低体温症(ていたいおんしょう)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
低体温症とは、体の深部の温度が通常より低くなり、体の機能がうまく働かなくなる状態のことです。人間の体は通常、体温を約36〜37度に保っています。しかし、寒い場所に長くいたり、濡れた服を着たままにしたりすると、体温が下がりすぎることがあります。低体温症になると、ふるえが止まらなくなったり、意識がもうろうとしたりすることがあります。
重要な事実
- 低体温症は命に関わることがあるため、早めの対応が大切です。
- 高齢者や小さな子どもは特に注意が必要です。
- 体を温めるには、濡れた服を乾いた服に替えることが重要です。
低体温症は、冬の寒い時期や山など気温の低い場所で起こることが多いですが、高齢者のご自宅の中でも起こることがあります。日本の寒い地域では、特に注意が必要です。
高齢者、小さな子ども、屋外で働く人、運動や登山をする人、また寒さを感じにくい病気のある人に多く見られます。
症状
- 意識がない、または意識がもうろうとしている
- 脈が非常に遅い、または不規則
- 呼吸が浅い、または止まっている
- ふるえがなくなり、体が硬くなっている
- 体温が35度未満と思われるとき(測れる場合)
- ⚠強い眠気があり、起こしてもすぐに寝てしまう
- ⚠ろれつが回らない、または話すことが難しい
- ⚠歩くことができない、またはふらつく
- ⚠吐き気やおう吐がある
- ⚠いつもと様子が明らかに異なる
一般的な症状
- ふるえ(震え)が止まらない
- 体が冷たく、特に手足や顔が冷たい
- 寒さを感じにくくなる
- 眠気やだるさがある
- 話し方がゆっくりになったり、ろれつが回らなくなったりする
- 脈が遅くなる
- 呼吸がゆっくりになる
子供の症状
- 元気がなくなり、ぐったりする
- 肌が青白く冷たい
- ふるえが少ない(小さな子どもではふるえが起こりにくいことがあります)
- 泣き声が弱い
- 飲み物を飲まない、授乳を嫌がる
高齢者の症状
- 室内にいても体が冷える
- いつもより混乱したり、ぼんやりしたりする
- 動きがゆっくりになる
- 寒さを感じにくくなっている(高齢者は寒さの感覚が鈍ることがあります)
- 話しかけても反応が鈍い
原因
主な原因
- 寒い場所に長くいる(屋外や暖房のない部屋など)
- 濡れた衣服や汗をかいた状態で放置する
- 冷たい水に落ちる、または冷水に浸かる
- 風が強い日や雨の日に十分な防寒をしない
- アルコールを飲んで体温が下がりやすくなる
リスク要因
- 高齢者(体温調節機能が低下している)
- 小さな子ども(体温調節が未熟)
- 低栄養や食事が十分でない
- 糖尿病や心臓病などの慢性疾患がある
- 認知症や精神的な病気で寒さを感じにくい
- 薬の影響で体温調節が弱っている
- ホームレス状態や低所得で暖房が使えない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 体がふるえて止まらない、または意識がもうろうとする場合
- 話し方がおかしい、または行動がいつもと違う場合
- 高齢者や子どもで体が冷たく元気がない場合
- 自宅で温めても回復しない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 寒い場所にいた後、体の冷えやだるさが続く場合
- 低体温症になりやすい持病がある人が、日常生活での注意点を相談したい場合
- 一度低体温症になった後に、再発を防ぐためのアドバイスが必要な場合
診断
医師は、症状の話を聞き、体の状態を確認します。体温を測る専用の体温計(特に直腸で測るタイプなど)を使って、深部体温を確認することがあります。また、寒さによる影響で他の臓器が傷んでいないかを調べるために、心電図や血液検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 体温の測定(高精度の体温計で測ります)
- 心電図検査(心臓の動きを調べる)
- 血液検査(電解質や臓器の機能を確認)
- 意識レベルや神経の状態の確認
診察で予想されること
診察では、いつどこにいたのか、どんな服を着ていたか、持病や服用中の薬についても聞かれます。不安に感じるかもしれませんが、医師は丁寧に説明してくれます。低体温症は早く見つけられれば適切に治療すれば回復することが多いです。
治療
低体温症の治療の基本は、体を安全に温め直すことです。軽度の場合は、温かい部屋に移り、濡れた服を脱いで乾いた服に替え、毛布などで覆って温めます。意識がはっきりしている場合は、温かい甘くない飲み物(カフェインなしのもの)を飲むのも助けになりますが、アルコールは避けます。中等度以上の場合は、医療機関での治療が必要です。
自宅でのセルフケア
- すぐに寒い場所から移動し、温かい室内に入る
- 濡れた衣服をすべて脱ぎ、乾いた清潔な服に着替える
- 毛布や服を何枚も重ねて、体の中心(首、脇、脚の付け根)を重点的に温める
- 湯たんぽやカイロをタオルで包んで、首の周りやわきの下に当てる
- 意識がはっきりしている場合は、温かい飲み物(ノンカフェイン)を少しずつ飲む
- ふるえがひどい場合は、無理に動かさず安静にする
医療治療
医療機関では、体温を安全に上げるための処置が行われます。温めた輸液(点滴)や温めた酸素を使うことや、専用の装置で血液を温める方法などがあります。また、寒さによる影響で低下した血圧や心臓の動きをサポートする治療も行われます。薬の使用は、医師が状態に応じて判断します。
手術が検討される場合
低体温症そのものに対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、重度の凍傷など合併症が起こった場合には、皮膚科や形成外科での治療が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
低体温症から回復した後も、しばらくは体温調節が不安定になることがあります。しばらくは無理をせず、暖かい環境で過ごし、体を冷やさないようにしましょう。医師の指示があれば、それに従ってください。
生活習慣のアドバイス
- 室温を20度前後(高齢者は23度くらい)に保つ
- 部屋ごとの温度差をなくす(トイレや脱衣所も暖める)
- 重ね着をして、首や手足を防寒する
- 外出時は防水性のある靴やコートを着用する
- 寒い日は無理に外出しない、または短時間にする
- 睡眠中も体が冷えないよう、寝具を工夫する
食事と運動
栄養バランスの良い食事をとることで、体温を保つ力が高まります。特に、たんぱく質や温かいスープなどがおすすめです。運動は、体を温める効果がありますが、寒い日の屋外での激しい運動は避け、室内での軽いストレッチやウォーキングを行いましょう。
精神的健康と心の健康
低体温症を経験した後は、寒さへの不安が残ることもあります。また、高齢者や独居の方では、寒さによる孤独感や抑うつ感が強くなることもあります。そうした気持ちは自然なことです。無理せず、家族や友人に話したり、地域の保健師やかかりつけ医に相談することも大切です。
予防
はい、低体温症は予防が可能です。特に寒い季節には、室温管理や服装、濡れ対策が重要です。また、高齢者や小さな子どもは体調の変化に注意し、早めに温める工夫をしましょう。
ワクチン
低体温症そのものを予防するワクチンはありませんが、肺炎やインフルエンザなどの感染症予防は、全身の状態を保つのに役立ちます。
検診プログラム
特定の健診はありませんが、高齢者や持病のある方は、かかりつけ医の定期診察の中で、寒さ対策について相談するとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 不整脈(心臓のリズムが乱れる)や心停止のリスク
- 凍傷(手足の指などが壊死することがある)
- 肺炎などの感染症
- 腎臓の機能低下
- 意識障害や認知機能の低下
長期的な見通し
低体温症は早く気づいて適切に対処すれば、多くの場合、後遺症なく回復します。たとえ重症でも、医療機関での治療により回復の可能性があります。寒さから身を守り、無理せず休むことが何よりの回復への近道です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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