病院でのケア(入院と療養)
概要
病院でのケア(入院)とは、けがや病気の治療、手術、検査、リハビリなどのために、病院に泊まって医療スタッフの観察を受けながら療養することです。通院(外来)だけでは難しい検査や治療を、安全に続けるための仕組みです。
重要な事実
- 入院中は、看護師や医師が毎日体温・血圧・脈などを測り、体の変化を早く見つけられるようにします。
- 入院の期間は数日から数週間など、病気や治療の内容によって大きく変わります。
- 入院の説明、費用、面会、退院後の生活などについて相談できる窓口が、多くの病院に用意されています。
入院は決して特別なことではありません。人生のどこかで入院を経験する人は多く、出産、手術、肺炎や心臓の病気の治療などで入院することがあります。
年齢を問わず、こどもから高齢者まで誰にでも起こりえます。特に高齢の方、慢性の病気を持っている方、大きな手術を受ける方は入院する機会が多くなります。
症状
- 意識がない、または呼びかけても反応が弱い
- 呼吸が苦しそうで、話すのもつらい
- 胸を強く押さえつけるような痛みが続く
- 大量の出血が止まらない
- けいれんがとまらない、または意識を失ってけいれんした
- 顔や手足の片側が動かない、ろれつが回らない(脳卒中のサイン)
- ⚠38度以上の熱が2〜3日続く
- ⚠水分がとれず、トイレの回数が減っている
- ⚠痛みがだんだん強くなっていく
- ⚠けがのあとに腫れや変形がある
- ⚠いつもと違う強いだるさが続き、日常生活が難しい
一般的な症状
- 高い熱が続く、または熱が下がったり上がったりを繰り返す
- 強い痛みが続き、市販の痛み止めを使っても楽にならない
- 食事や水分がとれない、何度も吐く、下痢が続く
- 息苦しさや動悸(心臓がどきどきする感じ)がある
- だるさが強く、起き上がるのがつらい
- けがで出血が続く、骨折が疑われる
- 医師から手術や詳しい検査、入院をすすめられた
子供の症状
- ぐったりして元気がなく、呼びかけへの反応が弱い
- 水分がとれず、おしっこの回数が少ない(脱水のサイン)
- 高い熱が続く、けいれんを起こした
- 泣き方が弱い、または泣き続けてあやしても落ち着かない
- 機嫌が悪く、ミルクや食事を飲み食べない状態が続く
高齢者の症状
- 急に元気がなくなる、ぼんやりする(せん妄=一時的な意識の混乱のことがあります)
- 食事をとらず、体重が減っていく
- 転んで立てない、歩けなくなった
- 息切れが強くなり、横になると苦しい
- 尿が出にくい、または発熱を繰り返す
原因
主な原因
- 手術や処置のあとの経過観察
- 肺炎、心臓の病気、脳の病気などの急な病気の治療
- 糖尿病などの慢性の病気が悪くなったときの治療
- 集中的な観察や詳しい検査が必要なとき
- 出産と産後のケア
- リハビリテーション(体力や動きを取り戻す訓練)
- 骨折ややけどなどのけがの治療
リスク要因
- 高齢であること
- 心臓病、糖尿病、腎臓病、呼吸器の病気などの慢性疾患がある
- 治療や病気の影響で免疫(体を守る力)が弱っている
- 大きな手術を受ける予定がある
- 一人暮らしで、自宅での療養が難しい
- 妊娠・出産の時期である
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に息苦しくなった、胸が痛い
- 意識がもうろうとする、会話がかみ合わない
- 出血が多く止まらない
- 高い熱と強いぐったり感がある
- 転倒してから立てない、動かせない
定期受診を予約すべき場合:
- 数日続く熱や痛みがある
- 食欲がなく、体重が減っている
- 医師から手術や入院の説明を受けた
- 退院後に体調の変化を感じた(退院時の説明書を確認する)
- 入院や費用、退院後の生活について相談したいことがある
診断
入院が必要かどうかは、問診(症状やこれまでの病気を聞くこと)、体の診察、検査の結果を合わせて医師が判断します。緊急の場合は救急外来で、そうでない場合は外来で検査を行い、入院の日取りを決めることがあります。
行われる可能性のある検査
- 体温・血圧・脈・呼吸数・血液中の酸素の測り(バイタルサイン)
- 血液検査・尿検査
- レントゲン、CT、MRI、超音波検査などの画像検査
- 必要に応じて内視鏡検査など
診察で予想されること
入院が決まったら、病棟の看護師から入院生活の説明(食事、面会、持ち物、お金、携帯電話の使い方など)があります。入院中は毎日、体調の確認と治療が行われ、退院のめどや退院後の過ごし方についても説明があります。分からないことは遠慮なく質問してよい場です。
治療
病院でのケアは、治療そのものだけでなく、痛みをやわらげる、栄養や水分を整える、体を動かす力を保つ、安心して過ごせるようにする、といったことを組み合わせて進めます。医師、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリの担当者、医療相談員などがチームで支えます。
自宅でのセルフケア
- 痛み、眠れない、食べられないなど、症状や不安をスタッフに伝える
- 処方された薬について、わからないことは薬剤師に確認する
- 可能な範囲で体を動かす(ベッドの上で足を動かすなど)
- 面会や面談の時間を調整して、眠る時間を確保する
- 退院前の説明をメモに取り、家族と共有する
- 退院後に何かあったときの連絡先を確認しておく
医療治療
治療の内容は病気によって異なります。薬による治療、点滴、酸素、手術、リハビリ、栄養のサポートなどを組み合わせます。薬の種類や量は、病状や検査の結果を見ながら医師が決めます。服用中の薬や市販薬、サプリメントについては、入院時に必ずスタッフに伝えてください。
手術が検討される場合
手術が必要かどうかは、病気の種類や状態によって決まります。手術が提案されたときは、目的、ほかの選択肢、予想される経過、入院期間、リスクについて説明を求め、納得してから決めるとよいでしょう。別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。
この病気と共に生きる
入院中は、決まった時間に食事・服薬・検査・リハビリがあり、生活のリズムが整います。一方で、慣れない環境で疲れやすく、眠りが浅くなることもあります。持ち物や面会のルールを事前に確認し、必要なものを準備しておくと安心です。退院後は、説明された過ごし方(食事、運動、通院の予定)を守りながら、少しずつ元の生活に戻していきます。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとる
- 入院中もできる範囲で体を動かす
- 水分をこまめにとる
- 家族や友人と連絡をとる
- 退院後の通院日をカレンダーに書いておく
- 家の中の段差や手すりなど、安全面を確認しておく
食事と運動
入院中は、病気に合わせた食事が出ることがあります(塩分や糖分を控えめにする、やわらかい食事にするなど)。入院中も、ベッドの上で手足を動かす、可能なら廊下を歩くなど、体を動かすことが体力を保つ助けになります。退院後の食事や運動については、管理栄養士やリハビリの担当者に相談できます。
精神的健康と心の健康
入院すると、不安、さびしさ、いらいら、眠りにくさを感じることがあります。これは自然な反応で、多くの人が経験します。気持ちがつらいときは、看護師や医師、医療相談員に話してみてください。話すことで楽になることがあります。つらさが強いときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに周りのスタッフに伝えるか、地域の相談窓口や救急に連絡してください。
予防
すべての入院を防ぐことはできませんが、入院が必要になるきっかけの一部は減らせます。手洗い・換気・十分な睡眠、持病の治療を続けること、健診を受けること、予防接種を受けることが助けになります。また、入院中は手洗い、歯みがき、できる範囲の運動、気になることは早めにスタッフへ相談することが、合併症を防ぐことにつながります。
ワクチン
年齢や持病に応じて、インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹などのワクチンが勧められることがあります。妊娠中の方や持病のある方は、かかりつけ医に相談して予定を立てましょう。
検診プログラム
日本では、健康診断やがん検診について自治体や勤務先から案内があります。決まった年齢になったら案内を確認し、必要に応じて受診しましょう。検診は、入院が必要になる前に病気を見つける助けになります。
合併症
治療しない場合
- 入院が必要な状態を放置すると、病気が進み、治療が大変になることがあります
- 入院中に体を動かさないことで、筋力が落ちることがあります
- 長時間同じ姿勢でいることで、皮膚のトラブル(褥瘡=床ずれ)ができることがあります
- 病院の中で感染症にかかることがあります
- 環境の変化で、一時的に意識が混乱する(せん妄)ことがあります
長期的な見通し
入院は、回復のための時間です。多くの方は治療とリハビリを経て退院し、生活に戻っていきます。入院中に気になることは早めにスタッフへ伝え、退院後の生活についても前もって相談しておくことで、回復の道のりがスムーズになります。心配なことがあれば、一人で抱えずに医療者や家族と共有してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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