IgA欠損症(免疫グロブリンA欠損症)
概要
IgA欠損症は、体を感染から守る抗体の一つである免疫グロブリンA(IgA)が、血液中でとても少ない、またはほとんどない状態です。生まれつきの免疫の特徴として起こることが多く、多くの人は症状がありません。ただし、感染症にかかりやすい人、アレルギーや自己免疫の病気を合併する人もいます。
重要な事実
- IgAは、鼻やのど、腸などの粘膜を守る抗体です。
- 症状がない人も多く、健康診断や血液検査で見つかることがあります。
- 多くは特別な治療なしで生活できますが、感染症や合併症の様子を医師と確認することが大切です。
比較的よく見られる原発性免疫不全症の一つです。症状のない人も含めると、実際にはもっと多いと考えられています。
症状
- 息ができない、のどや顔が腫れる、意識がもうろうとする、けいれんするなど、命に関わる症状があるときは、すぐに119番に電話してください。
- 強いアレルギー反応(じんましん、息苦しさ、ふらつき)があるときも、すぐに119番へ連絡してください。
- ⚠高い熱が続く
- ⚠耳や鼻の強い痛み、顔の腫れ
- ⚠咳が悪化して息苦しい
- ⚠下痢や嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠急な体重減少や強い疲れ
一般的な症状
- 多くの人は無症状です。
- 鼻かぜ、副鼻腔炎、中耳炎、気管支炎などを繰り返すことがあります。
- 下痢や胃腸の感染症が起こることがあります。
- 花粉症、喘息、アトピーなどのアレルギーを合併することがあります。
- 甲状腺の病気や関節の病気など、自己免疫の病気を合併することがあります。
子供の症状
- 耳の感染症や鼻の感染症を繰り返すことがあります。
- 胃腸の不調や下痢が見られることがあります。
- アレルギー症状が出ることがあります。
- 感染症を繰り返すときは、成長の様子も含めて医師が確認します。
高齢者の症状
- 大人になってから血液検査で見つかることがあります。
- 気道の感染症を繰り返すことがあります。
- アレルギーや自己免疫の病気を合併することがあります。
- 加齢による免疫の変化と区別するため、医師が確認します。
原因
主な原因
- 生まれつきの免疫の仕組みの違いによることが多いです。
- IgAを作る細胞の成熟の遅れや、抗体を作る反応の違いが関係すると考えられています。
- 原因がはっきりしないことも多いです。
- 一部は家族内で見られることがあります。
リスク要因
- 家族にIgA欠損症や免疫不全症の人がいる
- アレルギーや自己免疫の病気がある
- 感染症を繰り返したことがある
- 一部の病気や薬の影響で二次的にIgAが低くなる場合がある(医師が判断します)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高い熱が続く
- 耳や鼻の強い痛み、顔の腫れ
- 咳が悪化して息苦しい
- 下痢や嘔吐が続いて水分がとれない
- 急な体重減少や強い疲れ
定期受診を予約すべき場合:
- 感染症を繰り返す
- 半年に何度も中耳炎や副鼻腔炎になる
- 下痢や胃腸の不調が続く
- アレルギー症状が悪化している
- 家族に免疫不全の人がいて心配
診断
血液検査でIgAの量を測り、IgGやIgMなど他の抗体も確認します。他の病気や薬の影響でIgAが低くなっていないかを調べ、感染症やアレルギー、自己免疫の病気の有無も合わせて確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(IgA、IgG、IgMなど)
- 血算や一般的な健康状態の検査
- 感染症が疑われるときの検査
- アレルギーや自己免疫の検査(必要に応じて)
- 便検査(下痢や胃腸症状があるとき)
診察で予想されること
診断は医師が症状と検査結果を合わせて行います。症状がない場合は、定期的な診察や必要に応じた検査で様子を見ることがあります。
治療
IgA欠損症そのものを根本的に治す治療はありませんが、多くの人は特別な治療を必要としません。感染症にかかったときの治療、アレルギーや自己免疫の病気の管理、感染予防が中心になります。
自宅でのセルフケア
- 手洗い、うがい、十分な睡眠
- 体調が悪い人との接触をできるだけ避ける
- バランスのよい食事と水分
- 決まったワクチン接種について医師に相談
- 血液製剤や輸血の前に、IgA欠損症であることを医療者に伝える
- 感染症状が長引くときは早めに受診
医療治療
医師は症状に応じて感染症の治療や、アレルギー・自己免疫の病気の管理を行います。IgA欠損症だからといって、自己判断で免疫を強くする薬やサプリメントを使うのは避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。輸血や血液製剤を使うときは、医療者がIgA欠損症を把握していることが大切です。
手術が検討される場合
通常、IgA欠損症そのもののために手術が必要になることはありません。合併症や別の病気で手術が必要な場合は、担当医と免疫の状態について相談します。
この病気と共に生きる
多くの人はふだん通りの生活を送れます。感染症にかかりやすい時期や症状があるときは無理をせず、かかりつけ医と相談しながら生活のリズムを整えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 手洗い・うがい・換気
- 十分な睡眠と休養
- 禁煙を心がける(受動喫煙も避ける)
- ストレスをためすぎない
- 感染症が流行する時期は人混みを避けるなどの工夫
食事と運動
特別な食事制限は通常必要ありません。バランスよく食べ、無理のない範囲で運動を続けましょう。体調に合わせて水分補給を忘れずに。
精神的健康と心の健康
からだの不安や繰り返す感染症で、気持ちが落ち込むことがあります。それは自然なことです。つらいときは一人で抱えず、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してください。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたい気持ちが強まったときは、ためらわず医療機関や緊急窓口に連絡し、緊急時は119番に電話してください。
予防
生まれつきの免疫の特徴によることが多いため、IgA欠損症そのものを完全に予防することは難しいです。ただし、手洗いやワクチンなどで感染症を減らす工夫はできます。
ワクチン
ワクチンは、年齢や体調、合併症に合わせて医師と相談して決めましょう。生ワクチンなどについては、自己判断せず必ず医師に確認してください。
検診プログラム
症状がない人を対象にした一般的なスクリーニング検査はありません。家族に免疫不全の人がいる場合や感染症を繰り返す場合は、医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 感染症を繰り返し、中耳炎や副鼻腔炎、気管支炎が長引くことがある
- 胃腸の感染症や下痢が続くことがある
- アレルギーや自己免疫の病気を合併することがある
- まれに、IgAに対する抗体がある人では血液製剤で反応が出ることがある(医療者に伝えることが大切)
長期的な見通し
多くの人は症状が軽く、ふだん通りの生活を送れます。感染症や合併症を早めに相談し、定期的に医師と確認することで安心して過ごせます。心配なことがあれば、かかりつけ医に質問してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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