腸閉鎖(ちょうへいさ)
概要
腸閉鎖は、生まれつき腸の一部がつながっていない、または塞がっている状態です。腸は食べ物を運ぶ管のような器官です。通り道が途切れていると、飲んだミルクや消化液が先へ進めず、赤ちゃんに吐き気やおなかの張りなどが起こります。
重要な事実
- 生まれつき腸の通り道が途切れている、または狭く塞がっている病気です。
- 新生児では緑色の呕吐、おなかの張り、便が出ないことが手がかりになります。
- 手術で通り道を作ります。早期に治療すれば、多くの赤ちゃんが成長できます。
とてもよくある病気ではありません。比較的まれな先天異常です。日本でも新生児の病気として知られていますが、すべての赤ちゃんに起こるものではありません。
主に生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)に見つかります。妊娠中の超音波検査で疑われることもあります。大人になって初めて腸閉鎖と診断されることは、ほとんどありません。
症状
- 赤ちゃんが緑色のものを吐き、ぐったりしている
- おなかが大きく膨らみ、呼吸が苦しそう
- 顔色が青白い、または意識がぼんやりしている
- おしっこが半日以上出ない、口が乾いて泣いても涙が出ない
- 発熱と強いおなかの張りがあり、元気がない
- ⚠呕吐が続いて水分を受けつけられない
- ⚠おなかの張りと痛みが強い
- ⚠便が出ない状態が続き、おなかが張っている
- ⚠術後の傷が赤く腫れている、膿(うみ)のようなものが出ている
- ⚠発熱がある、またはいつもよりぐったりしている
一般的な症状
- 吐く(特に緑色の呕吐)
- おなかが張る
- ミルクを飲みたがらない、飲んでも吐く
- 便(胎便)が出ない
- ぐったりする、元気がない
子供の症状
- 新生児では、胆汁(たんじゅう)が混じった緑色の呕吐をくり返すことがあります。
- 生後24〜48時間たっても胎便(たいべん)が出ないことがあります。
- おなかが大きく膨らみ、痛がるように泣くことがあります。
- ミルクを飲めず、脱水(だっすい)でおしっこが減ることがあります。
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりしている場合は急いで受診が必要です。
高齢者の症状
- 大人になって初めて腸閉鎖と診断されることは、ほとんどありません。
- 小さいころに腸の手術を受けた方は、大人になって腸の癒着(ゆちゃく)による腸閉塞(ちょうへいそく)を起こすことがあります。
- 腹痛、呕吐、おなかの張り、便やガスが出ない状態が続く場合は、早めに医療機関に相談してください。
原因
主な原因
- 胎児の腸が作られる過程で、一部がうまくつながらないことが原因と考えられています。
- 腸への血流が一時的に悪くなることが関係する場合があります。
- 染色体の変化や他の先天異常と一緒に起こることがあります。
リスク要因
- 妊娠中の超音波検査で羊水(ようすい)が多いと指摘される
- 赤ちゃんに他の先天異常がある
- 家族に先天異常の病史がある場合(まれです)
- 妊娠中の健診で腸の異常を疑われた
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 緑色の呕吐をくり返す
- おなかが固く張って、痛がる
- 水分を受けつけず、おしっこが減っている
- 発熱やぐったりした様子がある
- 術後の傷の赤み・腫れ・膿がある
定期受診を予約すべき場合:
- 術後の授乳や食事の進みが悪い
- 体重が増えない、成長が気になる
- 呕吐や下痢が続く
- 便の回数や状態がいつもと違う
- 傷の治りが気になる
診断
妊娠中の超音波検査で疑われることも、出生後の症状から見つかることもあります。赤ちゃんの状態を確認し、画像検査や血液検査を行って診断します。
行われる可能性のある検査
- 妊娠中の超音波検査
- 出生後の腹部レントゲン検査
- 腹部超音波検査
- 造影検査(胃や腸に造影剤を入れて写す検査)
- 血液検査(脱水や電解質の状態を確認します)
- 必要に応じて遺伝子や染色体の検査
診察で予想されること
見つかった場合は、新生児を扱える病院で検査と治療が進められます。保護者の方は、医師から病状と手術の説明を受け、必要な準備をします。検査の結果を待つ間は不安だと思いますが、医療チームが一緒に支えてくれます。
治療
まず脱水を防ぎ、赤ちゃんの体を安定させます。その後、手術で腸の通り道を作ります。閉鎖の場所や長さによって治療の進め方が変わります。
自宅でのセルフケア
- 退院後は医師の指示どおりに授乳や食事を進める
- 傷口を清潔に保ち、医師の指示に従ってケアする
- 呕吐、おなかの張り、発熱、便の状態を記録する
- 定期受診を欠かさず、成長と体重の変化を相談する
- 授乳前後やおむつ交換のあとは手を洗う
医療治療
点滴で水分や電解質を補い、鼻から胃に細い管を入れて胃の中のものを出すことがあります。体の状態が整ったら、手術で閉鎖した部分を取り除き、腸をつなぎます。状態によっては一時的に人工肛門(じんこうこうもん)を作ることがあります。退院後も栄養や成長を見守ります。
手術が検討される場合
診断後、赤ちゃんの全身状態を整えてできるだけ早く手術を行います。緊急で手術が必要な場合もあります。閉鎖の場所や長さによって手術の方法が変わります。
この病気と共に生きる
退院後は、授乳量や体重の増え方を見ながら生活します。呕吐やおなかの張りがないか、便は出ているかを毎日確認しましょう。気になることがあれば、次回の受診を待たずに医療機関へ相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 決まった時間に少量ずつ授乳や食事を進める
- 傷口やおむつ周りを清潔に保つ
- たばこの煙を避ける
- 予防接種は医師と相談しながら進める
- 家族で体調の変化を共有する
食事と運動
術後は消化に負担をかけないよう、少量ずつ様子を見ながら進めます。成長に合わせて食べられるものが増えていきます。運動は医師の許可を得てから、無理のない範囲で始めましょう。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの病気で、保護者の方は不安や罪悪感を感じることがあります。それは自然な気持ちですが、病気のせいで保護者の方が責められることはありません。眠れない、気持ちがつらい状態が続くときは、一人で抱え込まず医療者や地域の相談窓口に話してください。緊急の場合は119番に連絡してください。
予防
多くの場合、腸閉鎖を完全に防ぐことは難しいです。妊娠中の健診を欠かさず、超音波検査を受けることが早期発見につながります。次の妊娠を考えるときは、医師や遺伝カウンセリングの担当者に相談してください。
ワクチン
腸閉鎖そのものを防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
妊娠中の超音波検査で疑われることがあります。出生後は、症状に応じて検査が行われます。
合併症
治療しない場合
- 脱水と電解質の乱れ
- 腸が破れる(穿孔)
- 腹膜炎(ふくまくえん)や敗血症
- 栄養不良や成長障害
- 呕吐物が気管に入る誤嚥性肺炎
長期的な見通し
早期に手術を受けられれば、多くの赤ちゃんは元気に育つことができます。閉鎖の場所や長さ、他の病気の有無によって経過は異なります。退院後も定期的なフォローを受けながら、成長を見守っていくことが大切です。希望を持って、医療チームと一緒に進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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