大腸ストーマ(人工肛門)の手術の流れ
概要
大腸ストーマ手術は、大腸の一部を腹部の皮膚の外に出して、便の新しい出口をつくる手術です。肛門は使わないか、一時的に休ませます。出てきた便は、腹部に貼る袋(パウチ)にたまります。ストーマは「人工肛門」と呼ばれることもあります。
重要な事実
- ストーマは腹部の皮膚に小さな開口部をつくる手術です
- 一時的なストーマと、永久的なストーマがあります
- 手術前にストーマの位置を決め、手術後は専門スタッフと一緒にケアを学びます
大腸の手術が必要な人の中では比較的よく行われる手術ですが、すべての人が受けるわけではありません。
大腸がん、憩室炎、炎症性腸疾患、腸閉塞、外傷、便失禁などで治療が必要な人。小児ではまれです。
症状
- 命に関わる症状があるときは、ためらわずに119番へ連絡してください
- 強い腹痛と腹部の張りが急に悪化し、吐き気や嘔吐を伴う
- ストーマが黒色、紫色、暗赤色に変色している
- ストーマから大量の出血がある、または出血が止まらない
- 高熱とぐったりした状態が続く
- 意識がもうろうとする、失神する、息苦しい、胸が痛い
- ⚠手術後に38度以上の発熱が続く
- ⚠手術の傷やストーマ周囲に赤み、腫れ、膿のようなものがある
- ⚠ストーマが腫れて痛む、または飛び出して戻らない
- ⚠便もガスも出ず、腹痛や嘔吐が続く
- ⚠水分が取れず、尿が少ない、ふらつく、口が渇く
- ⚠ストーマ周囲の皮膚が赤くただれて痛む、パウチが繰り返し漏れる
一般的な症状
- 排便が止まり、お腹の張りや腹痛が続く(腸閉塞のことがあります)
- 血便や便通の変化がある(大腸がんなどのことがあります)
- 発熱、下痢、腹痛が長く続く(炎症性腸疾患などのことがあります)
- 便やガスを肛門からうまく保てない(便失禁のことがあります)
- お腹のけがや手術の合併症で、腸を休ませる必要がある
子供の症状
- 小児ではまれですが、生まれつきの腸の病気や肛門の形成不全などで必要になることがあります
- 成長に合わせたケアと、家族へのわかりやすい説明が大切です
高齢者の症状
- 高齢者では、大腸がんや憩室炎、腸閉塞などで必要になることがあります
- 持病や体力、認知機能に合わせた支援と、脱水や転倒への注意が大切です
原因
主な原因
- 大腸がん
- 大腸の憩室炎
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
- 腹部の外傷や手術の合併症
- 肛門括約筋の働きが低下して便失禁がある場合
- 生まれつきの腸の病気
リスク要因
- 年齢が高い
- 大腸がんの家族歴
- 炎症性腸疾患
- 長期間の便通異常や大腸の病気
- 以前の腹部手術
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術後に38度以上の発熱が続く
- 傷やストーマ周囲の赤み、腫れ、膿のようなものがある
- ストーマからの出血が止まらない
- 便もガスも出ず、腹痛や嘔吐がある
- 水分が取れず、尿が少ない、ふらつく
定期受診を予約すべき場合:
- 手術前に不安や疑問がある
- パウチの交換や皮膚ケアで困っている
- 仕事、旅行、運動について相談したい
- 便の性状や回数が大きく変わった
- においや漏れが気になり、生活に困っている
診断
ストーマ手術は、原因の病気の検査と全身状態の評価を行ったうえで、手術が必要かどうかを医師が判断します。緊急の場合は、命を守るためにすぐ手術することもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査
- 腹部のコンピューター断層撮影検査
- 大腸内視鏡検査と組織の検査
- 腹部のレントゲン検査
- 腹部の磁気共鳴画像検査
- 心電図や胸部レントゲンなどの手術前チェック
- 栄養状態やこれまでの治療の確認
診察で予想されること
手術前に麻酔科の診察、絶食の指示、ストーマの位置の印付けがあります。手術後は病棟でパウチの扱いや皮膚のケアを練習し、退院後の生活について相談します。
治療
手術は全身麻酔で行われることが多く、腹部に小さな切開を複数つくる方法か、お腹を開く方法で行われます。大腸の端を皮膚の外に固定し、手術直後からパウチを装着します。原因の病気に応じて、一時的なストーマか永久的なストーマかを決めます。
自宅でのセルフケア
- 手術前の絶食や服薬の指示は必ず守る(自己判断で薬をやめない)
- 不安や疑問は事前に医師や看護師に伝える
- 手術後は無理のない範囲で歩き、体を動かす
- パウチの交換と皮膚の観察を習慣にする
- 水分をこまめに取り、脱水を避ける
- 術後早期は重い物を持たないなど、医師の指示を守る
医療治療
治療の中心は手術です。手術前後の栄養管理、痛みの管理、感染の予防、ストーマケアの指導を行います。必要に応じて、原因の病気の治療や合併症への処置も行います。使用する薬剤については医師や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
大腸がん、腸閉塞、大腸の穿孔、強い炎症、外傷、便失禁などで、肛門からの排便を保つことが難しいときに行われます。予定された手術のことも、緊急の手術のこともあります。一時的なストーマは、腸が回復した後に閉じられることがあります。
この病気と共に生きる
パウチは1~3日ごと、または漏れや張りを感じたときに交換します。便が半分くらいまでたまったら捨て、皮膚をやさしく洗ってよく乾かします。外出時は替えのパウチやウェットティッシュを持ち歩くと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 仕事や外出の前に、替えの用品と exchange の場所を確認しておく
- 服は締め付けが少なく、ストーマを圧迫しにくいものを選ぶ
- 旅行では、必要な用品を多めに持ち、飛行機では手荷物に入れる
- においが気になるときは、消臭用品や密閉できる袋を使う
- 運動は医師の許可を得て、ウォーキングなどから始める
- 職場や学校には、必要な範囲で理解者に伝えておくと安心
食事と運動
よく噛んでゆっくり食べ、新しい食品は少しずつ試します。水分を十分に取り、ガスが出やすい食品は様子を見ながら食べましょう。術後早期は重い物を持たず、医師の許可を得て歩行や軽い運動を始めます。
精神的健康と心の健康
恥ずかしさ、悲しみ、不安を感じるのは自然なことです。生活に慣れるまで時間がかかることもあります。気持ちが追い詰められ、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療者や地域の緊急相談窓口、救急(119番)に助けを求めてください。
予防
ストーマ手術そのものを必ず防ぐ方法はありません。必要になる原因の病気を早く見つけて治療すること、生活習慣病を管理すること、大腸がん検診を受けることが大切です。
ワクチン
この手術に直接関係するワクチンはありません。手術前の体調管理や感染予防については医療者に相談してください。
検診プログラム
日本では、自治体が実施する大腸がん検診(便潜血検査など)が推奨されています。対象年齢や受診方法は、お住まいの自治体の案内や厚生労働省の情報を確認してください。
合併症
治療しない場合
- 原因の病気が進行し、腸閉塞や腸の穿孔、重い感染症を起こすことがあります
- ストーマ周囲の皮膚障害や、パウチの漏れが続くことがあります
- 脱水や栄養不足になることがあります
- ストーマの脱出、陥没、ヘルニアが起こることがあります
- 腸閉塞を起こすことがあります
長期的な見通し
多くの人はストーマケアに慣れ、仕事や趣味を続けています。最初は不安でも、専門スタッフの支援を受けることで生活の工夫が見つかります。定期的な受診と皮膚の観察を続けましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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