Hospital acquired pneumonia awareness
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
院内肺炎(いんないはいえん)は、病院に入院中に新しくかかる肺炎のことです。肺炎は肺に炎症が起きる病気で、咳や発熱、呼吸困難などの症状があります。入院中は体の抵抗力が弱まっていることが多く、細菌などが肺に入りやすくなることが原因です。
重要な事実
- 入院してから48時間以上たって発症する肺炎を院内肺炎と呼びます。
- 院内肺炎は、入院中に新たに起こる感染症の中で最も多いものの一つです。
- 予防には手洗いや口腔ケア、ベッドの頭を上げることなどが大切です。
院内肺炎は、入院患者さんの中で比較的多く見られる感染症です。特に、集中治療室(ICU)や手術後の患者さん、呼吸器を使っている患者さんで発生しやすいとされています。
院内肺炎は、入院中のどの患者さんでもかかる可能性がありますが、特に高齢の方、免疫力が低下している方(がん治療中や臓器移植後など)、呼吸器(人工呼吸器)を使用している方、手術後で体の動きが制限されている方に多く見られます。
症状
- 呼吸が止まりそうで、息ができない
- 唇や顔の色が青白い、または紫色になっている
- 意識を失っている、または反応がほとんどない
- ⚠呼吸がとても苦しそうで、話すのもつらい
- ⚠胸の痛みがひどい
- ⚠高熱(39度以上)が続いて下がらない
- ⚠咳や痰に血が混じる
- ⚠ぐったりして食事や水分がまったく取れない
一般的な症状
- 発熱(38度以上の熱が出ることが多い)
- 咳(痰(たん)を伴うことが多い)
- 呼吸が苦しい、息切れがする
- 胸の痛み(特に深呼吸や咳をしたとき)
- 全身のだるさ、食欲がなくなる
子供の症状
- 熱が高い
- 咳が続く
- 呼吸が速い、またはゼーゼーと音がする
- 元気がなく、ぐったりしている
- ミルクや食事をあまりとらない
高齢者の症状
- 熱があまり高くならないこともある
- ぼんやりする、意識がぼんやりする
- 食欲が落ちる
- 体がだるくて動きたがらない
- 元々の病気(認知症など)の症状が悪化したように見える
原因
主な原因
- 細菌(特に院内で見られる薬が効きにくい菌)が原因になることが多い
- ウイルスや真菌(カビの一種)が原因になることもある
- 口の中の細菌が誤って気管に入り込む(誤嚥:ごえん)ことで起こることが多い
リスク要因
- 高齢(65歳以上)
- 人工呼吸器を使用している
- 手術後でベッドに寝たきりの状態が続く
- 免疫力が低下している(抗がん剤治療中、ステロイド長期使用、臓器移植後など)
- 糖尿病や心不全、慢性肺疾患などの持病がある
- 入院期間が長い
- 以前に抗生物質をたくさん使ったことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しくて息ができない
- 顔色が青白い、唇が紫色
- 意識がぼんやりしている、または反応が弱い
定期受診を予約すべき場合:
- 熱が続いている(37.5度以上が2日以上)
- 咳や痰が増えた、息苦しさを感じる
- 体のだるさが強くて食事や水分が取れない
診断
院内肺炎の診断は、症状の確認と検査結果をもとに行います。医師が聴診器で肺の音を聞き、血液検査やレントゲン検査で肺炎の有無を調べます。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査:肺に影がないか確認します。
- 血液検査:炎症の程度や原因菌を調べます。
- 痰(たん)の検査:痰を採取して原因となる菌を調べます。
- パルスオキシメータ:指先に挟んで血液中の酸素の量を測ります。
診察で予想されること
医師が症状を聞いたり、聴診器で肺の音を聞いたりした後、必要に応じてレントゲンや血液検査を受けます。痛みを伴う検査はほとんどありません。痰の検査は、深く咳をして痰を出していただくことがあります。結果が出るまで数時間から数日かかることもありますが、治療は検査結果を待たずに始められることが多いです。
治療
院内肺炎の治療は、原因となる細菌を抑える薬(抗菌薬)を中心に行います。入院中であるため、症状に合わせて酸素吸入や点滴などの処置も行われます。
自宅でのセルフケア
- 医師や看護師の指示に従い、安静に過ごす
- しっかり水分をとる(飲める範囲で)
- 口の中を清潔に保つ(歯磨きやうがいをする)
- 痰が出る場合は、ためらわずに出す
医療治療
治療の中心は抗菌薬の点滴や内服です。どの抗菌薬を使うかは、原因菌の種類や患者さんの状態によって医師が判断します。酸素が足りない場合は酸素吸入を行います。呼吸が苦しい場合、呼吸を助ける機械(人工呼吸器)を使用することもあります。症状が重い場合は、集中治療室(ICU)で管理されることもあります。
手術が検討される場合
院内肺炎に対する手術はほとんど行われませんが、ごくまれに肺に膿(うみ)がたまった場合などをドレナージ(管を入れて膿を出す処置)することがあります。
この病気と共に生きる
院内肺炎の治療中は、安静が第一です。体力を回復させるために、しっかり休みましょう。医師や看護師と相談しながら、少しずつ体を動かすことを始めることも重要です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(喫煙は肺炎のリスクを高めます)
- 口の中の清潔を保つ(毎日の歯磨きと口腔ケア)
- 予防接種(インフルエンザや肺炎球菌ワクチン)を受ける
- 栄養バランスの良い食事を心がける
食事と運動
治療中は消化の良いものを少しずつ食べるようにしましょう。回復後は、バランスの良い食事と無理のない範囲での運動(散歩など)が体力回復に役立ちます。ただし、具体的な食事や運動は医師や管理栄養士に相談してください。
精神的健康と心の健康
入院中の病気は不安やストレスが大きいものです。特に呼吸が苦しいと恐怖を感じることもあります。そんな時は、一人で抱え込まずに医療スタッフや家族に気持ちを話してください。必要に応じて、カウンセリングや精神科のサポートを受けることもできます。
予防
院内肺炎は完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げる方法はたくさんあります。医療機関では、感染予防のルール(手洗い、消毒、マスクなど)が徹底されています。患者さん自身も、口の中の清潔を保つ、ベッドの頭を上げる、できる範囲で体を動かすことなどが予防に役立ちます。
ワクチン
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンは、肺炎の予防に効果があるとされています。入院前や退院後に医師と相談して接種を検討するとよいでしょう。
検診プログラム
院内肺炎に特化したスクリーニング検査はありませんが、入院中は定期的に体温や呼吸の状態をチェックすることで早期発見につなげます。
合併症
治療しない場合
- 呼吸不全(肺で十分に酸素を取り込めなくなる)
- 敗血症(細菌が血液中に入り全身に広がる重い感染症)
- 肺に膿がたまる(膿胸:のうきょう)
- 長期間の治療が必要になる
長期的な見通し
院内肺炎は適切な治療を受ければ多くの方が回復します。特に早期に発見できれば、治療の効果も高く、後遺症が残ることはまれです。高齢の方や持病のある方でも、医療スタッフが全力でサポートします。希望を持って治療に取り組みましょう。
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最終更新: 2026年7月9日
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