子宮鏡検査(しきゅうきょうけんさ)ってどんな検査?
概要
子宮鏡検査は、腟(ちつ)と子宮頸部(しきゅうけいぶ=子宮の入り口の細い部分)から、細くてやわらかいカメラを入れて、子宮の内側(子宮内膜=子宮の内側をおおう膜)を直接見る検査です。おなかを切る必要はなく、通常は日帰り(外来)で行われます。見るだけでなく、気になる部分の小さな組織を採って調べたり、見つかったポリープなどをその場で取ったりできることもあります。超音波(エコー)検査では見えにくい、子宮の内側の細かな変化を確かめられるのが特長です。
重要な事実
- 細いカメラを腟から入れて、子宮の内側をテレビモニターで観察する検査です。おなかを切る必要はありません。
- 外来で行うことが多く、検査そのものにかかる時間はふつう10〜30分ほどです。
- 「見るだけ」の検査の場合と、「組織を少し採る」「ポリープなどを取る」治療も一緒に行う場合があります。
- 生理が終わってから次の生理が始まるまでの時期(目安として周期の前半〜中盤)に行うことが多いです。妊娠の可能性があるときは、事前に必ず伝えてください。
- 検査の前後に、痛み止めを使ったり、軽い麻酔を使ったりすることがあります。痛みが心配なときは遠慮なく相談してください。
子宮鏡検査は、婦人科ではよく行われる一般的な検査です。生理以外の出血や、超音波で気になる所見があったときなど、必要に応じて行われます。すべての人が受ける検査ではなく、症状や検査の結果に応じて医師が提案するものです。
子宮がある方(主に女性)が対象です。年齢は10代から閉経後まで幅広く、原因がはっきりしない不正出血(生理以外の出血)がある方、生理の量が多い方、妊娠を希望していて子宮の内側を詳しく調べたい方、流産を繰り返している方、子宮の中のポリープや筋腫(きんしゅ=子宮にできるこぶのような良性の腫瘍)が疑われる方などが対象になります。
症状
- 大量の性器出血が続き、ふらつき・動悸・冷や汗・意識がもうろうとする(体がショック状態になっているサイン)
- 突然の激しい下腹部痛に、高熱や悪寒をともなう
- 検査や処置のあと、出血が止まらず、気を失いそうになる
- これらの症状があるときは、様子を見ずに、すぐに119番へ連絡して救急車を呼んでください。
- ⚠出血が多く、1時間にナプキンが何度も必要になる
- ⚠発熱(目安として38度以上)や、下腹部の強い痛みがある
- ⚠悪臭のあるおりものが出る、または腟から膿のようなものが出る
- ⚠検査のあとの痛みが、痛み止めを使ってもどんどん強くなる
- ⚠これらの症状があるときは、当日中に医療機関へ連絡してください。夜間や休日は、地域の救急相談窓口や受診可能な医療機関に相談しましょう。
一般的な症状
- 生理ではないのに出血する(不正出血)。量が少なかったり、茶色っぽかったりすることもあります。
- 生理の量が多く、昼用ナプキンでも1〜2時間で替えたくなる、あるいはレバーのような血の塊が出る
- 生理の期間が長い(7日以上続く)、または生理の間隔が不規則
- 閉経したあとに腟からの出血があった
- 生理痛が強い、または下腹部に重い痛みや張りがある
- 妊娠を希望しているが授かりにくい、または流産を繰り返している
- おりものが増えた、においが気になる、ときどき血が混じる
- 超音波検査で「子宮内膜が厚い」「ポリープがありそう」と言われた
子供の症状
- 子どもや思春期の方では、子宮鏡検査が必要になることは多くありません。
- 思春期で生理の量が極端に多い、生理が長く続く、強い痛みがあるといった場合は、まず小児科や思春期外来に相談してください。
- 子どもへの検査は、体の大きさや不安に配慮して、専門の医療機関で慎重に進められます。
高齢者の症状
- 閉経後の出血は、原因をはっきりさせるために詳しい検査が勧められることがあります。
- 高龄の方は、持病のお薬(血液を固まりにくくするお薬など)や麻酔のリスクについて、事前に医師とよく相談しておくと安心です。
- 足腰や心臓に不安がある方は、検査の体位や時間についても相談できます。付き添いの方がいると心強いです。
原因
主な原因
- 子宮内膜ポリープ(子宮の内側にできる、多くの場合良性のできもの)
- 子宮筋腫のうち、子宮の内側に向かって育つタイプ(粘膜下筋腫)
- 子宮内膜増殖症(子宮内膜が必要以上に厚くなる状態。一部は将来の癌のリスクと関係します)
- 子宮内膜の炎症や感染
- ホルモンのバランスの乱れ(排卵の乱れ、閉経前後の変化など)
- 子宮内に留置した避妊具などの異物、または以前の手術による子宮の内側の癒着(ゆちゃく=組織がくっついてしまうこと)
- 子宮内膜にできた悪性の病変(頻度は高くありませんが、確認のために組織を調べることがあります)
リスク要因
- 40〜50代、または閉経後の時期
- 肥満(脂肪はホルモンに影響します)
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病
- ホルモンに関わるお薬や治療の経験
- 出産の経験がない、または生理の回数が多い
- 過去に子宮の手術を受けたことがある(癒着のリスク)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 大量の出血が続く、または出血でふらつく(この場合は119番へ)
- 強い下腹部痛と発熱がある
- 検査後に出血が増え続ける、または痛みが強くなる
- 妊娠の可能性があるときに出血や痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 生理以外の出血が2〜3周期続く
- 生理の量が多い、または期間が長い状態が数か月続く
- 閉経後の出血があった(量が少なくても受診してください)
- 生理痛が年々強くなっている、鎮痛薬が効きにくくなっている
- 妊娠を希望していて、なかなか授からない、または流産を繰り返している
- 超音波検査で気になる所見を指摘された
診断
まず問診(出血の量や時期、生理の記録、飲んでいるお薬、妊娠の可能性などの確認)と内診、超音波検査を行います。その結果から子宮の内側を詳しく見る必要があると判断された場合に、子宮鏡検査が提案されます。検査では、腟から細いカメラを入れ、子宮の内側を生理食塩水などで少し広げながら観察します。気になる部分があれば、細い器具で小さな組織を採って調べます(生検)。検査の前に、妊娠していないことや感染症がないことを確認する検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 問診と内診(腟や子宮の状態を触れて確認します)
- 経腟超音波検査(エコー):おなかの外から、または腟から超音波で子宮の形や内膜の厚さを見ます
- 子宮鏡検査:子宮の内側をカメラで直接観察します
- 子宮内膜生検:子宮の内側の組織を少し採って、顕微鏡で調べます
- 血液検査:貧血の有無、ホルモンの状態、感染症の有無などを確認します
- 妊娠反応検査:検査前に必ず確認します
- 必要に応じてMRI検査:筋腫の位置や大きさなどを詳しく調べます
診察で予想されること
検査の日は、生理が終わったあとの時期に予約することが多いです。検査着に着替え、分娩台のような椅子に横になります。腟を広げる器具を入れ、細いカメラを子宮の入り口からゆっくり入れます。生理痛のような痛みや、おなかが張る感じがあることがありますが、多くは数分から十数分で終わります。痛みが心配な方は、事前に痛み止めを使ったり、麻酔の方法を相談したりできます。終わったあとは少し休んでから帰宅できますが、ふらつきに備えて自分で車の運転をせず、公共交通機関か付き添いの方と帰るのが安心です。その日は入浴(湯船)や性交渉を控え、医師の指示に従ってください。
治療
子宮鏡検査は、それ自体が「治療」ではなく、原因をはっきりさせるための検査です。検査で見つかった原因に応じて、治療の方針が決まります。ポリープなどが見つかった場合は、その場で、または後日、子宮鏡を使って取り除くことができます。ホルモンの乱れが原因の場合は、生活の見直しやお薬による調整が検討されます。何も問題が見つからなければ、それは安心につながる大切な結果です。
自宅でのセルフケア
- 生理の量・期間・出血の日をメモしておくと、診察で伝えやすくなります。
- 検査後1〜2日は、軽い出血や茶色のおりものが出ることがあります。生理用ナプキンを使って様子を見ましょう。
- 検査後しばらく(目安として1〜2週間ほど、医師の指示に従って)は、湯船につかる入浴や性交渉、激しい運動を控えます。シャワーは多くの場合可能です。
- 出血が多い日は無理をせず、水分と休息をとりましょう。
- 痛み止めが必要なときは、医師や薬剤師に相談して選びましょう。
- 検査結果と今後の予定について、わからないことは遠慮なく質問しましょう。
医療治療
治療は原因によって変わります。ホルモンのバランスを整えるお薬(ホルモン療法)や、炎症を抑えるお薬、出血を抑えるお薬などが使われることがあります。お薬の種類や使い方は、年齢、症状、妊娠の希望、持病に合わせて医師が判断します。自己判断で中断したり、市販薬を重ねて使ったりせず、必ず処方した医師や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
子宮の中のポリープや粘膜下筋腫、癒着などが原因で症状が続く場合は、子宮鏡を使った手術(手術用の子宮鏡で、腟から器具を入れて取り除く方法)が検討されます。おなかを切らない方法ですが、麻酔の方法や入院の要否、術後の過ごし方は医療機関によって異なります。手術を受けるかどうかは、症状の強さ、妊娠の希望、体の状態をふまえて、医師とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
検査のあとは、多くの方がその日のうちに普段の生活に戻れます。数日間は軽い出血や下腹部の張りが続くことがありますが、少しずつ落ち着いていきます。出血の量や痛みを記録しておくと、受診時に役立ちます。結果を待つ間は落ち着かない気持ちになることもありますが、ひとりで抱え込まず、医療者に質問したり、家族や友人に話したりしてください。
生活習慣のアドバイス
- 生理の記録(量・期間・出血の日・痛みの程度)をアプリや手帳でつける
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
- 禁煙を検討する(喫煙はホルモンや血管に影響します)
- 適正体重を保つことを目標にする(急な減量は避ける)
- 検査後は医師の指示した期間、湯船・性交渉・激しい運動を控える
- 出血が多い日用のナプキンや替えの下着を用意しておくと安心です
食事と運動
出血が多い時期が続くと、鉄分が不足して貧血になることがあります。赤身の肉や魚、卵、大豆製品、緑黄色野菜など、鉄分を含む食品を意識してとり、ビタミンCを含む果物や野菜と一緒にとると吸収が助けられます。コーヒーやお茶のとりすぎは鉄の吸収を妨げることがあるので、食事のあいだは控えめにするとよいでしょう。運動は、体調がよい日はウォーキングなど軽めのものから始めましょう。検査後や出血が多い日は無理をせず、医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
出血が続く、検査を受ける、結果を待つといった経験は、思っている以上に心に負担をかけることがあります。不安や眠りにくさ、気分の落ち込みが続くときは、がまんせずに医療者に話してください。気持ちを整理するための相談や支援につながる方法があります。つらい気持ちが強いとき、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、ひとりで抱え込まず、地域の相談窓口や医療機関、救急窓口に連絡してください。日本では緊急のときは119番に連絡できます。
予防
子宮鏡検査そのものは、必要なときに受ける検査なので「予防する」という性質のものではありません。ただし、検査のきっかけになる不正出血や子宮内膜の病気は、症状に気づいて早めに受診することで、早期に見つけやすくなります。出血や生理の変化を記録し、気になるときは我慢せず相談することが大切です。喫煙を控える、適正体重を保つ、血圧や血糖を整えるといった生活習慣への取り組みは、子宮内膜の健康にもよい影響が期待できます。
ワクチン
子宮鏡検査に直接関係するワクチンはありません。子宮頸がん予防のワクチンについては、厚生労働省の情報や地域の案内を参考に、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
日本では、自治体による婦人科検診や子宮頸がん検診が行われています。対象年齢や受診方法は地域によって異なるため、お住まいの自治体の案内や、厚生労働省の検診に関する情報を確認してください。閉経後の出血や生理以外の出血がある場合は、検診の時期を待たずに婦人科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 出血の原因がわからないままになり、貧血が進んで疲れやすさや息切れが続くことがあります。
- 子宮内膜の病気(増殖症や、まれに悪性の病変)が見過ごされる可能性があります。
- ポリープや筋腫による症状が続き、生活の質が下がることがあります。
- 妊娠を希望している場合、原因が特定されないまま時間が過ぎてしまうことがあります。
- 検査や処置にともなうリスクとして、出血、感染、子宮に小さな穴があくこと(ごくまれ)、麻酔の影響などがあります。多くは軽度で、医療機関の指示に従うことで対応できます。
長期的な見通し
子宮鏡検査は、子宮の内側の状態を直接確かめられる、とても有用な検査です。多くの場合、原因がはっきりして、適切な治療や経過観察につながります。良性のポリープなどは取り除くことで症状が改善することが多く、ホルモンの乱れによる症状も治療で落ち着くことがあります。不安が大きいときは、検査の目的や流れ、結果の見通しについて医師に詳しく聞いてみてください。あなたのペースで、必要なサポートを受けながら進めていけます。
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最終更新: 2026年10月24日
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