アブ(虻)に刺されたときの対処
概要
アブは、夏に川辺や林、キャンプ場などに多く見られる、ハエの仲間の中でも大柄な虫です。人を刺すのは主にメスのアブで、卵を作るために動物の血が必要なため、皮膚を鋭い口で切り開くようにして血を吸います。そのため、蚊のように「チクッ」とするのではなく、はっきりとした強い痛みを感じるのが特徴です。刺された部分は赤く腫れ、かゆみや熱感が出ることが多く、たいていは数日から1週間ほどで自然に落ち着きます。
重要な事実
- アブの刺し傷は痛みが強く、赤み・腫れ・かゆみが数日続くことが多いですが、多くは自宅での手当てで回復します。
- 傷口を清潔に保ち、掻かないことが大切です。掻き壊すと細菌が入り、とびひ(皮膚の感染症)につながることがあります。
- 息苦しさ、のどの腫れ、全身のじんましん、めまいなどの症状が出たら、アレルギー反応の可能性があるため、すぐに救急車(119)を呼んでください。
はい。日本では6月から9月ごろ、水辺や山あいのアウトドア活動中に比較的よく起こります。虫よけを使っていても刺されることがあり、決して珍しいことではありません。
子どもから高齢者まで、屋外で過ごす時間が長い人なら誰でも刺される可能性があります。特に川遊び、釣り、キャンプ、登山、農作業などをする人が刺されやすくなります。
症状
- 息が苦しい、ゼーゼーする、のどが締めつけられる感じがする
- 顔やまぶた、唇、のどが急にはれ上がる
- 全身にじんましんが広がる
- めまい、ふらつき、立っていられない、意識がぼんやりする
- 脈が速く弱い、冷汗が出る、顔色が青白い
- 子どもがぐったりしている、反応が鈍い
- ⚠刺された部分の赤みやはれが、翌日以降どんどん広がっている
- ⚠傷口から膿(うみ)が出る、黄色いかさぶたができる
- ⚠38℃以上の発熱がある、または寒気がする
- ⚠痛みが日に日に強くなる、ズキズキして眠れない
- ⚠赤い筋が刺し痕から心臓に向かって伸びている
- ⚠手や足など、刺された場所より先が大きくはれて動かしにくい
一般的な症状
- 刺された瞬間の強い痛み(蚊よりも強く感じることが多い)
- 刺し痕を中心とした赤み、はれ、熱感
- かゆみ、ときにズキズキする痛み
- 小さな出血や傷あと(アブは皮膚を切り開いて血を吸うため)
- はれが数日かけて広がり、その後おさまる
- 刺された場所によっては、腕や脚のリンパ節が少し腫れて痛む
子供の症状
- 皮膚がやわらかいため、はれが大人より大きく広がりやすい
- 痛みやかゆみで泣いたり、不機嫌になったりすることがある
- かゆくて掻き壊し、傷口から細菌が入りやすい
- 小さな子どもでは、まれに全身のアレルギー反応が起こることがあるため、様子をよく観察する
高齢者の症状
- 皮膚が薄く、はれや赤みが目立ちやすい
- 糖尿病や免疫の働きが弱まっている場合は、傷口の感染に注意が必要
- 血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使っていると、刺し痕からの出血が止まりにくいことがある
- 痛みやかゆみを我慢してしまい、悪化してから気づくことがあるため、早めの手当てが大切
原因
主な原因
- アブのメスが血を吸うために、皮膚を切り開いて咬むこと
- アブの唾液に含まれる成分に対する体の反応が、赤み・はれ・かゆみを引き起こすこと
- 掻き壊した傷口から細菌が入り、二次的な感染を起こすこと
リスク要因
- 6月〜9月の暖かい季節、特に日中
- 川、湖、池、田んぼ、湿地など水のある場所の近くにいる
- キャンプ、釣り、川遊び、登山、農作業などの屋外活動
- 汗をかいたままにしている、香水や整髪料の強い香りをつけている
- 黒や濃い色の服装(アブは暗い色に集まりやすいとされる)
- 動き回ったり、急に走ったりする(動くものに引き寄せられやすい)
- これまでにアブやハチなどに刺されてアレルギー反応が出たことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- respiratory: 息苦しさ、のどの違和感、声が出しにくい
- 全身のじんましん、顔や口のまわりのはれ、めまい、意識がぼんやりする
- 高熱、悪寒、傷口から膿が出る、赤みが急速に広がる
- 痛みやはれが強く、日常生活に支障がある
定期受診を予約すべき場合:
- かゆみや赤みが1週間以上続く
- 刺し痕がなかなか治らず、かさぶたや硬いしこりが残る
- 刺されたことで不安が強く、自分で判断するのが心配なとき
- 子どもや高齢者で、はれが広範囲に及んでいる
診断
診察では、いつ・どこで刺されたか、そのときの様子、症状の経過を聞き、刺し痕と皮膚の状態を目で見て確認します。多くの場合はこれだけで判断でき、特別な検査は必要ありません。
行われる可能性のある検査
- 通常は検査なしで診察のみ
- 感染が疑われる場合は、血液検査や傷口の細菌検査を行うことがある
- 強いアレルギー反応が疑われる場合は、医師の判断でアレルギー関連の検査を検討することがある
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、服をまくって刺された部分を見せられるようにしておくとスムーズです。症状の経過をメモしておくと、医師に伝えやすくなります。
治療
基本は、傷口を清潔に保ち、はれを冷やし、掻かないことです。多くの場合はこれで自然に治まります。感染や強いアレルギー反応がある場合は、医療機関での処置が必要になります。
自宅でのセルフケア
- 刺されたら、まず流水と石けんでやさしく洗う
- 清潔なガーゼやタオルで軽く押さえて、出血があれば数分間圧迫する
- 氷や冷たいタオルを布で包み、10〜15分ほど冷やす(直接当てない)
- 掻かない。爪を短く切り、子どもには絆創膏やガーゼで覆うのも一案
- かゆみ止めの塗り薬や内服薬を使う場合は、年齢や体調に合うものを薬剤師・医師に相談する
- 刺された日は激しい運動や飲酒を控え、はれが広がらないか様子を見る
- 症状の変化(赤みの範囲、熱、痛み)を毎日確認する
医療治療
医療機関では、傷口の洗浄と処置、必要に応じて感染を防ぐための治療や、かゆみ・アレルギー反応をやわらげる治療が行われます。症状や年齢、持病に合わせて医師が判断するため、自己判断で薬を選ばず、必ず相談してください。
手術が検討される場合
通常は手術は必要ありません。ごくまれに、化膿が深く広がった場合などに、医師の判断で処置を行うことがあります。
この病気と共に生きる
刺された当日から数日は、患部を清潔で乾いた状態に保ち、締めつける服や装飾品を避けると楽になります。かゆみは夜に強く感じやすいので、寝るときは掻かない工夫をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 屋外に出るときは、長袖・長ズボンで肌の露出を減らす
- 虫よけを使い、汗をかいたら拭き取る
- キャンプや川遊びのあとは、体に虫が付いていないか確認する
- 刺された部分は日焼けを避け、色素沈着が長引かないようにする
- 子どもには「掻かない」ことをやさしく伝え、絆創膏などで守る
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスのよい食事と十分な睡眠は、皮膚の回復を助けます。刺された直後は激しい運動や長風呂、飲酒を控えめにすると、はれや充血が悪化しにくくなります。
精神的健康と心の健康
虫に刺されるのは誰にでも起こることです。とはいえ、痛みやはれが続くと不安になったり、外出がこわくなったりすることがあります。子どもが怖がっているときは、無理に屋外活動を続けさせず、安心できる声かけをしてください。つらさが続くときは、ひとりで抱えず、かかりつけ医や地域の相談窓口に話してみてください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、刺される可能性を大きく減らすことはできます。肌を出さない服装、虫よけの使用、水辺での注意が効果的です。
ワクチン
アブの刺し傷を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
特定の検査によるスクリーニングはありません。
合併症
治療しない場合
- 掻き壊した傷口から細菌が入り、とびひや蜂窩織炎(ひふの深いところまでの感染)になることがある
- はれが広がり、痛みで日常生活がつらくなる
- 刺し痕が黒ずんだり、硬いしこりとして残ることがある
- まれに、全身のアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こすことがある
長期的な見通し
アブに刺された多くは、適切な手当てで数日から1週間ほどで自然に回復します。傷あとが少し残っても、時間とともに目立たなくなっていくことが多いです。感染のサイン(赤みの拡大、膿、発熱)に気をつけて、早めに相談すれば安心です。
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最終更新: 2026年10月24日
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