよくある症状で、多くの人が一生のうちに一度は経験します。
- ほとんどの痔は重症ではなく、自宅でのケアで改善します。
- まれに、すぐに医師の診察が必要なサインがあります。この記事で説明します。
はい、非常によくある症状です。成人のおよそ3人に1人が経験するといわれています。
大人なら誰でもなる可能性がありますが、特に50歳以上の人、妊娠中の女性、慢性的な便秘や下痢を繰り返す人に多くみられます。
症状
- 大量の出血があり、止まらない場合
- めまいや冷や汗、意識がもうろうとするなど、出血による貧血が疑われる場合
- 激しい痛みが突然起こり、歩くのもつらい場合(血栓性外痔核の可能性)
- 肛門から出た部分が戻せず、色が黒っぽく変わってきた場合(嵌頓痔核)
- 発熱や肛門周囲の赤み、腫れが強くなり、感染が疑われる場合
- ⚠出血が続く、または排便のたびに出血する
- ⚠痛みが強く、自宅でのケアでは改善しない
- ⚠内痔核が脱出して、指で押しても戻らない
- ⚠市販薬を使っても1週間以上症状がよくならない
- ⚠血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を服用している方で出血がみられる
- ⚠排便習慣が急に変わったり、便が細くなったり、体重が減ったりするなど、大腸の病気が心配な症状がある場合
一般的な症状
- 排便時の出血(トイレットペーパーに鮮やかな赤い血がつく)
- 肛門のかゆみや不快感
- 肛門の周りの腫れやしこり
- 排便時の痛みや圧迫感
- 肛門から何かが出ている感じ(脱出)
子供の症状
- 子どもでもまれに痔になることがあります。便秘が主な原因で、症状は大人と同様に出血や痛み、かゆみなどがみられます。
高齢者の症状
- 高齢になると痔のリスクが高まります。肛門を支える組織が弱くなることや、長年の便秘、座っている時間が長いことなどが関係します。症状は同じですが、他の肛門の病気(直腸脱など)と間違えやすいため、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
原因
主な原因
- 排便の際に強くいきむこと(便秘や下痢)
- 長く座っていること(トイレで長時間座る、デスクワークなど)
- 妊娠と出産による骨盤内の圧力上昇
- 重いものを持ち上げる動作の繰り返し
- 加齢による肛門周囲の組織の弱まり
リスク要因
- 家族に痔の経験者が多い
- 肥満や体重の増加
- 食物繊維の少ない食事
- 運動不足や座りっぱなしの生活スタイル
- 肝臓の病気などでお腹に水がたまる状態(腹水)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が多く、止まらない場合や、めまい・冷や汗をともなう場合
- 突然の激しい痛みが肛門に起こった場合
- 脱出した部分が硬く黒ずみ、戻せない場合
- 肛門の周りが赤く腫れて熱を持ち、発熱がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 少量の出血でも、毎回の排便で続いている場合
- 痛みやかゆみ、違和感が1週間以上続き、市販のケアでは改善しない場合
- 脱出が繰り返されるようになった場合
- 痔だと思っていたが、他の病気(大腸がんなど)が心配な場合。特に40代後半以降で初めての出血は大切な検査のきっかけです。
診断
医師はまず、詳しい症状や生活習慣についてお聞きします。そのあと、肛門と直腸の診察を行います。診察は短時間で済みます。
行われる可能性のある検査
- 視診:肛門の外側を目で見て確認します
- 直腸指診:医師が指で直腸内を触って、しこりや出血の有無を調べます
- 肛門鏡検査:小さな筒状の器具を肛門に入れて、直腸の中を直接観察します
診察で予想されること
診察の前に、リラックスできるよう説明があります。少し違和感があるかもしれませんが、強い痛みは通常ありません。何か心配なことがあれば、遠慮なく医師に伝えてください。場合によっては、大腸全体を調べる検査(大腸内視鏡)をお勧めすることもあります。
治療
治療の基本は、症状を和らげ、便秘を防いで痔の悪化を食い止めることです。多くの場合は自宅でのケアで十分ですが、症状が続く場合は医師による処置や手術が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 1日2~3回、ぬるめのお湯に10~15分間つかる(座浴)
- 排便後にやさしく洗い、ゴシゴシこすらない
- 氷をタオルで包んで患部に当て、腫れを引かせる
- 市販の痔のクリームや軟膏を、説明書をよく読んで使用する(ただし長期間の連用は避ける)
- 便秘を防ぐために、水分を十分にとり、食物繊維を多く食べる
- 便意を我慢せず、トイレでいきまない
- 長く座ることを避け、適度に立ち上がって動く
医療治療
医師の治療には、薬の処方のほか、外来でできる小さな処置(ゴム輪結紮術や硬化療法など)や、外科的に切除する手術があります。これらの方法は、それぞれの痔のタイプや重症度によって選択されます。医師が最適な方法を説明し、一緒に決めていきます。どの治療も、痛みをできるだけ少なくする工夫がされています。
手術が検討される場合
自宅でのケアや外来処置で効果が不十分な重度の痔、例えば大きく脱出して戻りにくい場合や、何度も繰り返す場合、血栓が大きい場合などに手術が検討されます。
この病気と共に生きる
痔があっても、ほとんどの日常活動は続けられます。排便のリズムを整え、トイレに急がず、リラックスしてすませる習慣をつけましょう。痛みがあるときは、座布団や円形クッションを使うと楽です。
生活習慣のアドバイス
- 排便の際には決していきまず、息を自然に吐きながら出すようにしましょう
- トイレにスマートフォンや本を持ち込まない(長時間座り込むのを防ぐ)
- 座り仕事の人は、1時間に1度は立ち上がって歩く
- 重いものを持ち上げるときは、膝を使い、一気に力を入れない
- 規則正しい生活で、便秘や下痢を防ぐ
食事と運動
食事では、野菜、果物、全粒穀物、豆類など食物繊維が豊富なものを積極的にとりましょう。1日1.5〜2リットルの水分をこまめに飲むことも大切です。適度な運動(ウォーキングなど)は腸の動きを助け、便秘の予防になります。
精神的健康と心の健康
痔はデリケートな場所の症状のため、恥ずかしさや不安から一人で悩んでしまうことがあります。しかし、非常にありふれた症状であり、あなたが特別なわけではありません。必要以上に落ち込んだり、外出を控えたりするほどであれば、一度医師に気持ちを話してみてください。
予防
はい、生活習慣を整えることで痔になりにくくすることができます。便秘を防ぎ、肛門に負担をかけないことが何よりの予防です。
検診プログラム
痔そのもののスクリーニング検査は一般的ではありませんが、40歳を過ぎたら定期的な大腸がん検診を受けることが推奨されています。痔と似た症状の陰に他の病気が隠れていないか確かめる意味でも、検診は大切です。
合併症
治療しない場合
- 慢性的な出血による貧血(だるさ、息切れなど)
- 外痔核の内部に血のかたまり(血栓)ができ、激しい痛みを起こす
- 内痔核が脱出したまま戻らなくなり、血行が悪くなる(嵌頓)
- まれに、肛門周囲の感染をおこす
長期的な見通し
痔は適切にケアすれば、ほとんどが数日から数週間でよくなります。再発することもありますが、そのたびに対処法は同じです。治療が必要になっても、効果的な方法がたくさんありますから、不安に思わず、前向きに取り組んでください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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