腎結石(尿路結石)— 痛みが強いけれど予防できる病気
概要
腎臓の中で、尿に含まれるミネラル分が固まって小さな石のようなものができる病気です。この石を「結石(けっせき)」と呼びます。腎臓の中にあるうちは痛みがないことも多いのですが、尿の通り道である細い管(尿管)に落ちてくると尿の流れをせき止め、背中や腰に強い痛みを起こします。決して珍しい病気ではなく、一生のうちに一度は経験する人が少なくありません。
重要な事実
- 石の大きさは砂粒のようなものから数センチのものまでさまざまで、多くの場合は自然に尿と一緒に出ていきます。
- 痛みは背中や腰の片側に突然起こり、波のように強くなったり弱くなったりするのが特徴です。
- 一度できると再発しやすい病気ですが、水分のとり方や食事の見直しである程度防げます。
日本では男性で約7人に1人、女性で約15人に1人が生涯に一度は経験するといわれ、とても身近な病気です。救急外来で突然の腰の痛みの原因として見つかることもよくあります。
30〜60代の働く世代に多く、男性のほうが女性よりなりやすいといわれています。汗をたくさんかく仕事や暑い環境にいる人、水分をあまりとらない人、肥満の人、そして一度結石になったことのある人(再発しやすい)に多くみられます。子どもではまれで、高齢者では痛みを感じにくいことがあります。
症状
- 意識がもうろうとしている、ぐったりして反応が弱い
- 震えを伴う高い熱と腰の強い痛みが同時にある(感染を伴う腎盂腎炎などのおそれ)
- 呼吸が苦しい、顔色が悪い、冷や汗が止まらない
- まったくおしっこが出ない
- このような症状があるときは、ためらわず119番に電話して救急車を呼んでください
- ⚠腰や背中に耐えられないほどの痛みがある
- ⚠38℃以上の発熱を伴う
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠血の混じった尿が続く
- ⚠尿が濁っている、悪臭がする、排尿時に強い痛みがある
- ⚠痛みで眠れない、日常生活が送れない
一般的な症状
- 背中から腰にかけての片側の激しい痛み(波のように強くなったり弱くなったりする)
- 痛い側の下腹部や足の付け根、陰部に広がる痛み
- 血の混じった尿、または尿の色が濃くなる
- 吐き気や嘔吐、冷や汗
- おしっこが近い、出にくい、残った感じがする
- 痛みでじっとしていられず、体の向きを変えても楽にならない
子供の症状
- 子どもではまれですが、起こったときは尿の通り道の形の異常や代謝の病気が隠れていることがあります
- おなかの痛みとして訴えることが多い
- 血尿、嘔吐、ぐずって機嫌が悪い、元気がない
- おしっこの量が減る、おしっこのとき痛がる
- はっきりした症状が出にくいので、小児科で相談してください
高齢者の症状
- 痛みがはっきりせず、発熱や食欲がない、元気がない、なんとなくぼんやりするといった形で見つかることがある
- 脱水や寝たきりの状態、服薬の影響が関係することがある
- 認知症のある方は痛みを伝えにくいため、まわりの人の気づきが大切
- 感染を伴うと急に具合が悪くなることがあるので注意が必要
原因
主な原因
- 尿の中のカルシウムやシュウ酸、尿酸などの成分が濃くなりすぎて、結晶になって固まることでできます
- 水分が足りずに尿が濃くなることが、もっともよくある背景です
- 尿の通り道が細い、生まれつきの形の異常がある、感染を繰り返すなどで尿が滞ることも原因になります
- ホルモンの器官(副甲状腺など)の病気や代謝の病気、一部の薬が関係することもあります
リスク要因
- 水分をあまりとらない、尿の色がいつも濃い
- 汗をたくさんかく仕事、暑い環境での作業
- 肥満、体重が増えたこと
- 塩分の多い食事、動物性たんぱく質のとりすぎ
- シュウ酸を多く含む食品のとりすぎ
- 尿酸が高い、痛風がある
- 糖尿病、高血圧などの生活習慣病
- 尿路感染の繰り返し
- 家族に結石になった人がいる
- 過去に自分が結石になったことがある(もっとも強い危険因子です)
- 寝たきりや脱水になりやすい状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい腰・背中の痛みがあるときは、その日のうちに医療機関を受診してください
- 発熱を伴う腰の痛み、尿が出ない、嘔吐が続く場合は、急いで受診してください
- 意識がもうろうとする、呼吸が苦しいなど緊急性が高いと感じたら119番へ
定期受診を予約すべき場合:
- 過去に結石になったことがあり、再発が心配なとき
- ときどき尿に血が混じる、尿の色が濃い日が続く
- 腰に鈍い違和感や重い感じが続く
- 家族に結石の人が多い
- 健診の尿検査で血尿を指摘された
診断
まず問診で、痛みがどこから始まったか、どんなふうに波があるか、尿の色などを聞きます。そのうえで尿検査と画像検査を行い、石があるかどうか、大きさと場所、尿の流れが止まっていないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(血尿や感染の有無を調べます)
- 血液検査(腎臓のはたらき、炎症、尿酸などを調べます)
- 腹部超音波検査(石や尿のたまり具合を見ます)
- 腹部のCT検査(石の大きさと位置が最もよくわかります)
- レントゲン検査
- 必要に応じて、出てきた石の成分分析や1日分の尿を集める検査
診察で予想されること
診察では、まず痛みをとることが優先されます。画像で石の大きさと場所を確認したうえで、自然に出るのを待つか、治療が必要かを医師と相談します。CTを撮るときは放射線の量についても遠慮なく医師に確認してください。
治療
治療の内容は、石の大きさ、場所、感染の有無、腎臓のはたらきによって決まります。小さな石の多くは自然に出るのを待ちます。大きい石や、尿の流れが止まっている場合は、石を砕いたり取り出したりする治療を行います。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分をとり、尿の色が薄い黄色になるようにする
- 痛みが強いときは無理をせず、早めに医療機関を受診する
- 石が出てきたら拾っておき、医師や看護師に見せる(成分がわかると再発予防に役立ちます)
- 激しい運動は避けつつ、軽い散歩など適度に体を動かす
- 塩分を控えめにし、バランスのよい食事を心がける
医療治療
痛みが強いときは、医療機関で痛み止めや吐き気止めを使います。石が小さければ、水分をとりながら自然に出るのを待つことが多いです。石が尿管に詰まって尿が流れなくなったときは、細い管(尿管ステント)を入れて尿の通り道を確保することがあります。石の大きさや硬さによっては、体外から衝撃波を当てて砕く治療や、内視鏡を使って石を砕いて取り出す治療が行われます。どの方法がよいかは医師と相談して決めてください。薬の名前や量、使い方については、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
石が大きい(おおむね6〜7mm以上)、自然に出る見込みが低い、尿の流れが完全に止まっている、感染を伴う、痛みが強く続くといった場合は、結石を砕いたり取り出したりする治療が検討されます。入院が必要になることもあります。
この病気と共に生きる
痛みの発作が起きたときは、無理に動かず、楽な姿勢をとって早めに受診しましょう。発作がないときは、水分をこまめにとることと、食事の見直しを日常生活に取り入れることが大切です。石が出たあとも、再発を防ぐための習慣を続けることが役に立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 1日の水分量を意識し、のどが渇く前に少しずつ飲む
- 汗をかいた日は、いつもより多めに水分をとる
- 塩分の多い加工食品や濃い味付けを控えめにする
- 適正体重を保つ
- 定期的に健診を受け、尿検査をチェックする
- 医師に言われた再発予防の計画を、無理のない範囲で続ける
食事と運動
水分をこまめにとることがもっとも大切です。塩分を控えめにし、野菜や果物、適度な量の乳製品を含むバランスのよい食事を心がけましょう。シュウ酸を多く含む食品は「まったく食べない」のではなく、偏らないことが大切です。ウォーキングなど軽い運動は体によいですが、暑い日の屋外での激しい運動は脱水につながるので注意してください。食事の具体的な内容は、医師や管理栄養士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
強い痛みを経験すると、また起きたらどうしようという不安が残ることがあります。痛みで眠れない、仕事や家事が思うように進まないと、気持ちが落ち込むのも自然なことです。ひとりで抱え込まずに、家族や友人、医療者に話してみてください。つらい気持ちが続くときは、かかりつけ医やお住まいの自治体の相談窓口、地域の精神保健福祉センターなどに相談できます。緊急を要すると感じたら、迷わず119番に電話してください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、再発のリスクは生活の工夫である程度下げられます。水分をこまめにとり、塩分を控え、適正体重を保つことが中心になります。一度なった人は、特に再発予防が大切です。
検診プログラム
結石があった人は、医師の指示に従って定期的に尿検査や画像検査を受けましょう。健診の尿検査で血尿を指摘された場合は、早めにかかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 石が尿管をふさぎ、尿が腎臓にたまって腎臓のはたらきが低下することがある
- 細菌感染を伴う腎盂腎炎(じんうじんえん)を起こし、高熱や強い痛みが出ることがある
- まれに感染が全身に広がり、重症になることがある
- 痛みが長引いたり、繰り返したりして生活の質が下がる
- 結石が大きくなり、治療が複雑になることがある
長期的な見通し
ほとんどの石は自然に出るか、治療で取り除けます。腎臓のはたらきが大きく損なわれることは多くありません。ただし再発しやすいので、水分と食事の習慣を続け、気になる症状があれば早めに受診することが、長く安心して過ごすための近道です。
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最終更新: 2026年10月24日
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