母乳がたくさん出すぎるとき(乳汁過多)
概要
乳汁過多(にゅうしつかた)は、母乳が多く出すぎる状態のことです。乳房が張りやすく、母乳が勢いよく出て、赤ちゃんがむせたり、お母さんが痛みや疲れを感じたりすることがあります。多くは授乳期の一時的な困りごとで、授乳の工夫や支援で改善できます。
重要な事実
- 母乳の量には個人差があり、必要以上に多く出ることがあります。
- 赤ちゃんがむせる、乳房が張る、乳首が痛いなどの困りごとが起きます。
- 多くは一時的で、授乳の仕方を調整したり専門家に相談したりすることで落ち着きます。
授乳中の人によくみられる困りごとで、特に産後早期に多いです。多くは病気ではなく、授乳の調整で落ち着きます。
主に授乳中の人とその赤ちゃんに起こります。初めての授乳、授乳間隔が短い、搾乳(母乳をしぼること)を多くする人などに起こりやすいことがあります。
症状
- お母さんに高熱、悪寒、意識がもうろうとする、呼吸が苦しいなどの症状がある(ためらわず救急119に連絡)
- 乳房の赤みが急速に広がり、激しい痛みがある(救急119に連絡)
- 赤ちゃんがぐったりして母乳を飲めない、呼吸が苦しい、けいれんする、尿がほとんど出ない(救急119に連絡)
- ⚠乳房に赤み、熱感、強い痛み、しこりがあり、発熱もある(当日中に医療機関へ)
- ⚠乳首に深い傷や強い痛みがあり、授乳がつらい(できるだけ早く相談)
- ⚠赤ちゃんがほとんど母乳を飲めない、体重が増えない、元気がない(当日中に相談)
- ⚠生後3か月未満の赤ちゃんに発熱がある(すぐに医療機関へ相談)
一般的な症状
- 乳房が強く張る、硬く感じる
- 母乳が勢いよく出る、漏れやすい
- 赤ちゃんがむせたり、咳き込んだりする
- 授乳中や授乳後に乳首が痛む
- 赤ちゃんがおっぱいを嫌がる、すぐに離す
- 赤ちゃんが空気をたくさん飲み、げっぷやおならが多い
- お母さんの疲れ、睡眠不足、授乳への不安
子供の症状
- 母乳を飲むときにむせる、咳き込む
- 落ち着いて飲みにくく、すぐに離したり泣いたりする
- 空気を多く飲んで、おなかが張る、げっぷが多い
- うんちの回数が多い、ゆるいうんちが続く
- 体重の増え方が早い、またはむらがある
- 乳首を浅くくわえて、うまく飲めないことがある
高齢者の症状
- この状態は主に授乳期の人に起こるため、年長者に特有の症状はありません。年長の養育者が授乳する場合も、乳房の張りや痛みがあれば早めに相談してください。
原因
主な原因
- 母乳の分泌量にはもともと個人差があり、多く出やすい人がいます
- 授乳の回数が多い、搾乳を必要以上に続けることで、母乳がさらに作られやすくなることがあります
- 乳房の容量が大きい、母乳がたまりやすい
- 赤ちゃんの飲み方やくわえ方の影響
- 産後早期に母乳の分泌が活発になる時期の変化
リスク要因
- 初めての授乳で、授乳のリズムがまだ整っていない
- 搾乳を頻繁に行っている、または乳房を強くしぼりすぎている
- 授乳間隔がとても短い、または片方ずつゆっくり飲ませる時間が取りにくい
- 以前にも乳汁過多の経験がある
- 多胎( twins など)や、赤ちゃんの飲む量と分泌量のバランスが合いにくい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 乳房の赤み、熱感、強い痛み、しこりがあり、発熱もある
- 乳首に深い傷や強い痛みがあり、授乳が続けられない
- 赤ちゃんが母乳を飲めず、元気がない、尿が少ない、体重が増えない
- 生後3か月未満の赤ちゃんに発熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 乳房の張りや痛みが続き、日常生活がつらい
- 赤ちゃんのむせや咳き込みが続く
- 授乳のたびに乳首が痛む、傷ができやすい
- 母乳の量が多すぎて、外出や睡眠に影響が出ている
- 授乳の仕方に不安があり、専門家に相談したい
診断
診断は、問診と授乳の様子の観察が中心です。医師や助産師が、授乳の回数や時間、搾乳の量、赤ちゃんの飲み方や体重の変化、乳房の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 乳房の診察
- 授乳の様子の観察
- 赤ちゃんの体重測定
- 必要に応じて乳房の超音波検査
- 必要に応じて血液検査
診察で予想されること
診察では、授乳や搾乳の記録、赤ちゃんの様子、困っていることを聞きます。乳房を診て、必要なら検査を行います。事前にメモしておくと伝えやすいです。
治療
目標は、お母さんと赤ちゃんが無理なく快適に授乳できることです。母乳を急に止めるのではなく、分泌と飲む量のバランスを少しずつ整えていきます。
自宅でのセルフケア
- 乳房を冷やして張りをやわらげる(冷たいタオルなどで短時間)
- 授乳前に少しだけ搾って、母乳の勢いを弱める
- 搾乳は必要な分だけにして、しぼりすぎない
- 片方ずつ、赤ちゃんのペースでゆっくり飲ませる
- 赤ちゃんのくわえ方を助産師などに相談する
- 授乳後はやさしく圧を抜き、強いマッサージは避ける
- 休息と水分をとり、睡眠をできるだけ確保する
医療治療
助産師や授乳支援の専門家による授乳相談、乳房のケア、医師の診察などが行われます。乳腺炎(乳房の炎症)などが疑われる場合は、医師が治療方針を決めます。薬が必要な場合も、自己判断で市販薬を使わず、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
通常は手術は必要ありません。乳房に膿がたまる乳房膿瘍(にゅうぼうのうよう)などが起きた場合は、医師が処置を検討します。
この病気と共に生きる
授乳のたびに緊張せず、赤ちゃんと自分のペースを大切にしてください。張りが強い日は冷やしたり、授乳前に少し搾ったりして工夫します。困ったときは早めに助産師や保健師に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 授乳の記録をつけて、張りやすい時間やパターンを知る
- 赤ちゃんのむせが続くときは、授乳の姿勢やくわえ方を変えてみる
- 家族に家事や上の子の世話を頼り、休息をとる
- 外出時は母乳パッドや着替えを用意して安心できるようにする
- つらいときは一人で抱えず、地域の保健センターや助産師に相談する
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスよく食べ、水分をとり、無理のない範囲で体を動かしてリフレッシュしましょう。授乳中は疲れやすいので、休息を優先してください。
精神的健康と心の健康
授乳の悩みは孤独になりがちで、疲れや不安、気分の落ち込みにつながることがあります。気分の落ち込みが続く、眠れない日が続く、自分や赤ちゃんを傷つけたい気持ちがわくときは、すぐに医療機関や地域の保健サービスに相談してください。緊急時は119に連絡してください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、授乳初期に必要以上の搾乳を避ける、赤ちゃん主導の授乳を心がける、早めに専門家へ相談することで、つらさを軽くできることがあります。
ワクチン
この状態にワクチンは関係ありません。
検診プログラム
特別な検査はありませんが、産後の健診や乳幼児健診、保健師・助産師の訪問で授乳の悩みを相談できます。
合併症
治療しない場合
- 乳腺炎(乳房の炎症)を起こすことがある
- 乳房膿瘍(うみがたまる状態)につながることがある
- 乳首の傷や強い痛みが続く
- 赤ちゃんのむせ、体重増加のむら、飲みにくさが続く
- お母さんの疲労、睡眠不足、授乳への不安が強くなる
長期的な見通し
多くは数週間から数か月で落ち着き、授乳の工夫と支援で改善します。合併症が起きても、早めに相談すれば治療できます。焦らず、必要な支援を求めてください。
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最終更新: 2026年10月24日
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