睡眠中に起こる頭痛(睡眠時頭痛)
概要
睡眠時頭痛(すいみんじずつう)は、眠っている間に頭が痛くなって目が覚める、比較的めずらしいタイプの頭痛です。痛みはふつう両側に、ズキズキというより重く鈍く感じられ、15分から数時間ほど続きます。「目覚まし時計のような頭痛」と表現されることもあります。ほかの病気が原因ではない「一次性頭痛(いちじせいずつう)」のグループに入り、脳の画像検査で異常が見つからないことが多いのが特徴です。
重要な事実
- 眠っているあいだだけに起こり、日中にはふつう起きません。夜中から明け方に、痛みで目が覚めるのが典型的です。
- 痛みの持続は15分くらいから数時間。週に数回の人もいれば、ほぼ毎晩という人もいます。
- 一次性頭痛のひとつで、命に関わる病気が原因でないことを確かめるために、まずは医師の診察が大切です。
とてもめずらしい頭痛です。頭痛で病院を受診する人のうち、ごくわずかな割合と考えられています。めずらしいからこそ、まずは他の原因がないかを丁寧に確認することが大切です。
主に50歳以上の方に多く、女性にやや多いとされています。子どものころに起こることはほとんどありません。60代、70代で初めて経験する方もいます。
症状
- 突然わいた、今までにないほど激しい頭痛(数秒から1分ほどで痛みのピークに達する)
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい
- けいれんが起きた
- ろれつが回らない、手足の片側が動かない、力が入らない
- 発熱と、首が硬くて前に曲げにくい状態が一緒にある
- 頭を強く打ったあとに出てきた頭痛
- 何度も激しく吐く、見え方が急におかしくなった
- ⚠頭痛の回数や強さが、ここ数日で急に増している
- ⚠痛みの時間帯や痛み方が、これまでと変わってきた
- ⚠発熱、体重が減る、だるさが続くなど、頭痛以外の体調の変化がある
- ⚠50歳以降で初めて経験する頭痛が続いている
- ⚠痛みのため毎晩眠れず、日中の生活に支障が出ている
一般的な症状
- 夜中や明け方に、頭の痛みで目が覚める
- 痛みは頭の両側に広がることが多く、重い・鈍い感じ
- 痛みは15分から数時間続き、起きてしばらくすると軽くなることが多い
- 吐き気はほとんどなく、あっても軽い程度
- 光や音がひどくつらくなる(まぶしい・うるさいと感じる)ことは少ない
- 週に数回から毎晩など、決まったように同じ時間帯に起こる
- 日中に頭痛が出ることはほとんどない
子供の症状
- 子どもでは非常にめずらしく、まず他の原因を考えます
- 子どもは痛みを言葉で説明しにくいため、夜中に起きて泣く、頭を押さえる、眠りが浅いなどの様子に気づくことが手がかりになります
- 子どもの夜間の頭痛は、かぜや耳の病気、睡眠時無呼吸など別の理由のことも多いので、小児科で相談してください
高齢者の症状
- 50歳以上で多くみられますが、年を取ってから初めての頭痛は、他の病気が隠れていないかを確認する必要があります
- 痛みで目が覚めると、睡眠不足から日中の眠気やふらつきにつながることがあります
- 持病の薬や体調の変化が関係していることもあるため、飲んでいる薬を医師に伝えてください
原因
主な原因
- 睡眠時頭痛そのものの詳しい仕組みは、まだよく分かっていません
- 睡眠のリズム(体内時計)や、睡眠の深い・浅いの切り替わりが関係していると考えられています
- 脳の血流や神経の働きの変化が関わっているという説もありますが、研究の途中です
- ほかの病気が原因で同じような夜間の頭痛が起きることもあるため、見分けることが大切です
リスク要因
- 50歳以上であること
- 女性であること
- 睡眠のリズムが乱れている(夜更かし、不規則な勤務、時差のある旅行など)
- 強いストレスや、こころの疲れが続いている
- 睡眠時無呼吸(寝ている間に呼吸が止まる状態)など、睡眠の病気がある
- 飲んでいる薬や、カフェイン・お酒の習慣が関係している場合がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛や、意識・話すこと・体の動きの変化があるときは、すぐに救急(119番)を呼んでください
- 頭を打ったあとの頭痛、発熱と首の硬さがあるときも、ためらわず救急へ連絡してください
- 痛みの回数や強さが急に増している、痛み方や時間帯が変わってきたときは、その日のうちに医療機関へ相談してください
定期受診を予約すべき場合:
- 夜中や明け方に、痛みで目が覚めることがくり返し起きている
- 痛みのせいで睡眠が足りず、日中の眠気や集中力の低下を感じる
- 市販の痛み止めを使う回数が増えている
- 睡眠の悩み(寝つけない、いびき、息が止まると言われる)がある
- 頭痛の記録をつけていて、パターンが見えてきたので相談したい
診断
診断の中心は、ていねいな問診と診察です。いつも同じ時間帯に、眠っているあいだだけ頭痛が起きているか、痛み方や続く時間、吐き気や光・音への敏感さがあるかなどを伺います。そのうえで、他の病気が原因ではないかを確認するために、必要に応じて検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 頭痛日記(起きた時刻、痛みの強さ、続いた時間、一緒にあった症状、薬を使ったか)の確認
- 睡眠の記録や、睡眠に関する問診(いびき、日中の眠気など)
- 血圧測定や血液検査などの基本的な検査
- 脳の画像検査(MRIやCT)で、他の原因がないかを確認する
- 必要に応じて、睡眠の状態を調べる検査(睡眠検査)
診察で予想されること
診察では、頭痛の記録を1か月ほどつけて持っていくと役立ちます。画像検査では特に異常が見つからないことが多く、その場合は「他の病気ではない」ことを確認したうえで、睡眠時頭痛として治療を進めていきます。診断がつくまでに少し時間がかかることもありますが、記録を続けることが近道になります。
治療
治療は、まず生活のリズムを整えることから始まります。そのうえで、頭痛の頻度や睡眠への影響に応じて、医師が予防的な治療を検討します。治療の内容や使う薬は、年齢・持病・飲み合わせによって変わるため、必ず医師や薬剤師と相談しながら進めてください。
自宅でのセルフケア
- 寝る時間と起きる時間を、休日もできるだけ一定にする
- 寝室を暗く、静かで、暑すぎず寒すぎない環境に整える
- 夕方以降のカフェイン(コーヒー、濃いお茶、エナジードリンクなど)は控えめにする
- 寝酒は睡眠の質を下げるため避ける
- 就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を減らし、体を休める時間をつくる
- 軽いストレッチや深呼吸など、寝る前のリラックス習慣を取り入れる
- 頭痛日記をつけて、起きた時刻やきっかけを記録する
- 痛み止めの使いすぎに注意し、使用回数が多いときは医師に相談する
医療治療
医師は、頭痛の頻度や睡眠への影響をみながら、予防のための治療を検討することがあります。治療の選択肢や始め方は、年齢、持病、他の薬との飲み合わせによって変わるため、診察の中で相談して決めていきます。痛みが起きたときの対応も含め、自己判断で市販薬を増やさないようにしてください。痛み止めを頻繁に使うと、かえって頭痛が悪化することがあるためです。
手術が検討される場合
睡眠時頭痛そのものに対して手術を行うことはありません。手術が検討されるのは、検査で別の病気(脳の腫瘍など)が見つかった場合に限られます。
この病気と共に生きる
睡眠時頭痛は、痛みそのものよりも「眠れないこと」が毎日の負担になりやすい頭痛です。起きた時刻と痛みの強さを簡単に記録しておくと、自分のパターンが分かり、診察でも役立ちます。痛みで目が覚めたときは、無理に痛みと戦わず、薄暗い部屋でゆっくり呼吸を整えるなど、落ち着ける過ごし方を見つけておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 平日も休日も、できるだけ同じ時刻に寝て起きる
- 昼寝をするなら短め(20〜30分程度)にし、夕方以降は避ける
- 適度な運動を日中に行い、寝る直前の激しい運動は控える
- 夕方以降はカフェインを控え、寝酒をしない
- 寝室の明るさ・音・温度を整える
- 家族に症状を伝え、夜中に起きたときの様子を知ってもらう
食事と運動
特別な食事療法があるわけではありませんが、夕食は寝る2〜3時間前までに済ませ、食べすぎや脂っこい食事を避けると眠りが落ち着きやすくなります。アルコールやカフェインの量も意識してみてください。運動は、ウォーキングなど軽めのものを日中に続けるのがおすすめです。体を適度に疲らせることが、質のよい睡眠につながります。
精神的健康と心の健康
毎晩のように痛みで目が覚めると、眠れないことへの不安や、「今夜も起きるのでは」という緊張が続き、気持ちが疲れてしまうことがあります。眠れないつらさや不安が強いときは、がまんせずに医師や看護師、薬剤師、地域の相談窓口に話してください。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたい気持ちがわいたときや、身の危険を感じるときは、すぐに119番に連絡するか、地域の救急・相談窓口を利用してください。
予防
睡眠時頭痛を確実に防ぐ方法は、今のところ分かっていません。ただ、睡眠のリズムを整え、寝室の環境をととのえ、カフェインやお酒の習慣を見直すことは、夜間の頭痛を減らす助けになる可能性があります。気になる変化は記録して、医師と一緒に調整していきましょう。
検診プログラム
睡眠時頭痛そのものに、決まったスクリーニング検査はありません。ただし、年を取ってから初めて頭痛が始まった場合や、痛み方が変わった場合は、他の病気を確認するための診察や画像検査が勧められることがあります。
合併症
治療しない場合
- 眠りが分断されることで、日中の眠気や集中力の低下が続く
- 疲れやすさや、気分の落ち込み、不安につながることがある
- 市販の痛み止めを頻繁に使うことで、かえって頭痛が悪化する(薬の使いすぎによる頭痛)
- 他の病気が原因の頭痛が、見逃されてしまう可能性がある
長期的な見通し
睡眠時頭痛はめずらしい頭痛ですが、命に関わる病気ではないことが多く、生活のリズムを整えることや、医師と相談しながらの治療で改善が期待できます。まずは他の原因がないかを確認することが安心への第一歩です。症状を記録しながら、あせらず一歩ずつ進めていきましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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