血液検査でカリウムが3.3と言われたら(軽い低カリウム血症)
概要
カリウムは血液の中に溶けているミネラルのひとつで、心臓や筋肉が正しく動くために欠かせないものです。血液検査のカリウム値は、ふつう3.5〜5.0mEq/L(ミリ当量パーリットル、mmol/Lと同じ意味の単位)の範囲に収まっています。3.3mEq/Lはこの範囲を少し下回る程度で、「軽い低カリウム血症(血液中のカリウムが少なめの状態)」とよばれることが多い値です。体の調子が何も変わらないことも多く、原因を確かめて食事や必要に応じた補充で落ち着くことがほとんどです。
重要な事実
- カリウム3.3mEq/Lは、基準範囲(およそ3.5〜5.0)をほんの少し下回る程度で、軽度とよばれることが多い値です。
- 多くの場合、嘔吐・下痢、薬の影響、食事の偏りなど原因が見つかり、それを取り除いたり必要に応じてカリウムを補ったりすることで改善します。
- 自分で判断して薬をやめたり、市販のサプリを大量に飲んだりせず、まず医療機関や薬剤師に相談してください。
低カリウム血症は、ふつうの血液検査でも比較的よく見られる所見です。特に下痢や嘔吐が続いているとき、利尿薬などを使用しているときには珍しくありません。入院中の方ではさらに頻繁にみられます。
下痢や嘔吐が続いている方、利尿薬などの薬を使っている方、食事量が少ない方や高齢の方、糖尿病・腎臓病・甲状腺の病気がある方、汗をたくさんかく環境で過ごす方、食べたものを戻す習慣のある方などに多くみられます。健康な方でも、暑い時期の激しい運動や食事の偏りで一時的に下がることがあります。
症状
- 意識がもうろうとしている、受け答えがおかしい
- 立つのもつらいほどの強い脱力、手足が動かしにくい
- 胸がどきどきして脈がとても速い、または脈がとても不規則
- 息苦しい、呼吸が浅い
- けいれん(ひきつけ)が起きた
- 失神した、倒れて意識を失った
- ⚠何日も続く強い倦怠感や筋肉の痛みがある
- ⚠嘔吐・下痢が続き、水分がとれない
- ⚠動悸や脈の乱れが続いている
- ⚠手足のしびれやけいれんを繰り返す
- ⚠足のむくみや尿の量の変化など、体の変化が気になる
一般的な症状
- 軽い場合は、まったく症状がないことが多い
- 疲れやすい、体がだるい、力が入りにくい
- 手足の筋肉のけいれん、こむら返り
- 動悸(心臓の鼓動がいつもと違う感じ)、脈が飛ぶ感じ
- 便秘気味になる
- 気分が落ち込みやすい、集中しにくい
子供の症状
- 元気がない、遊ばない、食欲がない
- 機嫌が悪い、泣き方が弱い、表情が乏しい
- 下痢や嘔吐のあとにぐったりしている
- 足が痛い、歩きたがらないなど、言葉にしにくい形で出ることがある
高齢者の症状
- 「年だから」と思われがちなだるさ、食欲低下として現れやすい
- ふらつき、立ちくらみ、転びやすさ
- 脱水を起こしやすく、薬の影響も受けやすい
- 食欲が落ちて食事量が減り、さらにカリウムが下がる悪循環になることがある
原因
主な原因
- 嘔吐・下痢、発熱、汗のかきすぎで、体からカリウムが失われる
- 利尿薬など、尿と一緒にカリウムを出しやすくする薬を使っている
- 食事量が極端に少ない、偏った食事制限をしている
- マグネシウムなど他のミネラルが不足し、カリウムのバランスが乱れる
- 血糖値がとても高いときに、カリウムが細胞の中へ移ってしまう
- 甲状腺の働きの異常、腎臓やホルモン(体の調整物質)の病気
- 過度なダイエットやストレス、食べたものを戻す行動など
リスク要因
- 下痢・嘔吐・発熱が続いている
- 利尿薬、下剤、一部の気管支を広げる薬などを使っている(自己判断で中止しないこと)
- 高齢で食事量が少ない、一人暮らしで食事が偏りがち
- 暑い環境や激しい運動でたくさん汗をかく
- 糖尿病、腎臓病、甲状腺の病気がある
- お酒を多く飲む
- 妊娠中のつわりで食べられない状態が続く
- 摂食障害や、食べたものを戻す習慣がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 動悸、脈の乱れ、強い脱力、けいれん、意識の変化があるときは、すぐに医療機関を受診するか119番に連絡してください
- 嘔吐や下痢が続いて水分がとれないとき
- 症状が数日のうちに悪化しているとき
定期受診を予約すべき場合:
- 健診や血液検査で3.3と言われたが、体調は特に悪くない → 内科などの医療機関で再検査と原因の確認を
- 薬を飲んでいてカリウムが低いと言われた → 処方した医師や薬剤師に相談する(自分で薬をやめない)
- だるさやこむら返り、動悸が続いている
- 食事量が少ない状態が長く続いている
診断
まず血液検査でカリウムの値を確かめます。一度の値だけで決めつけず、必要に応じて再検査をします。あわせて、ナトリウムやマグネシウムなどの他の電解質(血液中のミネラル)、腎臓のはたらき、血糖値などを調べ、心臓への影響をみるために心電図をとることがあります。尿にどれだけカリウムが出ているかを調べると、原因の手がかりになることもあります。問診では、下痢・嘔吐の有無、食事の内容、飲んでいる薬、飲酒、体重の変化などを聞かれます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(カリウム、ナトリウム、マグネシウム、腎臓のはたらき、血糖など)
- 尿検査(尿の中のカリウム量や濃さを調べる)
- 心電図(脈の乱れや心臓への影響を確認する)
- 血圧測定と体重測定
- 問診(食事・下痢や嘔吐・薬・飲酒・サプリメントなどについて)
- 必要に応じてホルモンの検査や画像検査
診察で予想されること
採血は数分で終わる簡単な検査です。結果は多くの施設で当日か数日以内に分かります。軽度の場合は、まず生活や薬の確認と再検査という流れが一般的で、入院が必要になることはあまりありません。採血のときの条件で値が少しずれることもあるため、気になる場合は落ち着いて再検査を受けるとよいでしょう。
治療
治療の中心は「なぜカリウムが下がったのか」を見つけて、その原因に対処することです。3.3mEq/L程度の軽い低下では、食事を整えることと原因の見直しで改善することも多く、必ずしも薬による補充が必要とは限りません。症状がある場合や食事だけでは足りない場合に、医療機関でカリウムを補う治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- カリウムを含む食品を、毎日の食事に少しずつ取り入れる(野菜、果物、いも、豆、海藻、きのこ、魚など)
- 下痢や嘔吐のあとは、水分と電解質をこまめに補う(経口補水液など、薬局で相談するとよいでしょう)
- 汗をたくさんかいた日は、水分をしっかりとる
- 自己判断で薬をやめたり、市販のサプリメントを大量にとったりしない
- 極端なダイエットや食事制限を避ける
- お酒はほどほどにする
- 睡眠と休息を十分にとる
医療治療
医師はまず原因を確かめます。食事だけでは足りないときや症状があるときは、医療機関でカリウムを補う治療が行われます。原因になっている薬があれば、量や種類を調整することがありますが、自分で中止すると別の病気が悪化することがあるため、必ず医師の指示に従ってください。嘔吐や下痢で脱水があるときは、点滴で水分と電解質を補います。甲状腺・腎臓・ホルモンの病気が見つかれば、その治療が中心になります。カリウムは多くなりすぎても心臓に負担がかかるため、補充は医療者の指示のもとで行うことが大切です。
手術が検討される場合
低カリウム血症そのもののために手術が必要になることは基本的にありません。ただし、手術を受ける前にカリウム値を整えておくことがあります。
この病気と共に生きる
検査の値を気にしすぎて食事を極端に変える必要はありません。ふだんの食事をバランスよく整え、下痢・嘔吐・発熱のときは早めに水分と電解質を補うことが大切です。飲んでいる薬がある方は、お薬手帳を持ち歩き、体調の変化を医師や薬剤師に伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 決まった時間に食事をとり、野菜や果物を毎日少しずつとる
- 下痢・嘔吐・発熱のときは早めに水分と電解質を補う
- 薬の飲み忘れや自己中断に注意し、お薬手帳を活用する
- 暑い時期の運動はこまめに休憩し、水分をとる
- 医療機関の指示に従って定期的に血液検査を受ける
食事と運動
カリウムは多くの食品に含まれています。野菜、果物、いも、豆、海藻、きのこ、ナッツ、魚などをバランスよく食べるのが基本です。ただし腎臓の病気がある方はカリウムを制限することがあるため、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。運動は散歩など無理のない範囲で続けて問題ありません。激しい運動のあとは水分と電解質を補いましょう。
精神的健康と心の健康
だるさや動悸が続くと、不安になったり気分が落ち込んだりしやすくなります。検査の値だけにとらわれず、睡眠や休息も大切にしてください。つらい気持ちが続くときは一人で抱え込まず、医療機関や地域の相談窓口(保健所・保健センターなど)に相談してください。気持ちが追い詰められている、自分を傷つけたい気持ちがあるといった場合は、ためらわず119番に連絡するか、身近な人や医療機関に助けを求めてください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、水分をこまめにとる、バランスよく食べる、薬を自己判断で変えない、下痢や嘔吐のあとは早めに電解質を補うといったことを心がけることで、繰り返しを減らせます。
検診プログラム
多くの健康診断の血液検査にはカリウムが含まれています。定期的に健診を受けることが早期の発見につながります。利尿薬などを長く使っている方は、主治医の指示に従って定期的に血液検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- だるさや筋力の低下が続き、日常生活がつらくなる
- 脈の乱れ(不整脈)が起きることがある
- 腎臓でのミネラルの調整が乱れ、ほかの電解質も崩れることがある
- まれに、心臓の動きが危険な状態になることがある
- 原因となっている甲状腺や腎臓の病気の発見が遅れる
長期的な見通し
軽い低カリウム血症は、原因が分かって対処できれば、多くは数日から数週間で改善します。3.3mEq/Lという値だけで命に関わることはほとんどありません。心配しすぎず、再検査と原因の確認を着実に進めていけば大丈夫です。
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最終更新: 2026年10月24日
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