過剰歯(かじょうし)——歯がふつうより多くできる状態について
概要
過剰歯(かじょうし)とは、ふつうの本数より多く歯ができる状態のことです。乳歯(にゅうし・子どもの歯)は20本、永久歯(えいきゅうし・大人の歯)は親知らずを入れて28〜32本がふつうです。これより多く歯があると「過剰歯」と呼びます。多くは上の前歯のあいだにできて、歯ぐきの中やあごの骨の中に埋まったまま(埋伏過剰歯・まいふくかじょうし)見つかることもあります。歯そのものが悪いわけではなく、本数が多いという“生まれつきの特徴”のひとつです。
重要な事実
- 過剰歯は、歯の数がふつうより多いという状態で、多くは上の前歯のあいだにできます。
- 歯ぐきや骨の中に埋まったままで、見た目には分からないことも少なくありません。
- 多くの場合は無症状で、歯科検診のレントゲン写真で初めて見つかることがあります。
とても多いわけではありませんが、めずらしくもありません。永久歯ではおよそ100人に1〜3人くらいの割合で見られるといわれ、乳歯ではさらに少ないとされています。歯科医院での検診やレントゲンで見つかることが多いです。
症状
- 顔や首が大きく腫れて、息が苦しい、声が出しにくい
- 飲みこみができず、唾液も飲み込めない
- 高熱と顔の腫れが急に進んだ(緊急時は119番に連絡してください)
- ⚠歯ぐきがひどく腫れて強い痛みがある
- ⚠膿(うみ)が出ている、口の中が熱っぽい
- ⚠腫れや痛みで食事がとれない、眠れない
- ⚠発熱をともなう歯ぐきの腫れ
一般的な症状
- ほとんど症状がなく、レントゲンで偶然見つかることが多い
- 歯並びがずれる、歯と歯のあいだが広がる
- 歯の生え変わりが遅い、永久歯がなかなか生えてこない
- 歯ぐきが腫れたり、軽く痛んだりすることがある
- 隣の歯の根を押して、歯並びやかみ合わせに影響することがある
子供の症状
- 乳歯が抜けにくい、または時期が来ても抜けない
- 乳歯が抜けたのに、次の永久歯が生えてこない
- 前歯のあいだにすき間ができる、または逆に重なって生える
- 歯みがきのときに歯ぐきを痛がる
- 歯科健診で「歯の数が多い」と指摘される
高齢者の症状
- 大人ではほとんど無症状で、レントゲンで偶然見つかることが多い
- 入れ歯の調整や歯周病の検査のときに見つかる
- 長年気づかずに過ごしている場合も多い
- まれに、埋まっていた歯のまわりに袋(のう胞)ができて腫れることがある
原因
主な原因
- 歯の芽(歯胚・しはい)が生まれるときに、ふつうより多くできてしまうと考えられています
- 生まれつきの体のつくりによるもので、生活習慣が原因ではありません
- 遺伝との関係が指摘されることもありますが、はっきりとは分かっていません
リスク要因
- 家族に過剰歯や歯の数の異常がある人がいる
- 乳歯や永久歯の生え方に異常があると言われたことがある
- 口の中の先天異常(唇や口蓋の裂け目など)がある場合
- 歯の生え変わりが極端に遅い、または順番が大きく乱れている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 歯ぐきの腫れや痛みが強く、顔まで腫れてきた
- 膿が出ている、または発熱がある
- 口が開けにくい、飲みこみにくい、息が苦しい(この場合はためらわず119番)
定期受診を予約すべき場合:
- 子どもの歯の生え変わりが遅い、永久歯が生えてこない
- 前歯のあいだにすき間がある、歯並びが気になる
- 歯科健診や学校の健診で「歯が多い」「埋まっている歯がある」と言われた
- 乳歯がなかなか抜けない
診断
歯科医師が口の中を診察し、レントゲン写真を撮って確認します。歯の本数、埋まっている位置、まわりの歯との関係を調べます。必要に応じて、より詳しい画像検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 口の中の診察(歯の本数、生え方、歯ぐきの状態を確認)
- デンタルエックス線写真(一部の歯を詳しく見る)
- パノラマエックス線写真(口全体を一枚に写す)
- 必要に応じて歯科用CT(3Dの画像で位置を詳しく調べる)
診察で予想されること
診察とレントゲンは痛みがなく、短時間で終わります。画像を見ながら、歯科医師が「今すぐ治療が必要か、様子を見てよいか」を説明してくれます。子どもの場合は、歯の生え変わりに合わせて定期的に確認していくことが多いです。分からないことは遠慮なく質問しましょう。
治療
過剰歯の治療は、症状とまわりの歯への影響によって変わります。症状がなく、歯並びにも影響していなければ「経過観察(けいかかんさつ)」といって、定期的に診ていきます。まわりの歯を押している、生え変わりをじゃましている、袋(のう胞)ができているといった場合は、抜歯(摘出)を考えます。
自宅でのセルフケア
- 毎日の歯みがきで、歯と歯ぐきを清潔に保つ
- 子どもの歯みがきは、仕上げみがきで届きにくいところまで丁寧に
- 定期的に歯科医院で健診を受け、変化を早めに見つける
- 歯ぐきの腫れや痛みがあれば、がまんせず早めに受診する
- 治療方針について分からないことは、歯科医師に質問してメモしておく
医療治療
治療の中心は、経過観察と、必要に応じた抜歯(摘出)です。抜歯が必要なときは、歯の位置や子どもの年齢、協力体制に合わせて、局所の麻酔を用いた処置が検討されます。歯並びへの影響が大きい場合は、矯正歯科と相談しながら、抜歯の時期や矯正治療の順番を決めていきます。腫れや感染があるときは、まず炎症を落ち着かせる処置が行われます。具体的な方法や使うお薬については、担当の歯科医師から説明を受け、指示に従ってください。
手術が検討される場合
次のような場合に、抜歯(摘出)が検討されます。まわりの永久歯の生え方をじゃましている、歯並びを大きく乱している、隣の歯の根を押して吸収(溶かす)しかけている、袋(のう胞)ができている、繰り返し腫れや痛みがある、歯みがきがしにくくむし歯の原因になっている。位置が深い場合や子どもの場合は、全身管理が必要かどうかも含めて、担当医とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
過剰歯があっても、多くの人はふつうの生活を送れます。大切なのは、口の中の変化に気づけるようにしておくことと、定期的な歯科受診を続けることです。子どもの場合は、歯の生え変わりを一緒に観察してあげると安心です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の歯みがきと、歯間のケアを習慣にする
- 甘い飲み物やおやつの回数を意識して、だらだら食べを避ける
- 定期的な歯科健診の予定を、家族のカレンダーに入れておく
- 子どもの歯の生え変わりを記録しておくと、変化に気づきやすい
- たばこは歯ぐきの健康に悪影響があるため、吸う人は減らす・やめることを検討する
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスのよい食事と、よくかんで食べる習慣が、あごの発育や歯の健康に役立ちます。運動もふだんどおりで問題ありません。歯ぐきの腫れや痛みがあるときは、刺激の強い食べ物を控えめにすると楽になることがあります。
精神的健康と心の健康
見た目や治療のことが気になって、不安になる気持ちは自然なものです。とくに子どもの場合は、本人だけでなく家族も心配になることがあります。分からないことは歯科医師に聞いて、納得してから進めることが安心につながります。不安が強いときや気持ちがつらいときは、ひとりで抱えこまず、かかりつけ医や歯科医師、地域の保健センターなどの相談窓口に相談してください。気持ちが追いつめられて命に関わると感じたときは、ためらわず119番に連絡するか、近くの医療機関を受診してください。
予防
過剰歯は生まれつきの歯のつくりによるもので、生活習慣で防ぐことは難しいとされています。できることは「早く見つけて、必要なら早めに対応する」ことです。
検診プログラム
自治体が行う乳幼児健診(1歳6か月児健診、3歳児健診など)や、学校の歯科健診、歯科医院の定期健診が、早期発見の機会になります。厚生労働省も定期的な歯科健診をすすめています。気になることがあれば、次の健診を待たずに歯科医院で相談してよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 歯並びが乱れ、かみ合わせに影響することがある
- 永久歯の生えてくる時期が遅れる、または生えてこないことがある
- 埋まっている歯のまわりに袋(のう胞)ができて、腫れや痛みが出ることがある
- 隣の歯の根を押して、歯を弱らせてしまうことがある
- 歯みがきが届きにくくなり、むし歯や歯周病のリスクが上がることがある
長期的な見通し
過剰歯があるからといって、必ず大きな問題が起きるわけではありません。多くは、定期的な観察や必要な処置で、よい状態を保つことができます。早めに見つけて歯科医師と相談しておくことが、安心につながります。心配なことがあれば、遠慮なく歯科医院で相談してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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