子どもの過敏性腸症候群(IBS)—おなかの痛みと便通の悩み
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に炎症や傷などの異常がないのに、おなかの痛みや下痢、便秘などをくり返す病気です。腸の動きが乱れたり、痛みに敏感になったりすることで症状が出ると考えられています。子どもにも見られる身近な病気です。
重要な事実
- 検査では異常が見つからないことが特徴です
- 気持ちの緊張やストレスと関係することがよくあります
- 生活の工夫や医療者のサポートで改善できる病気です
はい、よくある病気です。小学生から高校生の約1割に症状が見られるという報告もあります。
学齢期の子どもから思春期にかけて多く見られます。男女どちらにも見られますが、思春期以降は女の子にやや多いという報告があります。
症状
- がまんできないほど強いおなかの痛みがある
- 便に大量の血が混じる、または黒い便が出る
- 何度も吐いて水分がとれない
- 高熱(39度以上)や意識がぼんやりする
- 上記のような症状がある場合は、すぐに119番に電話してください
- ⚠血が混じった便(少量)
- ⚠1日以上続く下痢や嘔吐
- ⚠尿の量が減るなど脱水のサイン
- ⚠痛みが強くなってきて、学校に行けない
一般的な症状
- おなかの痛み(便が出ると楽になることが多い)
- おなかの張り(はり)やガス
- 下痢と便秘をくり返す
- 便にねばねばした粘液が混じる
子供の症状
- おなかの痛みで学校を休みたがる
- 朝に痛みが出ることが多い
- 食欲がない、吐き気を感じる
- 便通が不規則で、おしっこの回数が増えることもある
原因
主な原因
- 腸の動きが乱れること
- 腸が痛みを感じやすくなっていること
- 脳と腸のつながりが敏感になりすぎていること
- 過去の感染症やストレスがきっかけになること
リスク要因
- ストレスや不安を感じやすい性格
- 家族に過敏性腸症候群の人がいる
- 睡眠不足や不規則な生活
- 食物繊維のとりすぎ・不足、または炭酸飲料などの刺激物
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱や嘔吐が続く
- 便に血が混じる
- 強い痛みでおなかを触れないほど
- 脱水のサインがある
定期受診を予約すべき場合:
- おなかの痛みが2か月以上続く
- 排便の回数や便の様子が変わり、日常生活に影響が出ている
- 体重が減ってきた
- 学校に行きたがらない、朝に決まって症状が出る
診断
医師は、問診(症状を詳しく聞くこと)と診察を中心に診断します。血液検査や便検査などでほかの病気がないことを確認したうえで、症状のパターンから過敏性腸症候群と判断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査
- 便の検査
- 必要に応じて腹部の超音波検査
診察で予想されること
診察では、おなかの痛みや便通の状態を日記のように記録しておくとスムーズです。多くの場合、特別な画像検査は必要ありません。時間をかけて、ゆっくり診断をしていきます。
治療
治療の基本は、薬に頼りすぎず、生活リズムの改善、食事の見直し、ストレスへの対処です。子ども本人と家族が一緒に取り組んでいきます。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい食事時間を心がけ、朝ごはんをしっかり食べる
- 水分をこまめにとる(冷たい飲み物は控えめに)
- 適度に体を動かす
- 寝る時間を決めて、十分な睡眠をとる
- 気持ちの不安や悩みを親や先生に話す
医療治療
薬を使う場合は、おなかの痛みや便通の乱れを整えるためのものが適切に使われます。どの薬が合うかは子どもによって違うため、医師と相談しながら決めます。医師の指示を守って使用してください。
手術が検討される場合
手術は通常必要ありません。
この病気と共に生きる
症状は良くなったり悪くなったりをくり返します。親は子どもに安心感を与え、生活リズムを整えることが大切です。学校と連携して、トイレに行きやすい環境を整えてもらいましょう。
生活習慣のアドバイス
- 朝、十分な時間をとって、急いで準備しない
- トイレをがまんさせない
- 体育や遊びで体を動かす習慣をつくる
- 家族で楽しく食事する時間を大切にする
食事と運動
暴飲暴食を避け、バランスの良い食事を1日3回とりましょう。特定の食べ物が症状を悪くする場合は、医師や栄養士に相談しながら食事を調整します。運動は腸の動きを整えるのに役立ちます。
精神的健康と心の健康
おなかの症状が続くと、子どもは学校を休みがちになり、自信をなくしたり、不安やうつ気分になったりすることがあります。心のサポートも治療の一部です。
予防
過敏性腸症候群を完全に予防する方法はまだありません。しかし、規則正しい生活とストレスをためない工夫で、症状の発生を減らすことはできると考えられています。
ワクチン
この病気に特化したワクチンはありません。
検診プログラム
学校や一般の健康診断でこの病気をさがすための特別な検査はありません。
合併症
治療しない場合
- 脱水や栄養不足
- 学校の長期欠席
- 不安やうつ症状のきっかけ
- 思春期の成長に影響することがある
長期的な見通し
多くの子どもの症状は、成長とともに落ち着きます。治療や生活の見直しは効果があるので、前向きに取り組んでいきましょう。親が正しく理解し、支えることがいちばんの力になります。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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