睾丸(精巣)のセルフチェックのしかた
概要
睾丸(精巣)のセルフチェックとは、自分で陰嚢(いんのう=睾丸を包むふくろ)を触って、しこりや腫れ、硬さの変化がないかを定期的に確認する方法です。病気を診断するものではありませんが、ふだんの状態を知っておくことで、変化に早く気づきやすくなります。
重要な事実
- 月に1回、温かいお風呂のあとなど、陰嚢がやわらかくなっているときに行うと確認しやすいです。
- 片方ずつ、両手の指でそっと転がすように触り、1〜2分で終わります。強く押したり、つまんだりしないでください。
- 左右で大きさや形が少し違うのはふつうのことです。ただし、新しいしこりや硬い部分、急な腫れや痛みがあれば医療機関に相談してください。
セルフチェックは特別な道具もいらず、誰でも行えます。睾丸の変化の多くはがんではありませんが、若い世代では精巣(せいそう)がんが比較的多いため、ふだんから気にかけることが役立ちます。
主に10代後半から30代の男性で多いとされますが、子どもから高齢者まで、どの年齢でも変化は起こります。精巣捻転(せいそねんてん=睾丸がねじれる急病)は年齢を問わず起こります。
症状
- 突然の激しい睾丸の痛みで、吐き気や嘔吐をともなう(精巣捻転の可能性があり、緊急の処置が必要です)
- 陰嚢を強く打ったあと、急に大きく腫れて痛みが強い
- 痛みで立っていられない、意識がぼんやりする、高熱と陰嚢の赤い腫れが急に進む
- ⚠新しいしこりや硬い部分に気づいた
- ⚠陰嚢の腫れや痛みが数日続く
- ⚠発熱と陰嚢の赤み・腫れがある(感染の可能性)
- ⚠おしっこの痛みや分泌物がある
一般的な症状
- 睾丸や陰嚢に、押しても痛くないしこりや硬い部分がある
- 片方の陰嚢が腫れている、重く感じる
- 睾丸の大きさや形が以前と違う
- 下腹部や陰嚢の鈍い痛み、違和感が続く
- 陰嚢の皮膚が赤い、熱っぽい
- おしっこをするときの痛みや違和感(炎症のことがあります)
子供の症状
- 陰嚢が急に腫れる、泣き止まないほどの痛み
- 痛みで歩きたがらない、吐く
- おむつ替えのときに陰嚢を痛がる
- 陰嚢の中にふくらみがあり、泣くと大きくなる(鼠径(そけい)ヘルニアのことがあります)
高齢者の症状
- 陰嚢が重い、大きくなる(陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)などのことがあります)
- 立ち仕事のあとに陰嚢がだるい(精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)のことがあります)
- 新しいしこりや硬さに気づく
- おしっこの悩みと一緒に、陰嚢の違和感を感じる
原因
主な原因
- ふつうの体の違い(左右差や、血管・副睾丸(ふくたいがん=睾丸の後ろの小さな器官)のふくらみ)
- 精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)や副睾丸炎など、細菌やウイルスによる炎症
- 精巣捻転(睾丸がねじれて血の流れが悪くなる)
- 陰嚢水腫(水がたまる)、鼠径ヘルニア(おなかの一部がふくらむ)
- 精索静脈瘤(睾丸につながる静脈がふくらむ)
- けが(スポーツや事故)
- 精巣腫瘍(しこりができることがある)
リスク要因
- 10代後半から30代の男性
- 生まれたときに睾丸が下りてきていなかった(停留精巣)既往
- 家族に精巣がんの人がいる
- 性感染症(クラミジアなど)にかかったことがある(炎症のリスク)
- スポーツなどで陰嚢を打つ機会が多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい睾丸の痛み、吐き気・嘔吐がある → ためらわず救急へ(日本では119番)
- 陰嚢の急な腫れ、赤み、発熱
- けがのあとの強い痛みや腫れ
- 痛みで歩けない、おしっこが出ない
定期受診を予約すべき場合:
- 新しいしこりや硬い部分に気づいた
- 腫れや重さが2週間以上続く
- 左右の大きさの違いが急に目立つ
- 下腹部や陰嚢の違和感が続く
診断
まず問診と診察で、いつから、どんな変化があるかを確認します。医師が陰嚢をそっと触って硬さや腫れをみて、必要に応じて超音波(エコー)検査や血液検査を行います。痛みはほとんどなく、短時間で終わることが多いです。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診(医師が陰嚢を触って確認)
- 超音波(エコー)検査:ゼリーをぬって、痛みなく調べます
- 血液検査:炎症や腫瘍マーカーを調べることがあります
- 尿検査:感染がないかを調べます
- 必要に応じてCTやMRIなどの画像検査
- 疑いがある場合は泌尿器科の専門医に紹介
診察で予想されること
診察は数分から十数分程度で、恥ずかしさはあるかもしれませんが、医師は慣れています。緊張するときは「恥ずかしいので配慮してほしい」と伝えて大丈夫です。結果によっては、数日後に再検査や専門医の受診を案内されることがあります。
治療
治療は原因によって変わります。多くの場合は良性で、様子をみるだけでよいこともあります。炎症なら安静と適切な治療、ねじれなら緊急の処置、腫瘍なら専門的な治療が行われます。自己判断で市販薬を試す前に、まず医療機関に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 月1回、お風呂のあとなどにセルフチェックを行う
- 強く押したり、つまんだりしない
- 陰嚢をぶつけないよう、スポーツではサポーターを使う
- 下着は通気性のよいものを選び、締めつけすぎない
- 痛みや腫れがあるときは激しい運動や自転車を控える
- 性感染症予防のため、コンドームを使う
- 気になる変化をメモしておき、受診時に伝える
医療治療
原因に合わせて、炎症には抗菌薬(細菌が原因の場合)や痛みをやわらげる治療、ねじれには緊急の処置、ヘルニアや水腫には必要に応じて手術が行われます。腫瘍の場合は、手術や薬物療法、放射線療法などを組み合わせることがあります。具体的な薬の名前や量は、医師の判断で決まります。
手術が検討される場合
精巣捻転は時間との勝負で、緊急に手術が必要になることがあります。鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、精索静脈瘤、精巣腫瘍なども、状態によって手術が検討されます。手術が必要かどうかは、検査結果をみながら医師と相談して決めます。
この病気と共に生きる
セルフチェックを月1回の習慣にし、変化があれば早めに相談する。これだけで十分なことが多いです。毎日何度も触って確認する必要はありません。過度に心配しすぎず、ふだんの生活を楽しみながら、体の声に耳を傾けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 喫煙をしない、受動喫煙を避ける
- お酒はほどほどに
- コンドームを使い、性感染症を予防する
- スポーツ時は陰嚢を守るサポーターを使う
- 睡眠を十分にとる
- 気になることを一人で抱えず、話せる人に話す
食事と運動
特定の食べ物が精巣の病気を防ぐという確かな証拠はありません。バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠が体全体の健康を支えます。陰嚢に違和感があるときは、ランニングや自転車など振動の強い運動を一時的に控えると楽になることがあります。
精神的健康と心の健康
しこりに気づくと、不安で眠れなくなったり、何度も確認したくなったりすることがあります。不安は自然な気持ちです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療機関に話してください。つらい気持ちが続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談を。緊急の場合は日本では119番に電話してください。
予防
精巣の病気すべてを防ぐことはできませんが、セルフチェックで変化に早く気づくこと、性感染症を防ぐこと、喫煙を避けること、けがを防ぐことが役立ちます。厚生労働省も、気になる症状があれば早めに医療機関へ相談することを勧めています。
ワクチン
HPVワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)が関係するがんや性感染症の予防に役立ちますが、精巣がんを直接防ぐものではありません。接種については、かかりつけ医や自治体の案内を確認してください。
検診プログラム
日本では精巣がんのための国の検診(スクリーニング)は行われていません。月1回のセルフチェックと、気になる変化があったときの受診が大切です。
合併症
治療しない場合
- 精巣捻転は血の流れが悪くなり、睾丸を失うことがある(時間が大事)
- 炎症や感染が広がることがある
- 腫瘍の場合、見つけるのが遅れると治療の選択肢が限られることがある
- 不安や恥ずかしさから受診が遅れ、心の負担が大きくなることがある
長期的な見通し
多くの変化は良性で、心配しすぎることはありません。精巣がんは、特に早く見つかった場合の治療成績がよいとされるがんで、若い世代でも治療後にふだんの生活を続けている人がたくさんいます。迷ったら早めに相談する。それがいちばんの安心につながります。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月24日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.