Hypoparathyroidism
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかしょう)は、首にある副甲状腺(ふくこうじょうせん)という小さな臓器が、必要な量の副甲状腺ホルモンを作らなくなる病気です。このホルモンは、血液中のカルシウムとリンのバランスを保つ働きがあります。ホルモンが不足すると、血液中のカルシウムが減り、リンが増えて、さまざまな症状が出ます。
重要な事実
- 副甲状腺は甲状腺の裏側に4つある、米粒ほどの大きさの臓器です
- 副甲状腺ホルモンが不足すると、血液中のカルシウム濃度が低くなります(低カルシウム血症)
- 症状は軽いものから命に関わるものまで幅広く、早期の発見と治療が大切です
副甲状腺機能低下症は比較的まれな病気です。発生頻度は人口10万人あたり数人程度とされています。
どの年齢でも発症する可能性がありますが、特に首の手術(甲状腺の手術など)を受けた後によく見られます。女性にやや多いとも言われています。
症状
- 全身の激しい筋肉のけいれん(テタニー)で呼吸が苦しい
- 意識を失ったり、けいれん発作が続く
- 胸の痛みや動悸がひどい
- 喉が詰まる感じや声がかすれる
- ⚠筋肉のけいれんが何度も起こる
- ⚠指先や口の周りのしびれが急に悪化した
- ⚠めまいや立ちくらみが続く
- ⚠いつもと違う強い疲労感がある
一般的な症状
- 手足や口の周りがピリピリ・チクチクする感覚(知覚異常)
- 筋肉のけいれんやこわばり(特に手や足)
- 疲れやすさ、だるさ
- 気分の変動や不安感
- 月経周期の変化(女性の場合)
子供の症状
- 成長の遅れ
- けいれん発作(熱がないのに起こることも)
- 歯の発育異常(エナメル質の形成不全など)
- 学習障害や行動の問題
高齢者の症状
- 筋肉のけいれんや痛み
- 歩行障害や転びやすさ
- 認知機能の低下(ぼんやりする、記憶力の低下)
- 心臓の不整脈のリスクが高まることがある
原因
主な原因
- 首の手術(特に甲状腺全摘出術)の後に副甲状腺を傷つけたり取り除いてしまうこと(最も多い原因)
- 自己免疫疾患(自分の免疫が誤って副甲状腺を攻撃する)
- 遺伝子の異常(生まれつき副甲状腺の働きが弱い)
- 放射線治療の影響
- 特定の薬の影響(まれ)
リスク要因
- 甲状腺がんやバセドウ病などで首の手術を受けた
- 自己免疫疾患(副腎不全や1型糖尿病など)がある
- 家族に同じ病気の人がいる(遺伝性の場合)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状が現れた場合はすぐに救急車(119番)を呼んでください
- 筋肉のけいれんが繰り返し起こる
- しびれや異常感覚が広がる、またはひどくなる
定期受診を予約すべき場合:
- 原因不明の疲れや気分の落ち込みが続く
- 手足のピリピリ感や筋肉のこわばりが気になる
- 首の手術後、定期的な血液検査でカルシウム値が低いと言われた
- 子どもの成長や発達に遅れが見られる
診断
医師が問診と診察を行い、血液検査でカルシウム、リン、副甲状腺ホルモンの値を調べて診断します。病歴(特に首の手術歴)がとても重要です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(カルシウム、リン、マグネシウム、副甲状腺ホルモン、ビタミンDなど)
- 尿検査(カルシウムやリンの排泄量を調べる)
- 心電図(心臓のリズムへの影響を確認)
- 画像検査(副甲状腺の位置や状態を調べるために超音波やCTを行うこともある)
診察で予想されること
診断には通常、血液検査の結果を数日待つ必要があります。まれに、さらに詳しい検査のために入院が必要なこともあります。医師は症状や検査結果を総合して判断します。
治療
治療の目標は、血液中のカルシウムとリンのバランスを正常に保ち、症状を抑えることです。主に飲み薬(カルシウムとビタミンD)で治療します。生涯にわたる管理が必要になることが多いですが、多くの方は日常生活を問題なく送れます。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された薬を決められた量・時間に必ず飲む
- 定期的に血液検査を受けて、カルシウム値の変動をチェックする
- 症状の変化を日記などに記録して、医師に伝える
- ストレスや感染症などで症状が悪化することがあるので注意する
- 医師に相談せずに他の薬(特に胃薬や利尿剤)を自己判断で使わない
医療治療
治療の中心は、カルシウムと活性型ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)の内服薬です。重症の場合やけいれん発作がある場合は、点滴でカルシウムを補うこともあります。治療中は血液中のカルシウムとリンの値を定期的に測り、薬の量を調整します。一部の方には、副甲状腺ホルモン補充療法が検討されることもありますが、保険適用の範囲や医師の判断によるものです。
手術が検討される場合
通常、手術は治療の第一選択ではありません。ただし、もともとあった副甲状腺の腫瘍などが原因で発生した続発性の場合は、元の病気の手術が必要になることがあります。詳しくは担当医と相談してください。
この病気と共に生きる
副甲状腺機能低下症は慢性的な病気ですが、適切な治療と生活管理で多くの方が普段通りの生活を送っています。薬をきちんと飲み、定期的に血液検査を受けることが基本です。カルシウム値が低くなりやすい状況(感染症、激しい運動、妊娠など)に注意しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠とバランスの良い食事を心がける
- 過度なアルコールやカフェインは控える(カルシウムの排出を促すため)
- 激しい運動や長時間の入浴で汗を大量にかくとカルシウムが失われるので注意
- ストレスをため込まず、リラックスする時間を作る
- 普段の自分と違うと感じたら早めに医師に相談する
食事と運動
食事ではカルシウムを多く含む食品(小魚、乳製品、緑黄色野菜など)を積極的に摂ることが勧められますが、リンの摂りすぎに注意する必要があります(加工食品や清涼飲料水を控える)。運動は軽い有酸素運動(散歩など)が適しています。激しい筋トレはカルシウムを消費するため、医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
慢性的な症状や治療の負担から、気分の落ち込みや不安を感じることがあります。カルシウム値の変動自体が気分に影響することもあります。無理をせず、気になることがあれば医師やカウンセラーに相談しましょう。
予防
首の手術が原因の一部を占めるため、手術の際に副甲状腺をできるだけ温存する技術が進歩しています。しかし、他の原因(自己免疫や遺伝)については現時点では予防できません。早期発見と適切な治療で合併症を防ぐことが重要です。
合併症
治療しない場合
- 慢性的な低カルシウム血症による骨の変化(骨密度の増加や骨の変形)
- 腎臓結石(カルシウムの排泄が増えることでできることがある)
- 脳の石灰化(長期間治療しないと起こり、てんかん発作や認知症様症状の原因になる)
- 心不全や不整脈(重症の場合)
- 白内障(目の水晶体が濁る)
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、多くの方が合併症なく通常の生活を送ることができます。治療は長期にわたることが多いですが、定期的な医療管理で状態は安定します。薬や生活の工夫でコントロールできる病気なので、希望を持って治療に取り組んでください。
サポートを探す
地域の団体
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月9日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。