子どもの予防接種(ワクチン)
概要
予防接種とは、ワクチンを体に入れて「免疫(めんえき)」という体を守る力を前もってつくることです。免疫ができると、本当にその病気の菌やウイルスが体に入ってきたとき、体がすぐに立ち向かえるようになります。病気にかかりにくくなるだけでなく、かかっても軽くすむことが多いのが特徴です。日本では、子どものころに受けるワクチンの多くが「定期接種」として決められていて、原則として公費(税金)で受けられます。
重要な事実
- 予防接種は「病気にかからない体の準備」をしておくもの。受けたあとに軽い熱や腫れが出ても、多くは数日でおさまる体の自然な反応です。
- 日本では、ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、五種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ)、BCG、MR(麻疹・風疹)、水痘、日本脳炎などのワクチンが定期接種の対象になっています。
- 受ける時期(スケジュール)は決まっているので、母子健康手帳と自治体から届く案内を見ながら、かかりつけ医や自治体の窓口に相談して進めましょう。
とても身近なものです。赤ちゃんから小学生まで、ほとんどの子どもが何回も予防接種を受けます。日本では多くのワクチンが公費で受けられるため、世界中でも予防接種が広く行われている国のひとつです。
主に赤ちゃんと子どもの話ですが、大人も関係します。予防接種でみんなが守られることで、小さすぎてまだ受けられない赤ちゃんや、病気で免疫が弱い人も守られます。大人も、妊婦健診や海外渡航の前などに接種をすすめられることがあります。
症状
- 接種後すぐ(数分〜数時間以内)に、息が苦しい、ゼーゼーする、声が出にくい
- 顔やまぶた、唇、喉が大きく腫れる
- 全身にじんましんが広がり、どんどん悪くなる
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない、ぐったりしている
- けいれんが5分以上続く、またはけいれんをくり返す
- ⚠38度以上の熱が続き、水分がとれない
- ⚠機嫌が悪く、泣き続けて落ち着かない
- ⚠接種した部分の赤みや腫れが大きく広がり、痛みが強い
- ⚠短いけいれんが一度あった(おさまったあとでも、その日のうちに受診を)
一般的な症状
- 注射した部分が赤くなる、腫れる、痛む(数日でおさまることが多い)
- 軽い熱が出る(接種の翌日〜数日以内に多い)
- 機嫌が悪くなる、少しぐずりやすくなる
- 食欲が少し落ちる、だるそうにする
- 接種後しばらく眠くなったり、逆に落ち着かなかったりする
子供の症状
- 赤ちゃんでは、熱や注射部分の腫れのほかに、いつもより泣きやすくなったり、母乳やミルクの飲みが少し減ったりすることがあります。
- 生後2〜3か月ごろは、予防接種とは関係なく具合が悪くなることがあります。接種のあとの変化かどうか迷うときは、自己判断せずにかかりつけ医に相談してください。
- BCGのあとは、接種したところが赤くなったり、小さなできものができたりします。これはよくある反応で、時間とともに落ち着きます。
高齢者の症状
- 子ども時代の予防接種とは別に、大人には年齢や健康状態に応じてすすめられるワクチンがあります(季節性インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹など)。
- 高齢者の場合は、接種後の発熱やだるさが長引くことがあります。持病がある方は、受ける前に主治医に相談しましょう。
原因
主な原因
- 感染症は、ウイルスや細菌(病原体)が体に入って増えることで起こります。
- 予防接種は、病原体の一部や、弱めた病原体を使って「免疫の練習」をさせるしくみです。実際に病気になるわけではありません。
- 接種後に出る熱や腫れは、免疫がつくられていくときの体の反応で、多くの場合は一時的です。
リスク要因
- 集団生活(保育園・幼稚園・学校)は、感染症が広がりやすい場です。
- 赤ちゃんは免疫がまだ十分に育っていないため、感染すると重症になりやすいことがあります。
- 海外への渡航や、まわりで流行しているときも、感染の機会が増えます。
- 病気や治療で免疫が弱くなっている子どもは、感染すると重症化しやすいため、まわりの人の接種が大切になります。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 接種後、息苦しさ・顔や喉の腫れ・全身のじんましんが出た(命に関わることがあるため、すぐ119番に連絡してください)
- けいれんが起きた、または意識がはっきりしない
- 高い熱が続き、水分がとれず元気がない
- 接種した部分が大きく腫れて、どんどん広がっている
定期受診を予約すべき場合:
- 接種後の熱や腫れが数日たってもよくならない
- 接種のスケジュールが遅れてしまい、どう進めればよいか知りたい
- 2種類以上のワクチンを同時に受けたい、または間隔をあけたい
- 持病がある、アレルギーがある、今まで接種で気になる反応が出たことがある
診断
予防接種は「診断してから治療する」ものではなく、受ける前に安全に進めるための確認を行うものです。問診票に健康状態や今までの接種歴、アレルギーの有無などを書き、医師が体調をみてから接種します。接種後に気になる症状が出た場合は、医師が診察して、ワクチンとの関係や対応を判断します。
行われる可能性のある検査
- 問診(体調・既往歴・アレルギー・今までの接種歴の確認)
- 体温測定と、のどや胸の音などの診察
- 必要な場合の血液検査など(症状に応じて)
- 接種記録(母子健康手帳)の確認
診察で予想されること
接種の前には、ふだんの体調をメモしておくとスムーズです。当日は、朝から元気で熱がないことを確認し、問診票を持って行きます。接種は数秒で終わりますが、接種後は15〜30分ほど会場で様子をみるのが一般的です。
治療
予防接種そのものは「治療」ではなく「予防」のためのものです。接種後に熱や痛みが出たときは、こまめな水分補給や、体を冷やしすぎないような服装で休ませるなど、自宅でできるケアが中心になります。つらいときは、医師や薬剤師に相談したうえで、解熱鎮痛の薬を使うこともあります。
自宅でのセルフケア
- 接種した日は、はげしい運動や長いお風呂(プールも)はひかえ、ゆっくり休ませる
- 熱があるときは、母乳・ミルク・白湯などでこまめに水分をとる
- 接種した部分は、こすらず、清潔にしておく
- 体温と症状をメモしておくと、受診のときに役立つ
- 当日の夜は、子どもの様子をときどき見てあげる
医療治療
医療機関では、症状に合わせて対応します。熱や痛みがつらいときは、医師の判断で解熱鎮痛の薬が使われることがあります。強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が疑われるときは、救急対応が必要になります。市販薬を使う場合も、子どもの年齢や体調に合っているか、必ず薬剤師や医師に確認してください。
手術が検討される場合
予防接種に関して手術が必要になることは、通常ありません。
この病気と共に生きる
予防接種は1日で終わるものではなく、何年もかけて何回か受けるものです。母子健康手帳の記録を見ながら、次の予定をカレンダーに書き込んでおくと忘れにくくなります。接種の日は予定を詰め込みすぎず、ゆっくり過ごせるようにしておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 母子健康手帳と自治体の案内を、いつも同じ場所に保管しておく
- 接種の前日は早めに寝て、当日は朝ごはんをしっかり食べておく(赤ちゃんはふだんどおりの授乳で)
- 家族や保育園の先生と、接種予定を共有しておく
- 体調が悪いときは無理をせず、延期できるかどうか医師に相談する
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。ふだんの食事で大丈夫ですが、接種の当日は新しい食べ物を初めてあげるのは避け、体調の変化と区別できるようにしておくと安心です。接種後1〜2日は、はげしい運動や長時間の外遊びはひかえめにしましょう。
精神的健康と心の健康
「子どもに痛い思いをさせるのがつらい」「副反応が心配」と感じる保護者はとても多いです。その気持ちは自然なものです。接種の意味や副反応のことをよく知っておくと、気持ちが少し楽になります。不安が強いときや、気分が落ち込む状態が続くときは、ひとりで抱えず、かかりつけ医や自治体の相談窓口に話してみてください。
予防
予防接種は、感染症にかかるリスクと、かかったときの重症化のリスクを下げる、とても有効な方法です。多くの人が接種することで、社会全体で感染を広げにくくする効果も期待できます。
ワクチン
日本では、ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、五種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ)、BCG、MR(麻疹・風疹)、水痘、日本脳炎、HPV(子宮頸がん予防)などが、年齢に応じて定期接種として案内されています。接種の回数や間隔はワクチンごとに決まっており、年齢によって公費の対象が変わります。具体的なスケジュールは、母子健康手帳、自治体の案内、かかりつけ医の説明を確認してください。
検診プログラム
予防接種には「受ける前の確認」が大切です。問診票で体調や接種歴を伝え、医師が接種してよいかどうかを判断します。母子健康手帳で接種もれがないか、ときどき見直しておくとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- ワクチンで防げる病気にかかると、肺炎や脳炎、気管支炎などの合併症を起こすことがあります。
- 麻疹やおたふくかぜなどは、耳が聞こえにくくなる、脳に影響が出るなど、長く続く後遺症につながることがあります。
- 小さな赤ちゃんや、免疫が弱い人に感染が広がると、重症化しやすくなります。
- 集団生活の場で流行すると、学級閉鎖など、日常生活にも影響が出ることがあります。
長期的な見通し
多くの子どもは予防接種を無事に終え、元気に育っていきます。接種後に出る熱や腫れの多くは一時的なもので、数日でおさまります。重い副反応はまれですが、ゼロではありません。だからこそ、接種後の様子をよく見て、気になることがあれば早めに相談することが大切です。スケジュールが遅れてしまっても、多くの場合は追いつく方法があります。あきらめずに、かかりつけ医に相談してみてください。
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最終更新: 2026年10月24日
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