鉄について知っておきたいこと(鉄欠乏・鉄欠乏性貧血)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
鉄は、体の中で赤血球をつくり、全身に酸素を運ぶ働きをする大切な栄養素です。鉄が不足すると、体が十分な赤血球をつくれなくなり、疲れやすくなったり、動悸や息切れが起こったりします。この状態を鉄欠乏性貧血といいます。
重要な事実
- 鉄は酸素を運ぶヘモグロビンというたんぱく質の材料になります。
- 日本人女性は、特に月経のある時期に鉄が不足しやすいことが知られています。
- 鉄は、肉や魚、大豆製品、緑黄色野菜など、さまざまな食品からとることができます。
- 鉄不足は、採血による血液検査で調べることができます。
鉄不足(および鉄欠乏性貧血)は、世界中で最も多い栄養不足のひとつです。日本でも、特に月経のある女性や妊婦さんに多く見られます。
子どもから高齢者まで、誰でも起こり得ます。特に、月経のある女性、妊婦さん、成長期の子ども、高齢者に多く見られます。また、ベジタリアンやビーガンの方も不足しやすいことがあります。
症状
- 胸が強く痛む
- 呼吸がとても苦しい
- 意識を失いそうになる、突然の意識障害
- 大量に出血している(吐いたものに血が混じる、黒い便が続くなど)
- ⚠食事がとれないほどの強い吐き気やおなかの痛みがある
- ⚠血便や黒色便がある
- ⚠月経血が非常に多く、めまいがひどい
- ⚠激しい動悸や息切れがある
一般的な症状
- 疲れやすい・体がだるい
- 顔色が青白い
- 少し動いただけで息切れする
- 動悸がする
- めまいや立ちくらみがする
- 頭痛がする
- 手足が冷える
- 爪が割れやすい、スプーン状にへこむ
- 口角炎や口内炎ができやすい
- 氷や土など、食べ物ではないものを食べたくなる
子供の症状
- 元気がない、抱っこをせがむ
- 食欲がない
- 顔色が青白い
- 集中できない、イライラする
- 成長や発達がゆっくりになる
高齢者の症状
- 疲れやすい
- 歩くときに息切れする
- 頭がぼーっとする、物忘れが増えたように感じる
- 心臓の病気の症状が悪化する(動悸など)
- 食欲が低下する
原因
主な原因
- 食事からの鉄の摂取不足
- 月経や消化管の出血などによる鉄の喪失
- 妊娠・授乳で鉄の必要量が増える
- 胃や腸の病気で鉄が吸収されにくい
- 慢性的な病気(腎臓病など)による貧血
リスク要因
- 女性(特に月経量が多い方)
- 妊娠・授乳中
- 子どもや赤ちゃんの成長期
- 消化器の病気(胃潰瘍・大腸がんなど)
- ベジタリアン・ビーガン
- 頻回の献血
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 黒色便や血便がある
- 吐血・血を吐く
- 突然の強い胸痛・息切れがある
- めまいで立っていられない
- 意識がはっきりしない
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れやすさや息切れが続く
- 顔色が青白い、爪が割れやすい
- 月経量が多い、月経不順
- 氷や土など食べ物以外のものを食べたい
- 食欲がない、体重が減った
- 長く鉄剤を服用しているのに改善しない
診断
医師が症状や食生活、月経の状況などを聞き、身体診察を行ったうえで、血液検査をします。必要に応じて、出血の原因を調べるための追加検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血算・ヘモグロビン値)
- 血清フェリチン(体内の鉄の貯蔵量を反映する指標)
- 鉄濃度・トランスフェリン飽和度(血液中の鉄の状態を調べる)
- 便潜血検査(消化管の出血を調べる)
- 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)※必要な場合
診察で予想されること
採血は腕から行い、数分で終わります。結果が出るまでに数日かかることがあります。貧血の原因を特定するために、追加の検査をすすめられることもあります。
治療
治療は、鉄の不足を補うことと、原因となっている病気を治療することの2つが柱になります。鉄の補充は、医師の指示のもとで行うことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 鉄を多く含む食品(赤身の肉、魚、大豆製品、緑黄色野菜など)を毎食とり入れましょう。
- ビタミンCを一緒にとると鉄の吸収がよくなります(果物、野菜など)。
- 食事中や食直後の濃いお茶やコーヒーは、鉄の吸収を妨げることがあります。
- 規則正しい生活と十分な睡眠で体を休めましょう。
医療治療
医師の判断で、鉄の内服薬(鉄剤)が処方されることがあります。鉄剤は医師の指示どおりに服用してください。重度の貧血や内服が難しい場合には、点滴で鉄を補う治療が行われることもあります。また、原因となる病気(胃潰瘍・大腸ポリープなど)が見つかれば、その治療も行います。
手術が検討される場合
消化管からの出血が原因の場合は、内視鏡での止血や外科手術が必要になることもありますが、多くの場合は薬と生活の見直しで改善します。
この病気と共に生きる
鉄剤を服用する場合は、毎日忘れずに服用しましょう。数週間で症状が改善することが多いですが、血液検査で正常に戻ったからといって自己判断でやめず、医師の指示に従って続けることが大切です。定期的な通院と血液検査を怠らないようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 鉄剤は医師の指示どおり飲みましょう
- 定期的に体重や健康状態をチェックしましょう
- 激しい運動は避け、体調に合わせて体を動かしましょう
- 強い疲れがあるときは無理をせず休みましょう
食事と運動
食事では、鉄分を多く含む食品を毎日少しずつとりましょう。肉や魚だけでなく、ひじきや大豆など植物性の鉄も役立ちます。ビタミンCと一緒にとると吸収しやすいです。運動は、息があがらない程度の軽いウォーキングなどがおすすめです。貧血がひどいときは、運動よりも休養を優先してください。
精神的健康と心の健康
貧血が続くと、気分が落ち込んだり、イライラしたりすることがあります。それは決して気のせいではなく、体の状態が影響していることもあります。もしつらい気持ちが続くようなら、医師や看護師、保健師などに相談してください。心のサポートも治療の大切な一部です。
予防
鉄不足は、毎日の食事と生活習慣で防ぐことができることが多いです。特に月経のある女性や、成長期の子どもは、意識的に鉄分をとるようにしましょう。月経量が多い、または原因不明の疲れがある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
検診プログラム
健康診断(特定健康診査など)で貧血の項目(ヘモグロビン値)を確認することができます。妊婦健診でも貧血の検査が行われます。月経過多など気になる症状がある方は、一度血液検査を受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 重度の貧血で心臓に負担がかかり、心不全を起こすことがある
- 妊娠中の貧血は、早産や低出生体重児のリスクを高める
- 子どもの発達・学習に影響することがある
- 免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなることがある
長期的な見通し
鉄不足・鉄欠乏性貧血は、原因を明らかにして適切に治療すれば、通常は数か月で改善します。治療後も必要に応じて経過をチェックすることで、再発を防ぐことができます。不安なことはなんでも医師に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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