HPV自己採取検査(セルフテスト)
概要
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、皮膚と皮膚がふれ合うことでうつる、とてもありふれたウイルスです。100種類以上あり、そのうちの一部が子宮頸がんの原因になります。HPV自己採取検査(セルフテスト)は、自分で腟の中にやわらかい綿棒のような器具を入れてぬぐい液をとり、それを検査機関に送ってHPVがいるかどうかを調べる方法です。病院の診察台に上がらずに済むので、検診を受けるきっかけづくりとして注目されています。ただし、自己採取の検査は「自分で採取した検体でウイルスの有無を調べる」ものであって、病気かどうかを決めるものではありません。結果の意味は必ず医療者と一緒に確認してください。
重要な事実
- HPVは性交渉のある人の多くが一生のうちに一度は感染する、ごくありふれたウイルスです。
- 感染しても大半は免疫の力で1〜2年ほどで自然に消え、病気を起こさないことがほとんどです。
- 自己採取のHPV検査は、国が定める子宮頸がん検診の標準的な方法としてはまだ位置づけられておらず、研究や一部の医療機関で行われています。
- 検査で陽性(ウイルスが見つかった)でも、それがすぐ「がん」という意味ではありません。
HPVはとてもよくあるウイルスです。性交渉の経験がある人の多くが、生涯のどこかで感染するとされています。多くの場合は症状も出ず、気づかないうちに体から消えていきます。
主に性交渉のある人なら誰でも関係します。子宮頸がんの検診としての自己採取検査は、主に20歳以上の女性が対象になります。男性もHPVを持ちうるので、パートナーと一緒に考えることが大切です。
症状
- 大量の性器出血があり、ふらつく・意識が遠のく・顔色が悪い
- 下腹部の激しい痛みで動けず、冷や汗が出る
- 高熱と激しい下腹部痛が同時にあり、ぐったりしている
- ⚠性交渉のあとの出血が何度も続く
- ⚠月経以外の出血が続く、または量が増えてきた
- ⚠強い下腹部痛や発熱がある
- ⚠おりものに強いにおいや痛みを伴う
一般的な症状
- HPVに感染しても、ほとんどは症状がありません。
- 一部の型では、外陰部や肛門のまわりに小さないぼ(尖圭コンジローマ)ができることがあります。
- 子宮頸部の細胞が変化してくると、性交渉のあとの出血や、月経以外の出血が見られることがあります。
- おりものの量やにおいの変化が出ることがあります。
- これらの症状はHPV以外の原因でも起こるため、自己判断せず医療機関に相談してください。
子供の症状
- 子どもがHPVに感染することはまれで、通常は症状が出ません。
- まれに母体から赤ちゃんへうつることがありますが、ほとんどは問題なく経過します。
- 子どものデリケートな部位にいぼや違和感があるときは、まず小児科やかかりつけ医に相談してください。
高齢者の症状
- 50代以降でも、若いころに感染したHPVが長く残っていることがあります。
- 閉経後は、おりものや出血の変化を「年のせい」と決めつけず、気になったら受診してください。
- 年齢にかかわらず、決められた間隔での子宮頸がん検診を続けることが大切です。
原因
主な原因
- HPVは、性交渉を含む皮膚と皮膚のふれ合いによってうつります。
- コンドームは感染のリスクを下げますが、完全に防ぐことはできません(ふれ合わない部分もあるため)。
- ウイルスには多くの型があり、子宮頸がんに関わる型は「高リスク型」と呼ばれます。
- 感染しても、多くの人の体は免疫の力でウイルスを排除します。
リスク要因
- 喫煙(免疫の力が下がり、ウイルスが残りやすくなります)
- 免疫の働きが弱くなる状態(病気や治療によるもの)
- 子宮頸がん検診を長く受けていない
- パートナーの変更や複数のパートナーがいること(感染の機会が増えます)
- 長期にわたるストレスや睡眠不足など、体の抵抗力が落ちる生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自己採取の検査で陽性(高リスク型のHPVが見つかった)と言われた
- 性交渉のあとの出血や、月経以外の出血がある
- 下腹部の痛みや発熱がある
- 外陰部や肛門のまわりにできものやいぼができた
定期受診を予約すべき場合:
- 自己採取検査キットを使う前に、自分に合っているか相談したい
- 子宮頸がん検診をいつ受ければよいか確認したい
- HPVワクチンについて相談したい
- 検査結果の意味がよくわからず不安がある
診断
HPV自己採取検査では、自宅などで自分で腟の中のぬぐい液をとり、検査機関に送ります。検査では、細胞の中にHPVのDNAがあるかどうかを調べます。結果が陽性の場合は、子宮頸部の細胞が変化していないかを調べるために、医療機関での追加検査が必要になります。日本では、国の定める子宮頸がん検診の標準は医師による細胞診であり、自己採取はまだ標準ではありません。检查キットを選ぶ前に、かかりつけ医や自治体の検診窓口に相談することをおすすめします。
行われる可能性のある検査
- HPV DNA検査(自己採取の検体、または医療機関で採取した検体を使います)
- 細胞診(従来の子宮頸がん検診で、頸部の細胞を直接調べます)
- 異常が見られた場合のコルポスコピー(拡大して子宮頸部を観察する検査)
- 必要に応じて組織の一部をとって調べる生検
診察で予想されること
自己採取は痛みがほとんどなく、数分で終わります。多少の違和感や、器具に少し血がつくことはあります。結果はおおよそ1〜2週間で届くことが多いですが、検査機関によって異なります。陽性のときは追加検査の案内があるので、必ず受けてください。
治療
HPVそのものを消すための薬はありません。多くの場合は免疫の力で自然にウイルスが減っていきます。治療が必要になるのは、いぼ(尖圭コンジローマ)ができたときや、子宮頸部の細胞に前がん病変と呼ばれる変化が見られたときです。
自宅でのセルフケア
- 禁煙を心がける(喫煙はウイルスが残りやすくなる要因です)
- 十分な睡眠とバランスの良い食事で、体の抵抗力を保つ
- 強いストレスをため込まず、リラックスする時間をつくる
- コンドームを正しく使う
- 決められた間隔で検診を続ける
医療治療
ウイルス自体を直接やっつける治療薬はありません。いぼができた場合は、医療機関で凍らせたり光で焼いたりする処置が行われます。子宮頸部に前がん病変が見つかった場合は、変化の程度に応じて、定期的に経過を見る方法と、病変を取り除く処置が選ばれます。治療の内容は病変の程度や年齢、妊娠の希望などによって変わるため、医師とよく相談して決めてください。
手術が検討される場合
前がん病変の範囲が広い場合や、がんであった場合には、病変の部分を手術で取り除くことがあります。手術が必要かどうかは検査の結果で決まるため、必ず専門の医師の説明を受けてください。
この病気と共に生きる
HPVが見つかっても、日常生活を大きく変える必要はありません。結果に一喜一憂しすぎず、決められた検診の予定を守ることが大切です。気になる症状があれば、そのつど医療機関に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- タバコを吸う人は、禁煙を考えてみる
- お酒はほどほどに
- パートナーと検査結果や予防について話し合う
- 検診の予定をカレンダーに記録しておく
- 不安なときは、ひとりで抱えず信頼できる人や医療者に話す
食事と運動
特別な食事や運動療法があるわけではありませんが、免疫力を保つために、野菜やたんぱく質をバランスよくとり、軽い散歩やストレッチなど無理のない運動を続けることが役立ちます。
精神的健康と心の健康
「陽性」という結果は、驚きや不安、自分を責める気持ちを生むことがあります。しかしHPVはとてもありふれたウイルスで、あなたのせいではありません。気持ちがつらいときは、かかりつけ医や自治体の相談窓口、信頼できる人に話してください。もし強い不安や落ち込みが続き、日常生活が苦しいと感じる場合は、医療機関や地域の相談支援につながってください。緊急に気持ちが追い詰められたときは、ためらわず救急(119)や地域の緊急相談窓口を頼ってください。
予防
完全に防ぐことは難しいウイルスですが、ワクチンと検診、そして禁煙を組み合わせることで、リスクを大きく下げることができます。
ワクチン
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となる型の感染を防ぐのに役立ちます。日本では、小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に公費で受けられる定期接種が行われており、男子は任意接種(自治体によって助成がある場合があります)です。年齢や回数、時期については、厚生労働省の情報やかかりつけ医に相談して決めてください。
検診プログラム
日本では、20歳以上の女性に2年に1回の子宮頸がん検診がすすめられています(厚生労働省の指針)。自己採取検査は、まだ国の検診の標準ではありませんが、検診を受けるきっかけとして活用できる場合があります。自治体の検診案内を確認し、かかりつけ医に相談してみてください。
合併症
治療しない場合
- 高リスク型のHPVが長く残ると、子宮頸部の細胞が少しずつ変化し、前がん病変になることがあります。
- 前がん病変を放置すると、一部は子宮頸がんに進むことがあります。
- HPVは子宮頸がん以外に、中咽頭や肛門、外陰部、腟のがんに関わることもあります。
- いぼ(尖圭コンジローマ)ができた場合は、見た目や不快感の原因になります。
- 妊娠を希望する場合は、治療の内容によって妊娠・出産への影響が異なることがあるため、早めの相談が大切です。
長期的な見通し
ほとんどのHPV感染は自然に消え、病気を起こしません。検診を続け、変化があれば早く見つけて対処することで、子宮頸がんは防げるがんになっています。結果におびえるより、定期的な検診と医療者との相談を味方にしてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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