腎臓がん
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎臓がんとは、腰の上の方にある腎臓という臓器に、悪性の腫瘍(がん)ができる病気です。腎臓は尿を作り、体の中の余分な水分や老廃物をろ過する働きをしています。腎臓がんの多くは「腎細胞がん」というタイプで、健康な腎臓の細胞が何らかの原因で異常に増えて、しこり(腫瘍)ができます。早期は症状が出にくく、健康診断の画像検査などで偶然見つかることも多い病気です。
重要な事実
- 腎臓がんは初期にはほとんど症状がなく、検診の画像で見つかることが多い
- たばこを吸うこと、高血圧、肥満などが主な危険因子とされています
- 早期に発見し適切な治療を受ければ、比較的よい経過が期待できるがんの一つです
日本では、腎臓がんは男性のがんの中で比較的多いがんのひとつですが、女性ではやや少なく、全がんの中で占める割合はそれほど高くありません。年々増加傾向にあり、検診や画像検査の普及で見つかる機会が増えています。
40歳以降の男性に多く、特に60代から70代で最も多く診断されます。女性では男性の半分くらいの頻度ですが、高齢になるほど増えます。まれに若い人や子どもに起こることもあります。
症状
- 突然、背中やわき腹に強い痛みが現れた
- 大量の血尿があり、めまいや冷や汗、動悸がする
- 息が苦しい、意識がもうろうとする
- ⚠血尿が何日も続いている
- ⚠わき腹や背中にしこりを感じる
- ⚠痛みや発熱が続いて、日常生活に影響がある
一般的な症状
- 血尿(尿に血が混じる)
- わき腹や背中の痛み
- 腹部のしこり(触ってわかることがある)
- だるさ、疲れやすさ
- 理由のはっきりしない体重減少
- 微熱が続く
子供の症状
- おなかのふくらみやしこり
- 発熱や体の痛み
- 食欲がない、体重が増えない
高齢者の症状
- 高齢者では、健康診断や他の病気の検査中に偶然見つかることが多い
- 食欲が落ちる、体重が減る
- 貧血や全身のけん怠感
- 腰や背中の違和感が続く
原因
主な原因
- 腎臓の細胞の遺伝子(DNA)が傷つき、細胞が異常に増え続けることが原因と考えられていますが、正確な原因はまだわかっていません。
- がんは、細胞が免疫の監視をすり抜けて増殖することで発生することが知られています。
- 特定の遺伝性の病気を持つ方では、腎臓がんができやすくなることがあります。
リスク要因
- たばこを吸う(喫煙)
- 肥満(特に体重過多)
- 腎臓の病気で長期間、透析を受けている
- 腎臓がんになった家族(血縁者)がいる
- 年齢(特に60歳以上)
- 男性であること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血尿が一度でも見られた場合(たとえすぐ止まっても)
- 腹部や背中にしこりを感じる場合
- 痛みや原因不明の発熱、体重減少が続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断の画像検査で腎臓に影や腫瘍が疑われた場合
- 家族に腎臓がんの人がいて、心配がある場合
- 高血圧や糖尿病などで定期的に通院している人で、体調の変化を相談したい場合
診断
腎臓がんの診断では、まず問診と身体診察を行い、そのあとに尿検査や血液検査、画像検査を組み合わせて調べます。画像検査で腫瘍が見つかった場合、がんの性質や進行度を詳しく評価するために、CTやMRI、場合によっては生検(組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(血尿や異常な細胞がないかを確認)
- 血液検査(腎臓の働きや貧血、腫瘍マーカーを確認)
- 超音波(エコー)検査(おなかの外から腎臓の形やしこりを調べる)
- CT検査(腎臓や周りの臓器、リンパ節の状態を詳しく調べる)
- MRI検査(がんの広がりや血管への影響を詳しく調べる)
- 生検(組織検査)(腫瘍の一部を針で採取し、がんかどうかを診断)
診察で予想されること
検査は外来で行われることが多く、入院が必要な検査はほとんどありません。CT検査では造影剤を使用することがあり、その場合は事前に食事制限や水分の指示があることがあります。結果がそろうまでに数日から数週間かかります。検査についての疑問や不安は、その場で遠慮なく医師や看護師に聞くようにしてください。
治療
治療方針は、がんの進行度(ステージ)や、腫瘍の大きさと場所、転移の有無、年齢、全身の健康状態、腎臓の働きなどを総合的に判断して決めます。最近では、低侵襲(体への負担が少ない)の治療や薬物療法も進歩しており、選択肢が広がっています。担当医から十分な説明を受け、納得したうえで治療を選ぶことが大切です。
自宅でのセルフケア
- たばこを吸っている場合は、禁煙に取り組みましょう。
- 高血圧や糖尿病などの持病は、きちんと治療を続けましょう。
- 治療に備えて、疲れをためないように十分な休養をとりましょう。
- 不安や疑問は一人で抱え込まず、メモに書いて医師に相談しましょう。
医療治療
腎臓がんの主な治療法には、腫瘍を手術で取り除く方法、ラジオ波や凍結などの熱や冷たさで腫瘍を壊す治療(アブレーション)、抗がん剤や免疫療法を含む薬物療法などがあります。進行したがんでは、化学療法(抗がん剤)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの薬物療法が用いられることもありますが、具体的な薬の名前や組み合わせは、がんの状態や患者さんの体質によって異なります。担当の医師に詳しく相談してください。
手術が検討される場合
手術は腎臓がんの標準的な治療の一つです。早期のがんでは、腎臓を全部摘出せず、がんの部分だけを切除する「部分切除術」が行われることもあります。腫瘍が大きい場合や広がっている場合は、腎臓を一つ摘出することもありますが、もう一方の腎臓が健康であれば、体内の老廃物をろ過する働きは十分維持できることが一般的です。
この病気と共に生きる
治療後も定期的な通院と画像検査、血液検査が必要です。腎臓は残った側で働きを補うことが多いですが、水分の取り方や食事に注意が必要な場合があります。疲れやすさや不安感は治療後も続くことがあるため、無理をせず、体調と相談しながら日常のリズムを整えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 血圧を適切に管理する
- 体重を標準の範囲に保つ
- アルコールは適量を心がける
- 十分な睡眠をとる
食事と運動
腎臓の負担を減らすため、塩分の取りすぎに気をつけ、バランスのよい食事を心がけましょう。たんぱく質の制限が必要かどうかは、腎臓の働きによって異なります。運動は、医師の許可がある範囲で、ウォーキングや軽いストレッチなどの有酸素運動を無理なく続けることがすすめられます。
精神的健康と心の健康
がんの診断や治療は、誰にとっても大きなストレスです。不安、悲しみ、怒り、落ち込みなどの感情は自然な反応です。そういった気持ちが続いたり、眠れない、食欲がないといった症状が強くなった場合は、一人で抱え込まずに、担当医や看護師、医療ソーシャルワーカーなどに相談してください。
予防
腎臓がんを完全に予防する方法はまだ確立されていません。しかし、禁煙、高血圧の管理、適正体重の維持といった生活習慣の改善が、リスクを下げる可能性があります。また、原因不明の血尿やわき腹の痛みなどの症状を我慢せず、早めに医療機関を受診することも早期発見につながります。
検診プログラム
腎臓がんに特化した集団検診は一般的ではありません。ただし、健康診断の腹部超音波検査(腹部エコー)や、他の病気で受けたCT検査で、腎臓がんが見つかることがあります。検診の結果、腎臓の異常を指摘された場合は、必ず精密検査を受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- がんが大きくなり、腎臓の外に広がる
- 肺、骨、肝臓、脳などほかの臓器に転移する
- がんが血管に入り、血栓(血のかたまり)ができる
- 腎機能が低下し、体に老廃物がたまりやすくなる
長期的な見通し
腎臓がんは、早期の段階で見つかり、手術で完全に取り除くことができれば、多くの場合で治癒が期待できます。進行したがんや転移がある場合でも、近年は薬物療法や治療技術の進歩により、長く闘病しながら生活の質を保つことができるようになってきています。診断結果や治療方針に納得できるまで、医師とよく話し合うことが大切です。希望を持って、一歩ずつ治療に取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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