尿路結石(腎結石)— 激痛から行動へ
概要
尿路結石は、尿の中に含まれるミネラルなどが固まって、小さな石のような塊ができる病気です。石はふつう「腎臓(にょうきん)」の中でつくられます。腎臓は腰のあたりにある、尿をつくる臓器です。できた石が「尿管(にょうかん)」という、腎臓と膀胱(ぼうこう)をつなぐ細い管に落ちてくると、尿の流れがさまたげられ、腰から下腹部にかけての激しい痛みが起こります。石の大きさは砂粒のようなものから、数センチのものまでさまざまです。小さな石は尿と一緒に自然に出てくることも多く、そのとき一時的に強い痛みが出ます。
重要な事実
- 尿路結石は、尿の中の成分が濃くなって固まり、石になることで起こります。
- 石が尿管に詰まると、腰や背中の激しい痛み(疝痛/せんつう)や血尿が出ることがあります。
- 小さな石の多くは自然に出ますが、痛みが強いときや発熱があるときは早めに医療機関を受診してください。
日本では珍しい病気ではありません。生涯のうちに尿路結石を経験する人は、男性でおよそ10人に1人、女性でおよそ20人に1人くらいと言われています。また、一度治っても数年のうちに再びできることがある、再発の多い病気でもあります。
30〜60歳くらいの働きざかりの世代に多く、女性より男性に多い傾向があります。ただし子どもや高齢者を含め、どの年代でも起こる可能性があります。水分をとる量が少ない人、食生活の偏りがある人、肥満や糖尿病のある人、家族に結石の経験者がいる人では起こりやすくなります。
症状
- 腰や背中の激しい痛みに加えて、38℃以上の発熱や悪寒(さむけ)がある(感染を伴う腎盂腎炎が疑われる状態)
- 意識がぼんやりしている、会話がかみ合わない、ぐったりしている
- 尿がまったく出ない、またはほとんど出ない
- 顔色が青白く、汗が止まらない、血圧が下がっているように見える(ぐったり、手足が冷たい)
- 痛みが強く、自分では動けない、救急車を呼ぶべきか迷うほどつらい
- ⚠血尿が続いている
- ⚠痛みで水分がとれず、嘔吐を繰り返して脱水が心配される
- ⚠発熱がある、または尿が濁っている、においが強い
- ⚠痛みが数時間以上続き、痛み止めを使ってもよくならない
- ⚠妊娠中の方、または腎臓の病気がある方で、腰の痛みや血尿が出た
一般的な症状
- 腰や背中、脇腹の激しい痛み(波のように強くなったり弱くなったりする)
- 痛みが下腹部や足のつけ根、太ももの内側へ広がる
- 尿に血が混じる(血尿)、尿の色が赤っぽく、またはコーラ色になる
- 吐き気や嘔吐、冷や汗、顔色が悪くなる
- 頻尿(何度もトイレに行きたくなる)、残尿感、排尿時の痛み
- 痛みのため、じっとしていられない、楽な姿勢が見つからない
子供の症状
- 子どもの尿路結石はまれですが、おなかの痛みや血尿、繰り返す尿路感染として見つかることがあります。
- 小さい子どもは痛みの場所をうまく伝えられないため、理由のない不機嫌や泣き続ける、嘔吐などが手がかりになります。
- 子どもでは、生まれつきの尿路の形の異常や代謝(体の成分の処理)の病気が関係していることがあるため、検査を受けることが大切です。
高齢者の症状
- 高齢者では痛みが弱かったり、はっきりしないことがあり、見つけるのが遅れることがあります。
- 発熱があっても体温が上がりきらないことがあり、感染(腎盂腎炎/じんうじんえん)を見逃すおそれがあります。
- なんとなく元気がない、食欲がない、意識がぼんやりするなど、痛み以外の形で現れることがあります。
原因
主な原因
- 尿の量が減って、尿の中のカルシウムやシュウ酸(しゅうさん)、尿酸などの成分が濃くなり、固まって結晶になる
- 水分をとる量が少なく、尿が濃くなる(夏場や汗を多くかくときも同様)
- 尿路の感染があり、その影響で石ができやすくなる
- ホルモンや代謝の異常(副甲状腺の働きの異常など)で血液や尿の成分のバランスがくずれる
- 生まれつき尿路の形に異常がある、または尿の流れが悪い
- 体質や遺伝の影響で、石ができやすい家系がある
リスク要因
- 水分をあまりとらない習慣がある
- 塩分の多い食事、動物性たんぱく質に偏った食事
- シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、紅茶、ナッツ類など)のとりすぎ
- 肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症
- 痛風や高尿酸血症がある
- 以前に尿路結石になったことがある、または家族に経験者がいる
- 暑い場所での作業や運動で汗を多くかく
- 寝たきりや長時間の安静で体を動かす機会が少ない
- 一部の薬の影響(自己判断で中止せず、気になる場合は医師や薬剤師に相談してください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 腰の痛みと発熱が同時にある(すぐに受診してください)
- 尿が出ない、血尿が続く
- 痛みが非常に強く、水分もとれない、嘔吐を繰り返す
- 妊娠中、または腎臓の病気がある方の腰の痛み
定期受診を予約すべき場合:
- 腰や背中、脇腹の痛みが繰り返す、または数日続く
- 尿の色が赤っぽい、またはコーラ色になることがある
- 頻尿や排尿時の違和感が続く
- 以前に結石と言われたことがあり、再発が心配
- 家族に結石の経験者が多い
診断
まず、どのあたりがどのように痛むか、いつからか、血尿や発熱があるかなどを聞きます(問診)。そのうえで尿検査や血液検査、画像検査を行い、石があるかどうか、石の大きさや場所、尿の流れがとどこおっていないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診(痛みの場所、痛み方、これまでの結石の経験、家族歴、服薬の確認)
- 尿検査(血尿、尿の濁り、感染の有無を調べる)
- 血液検査(腎臓の働き、炎症、尿酸やカルシウムなどの値を調べる)
- 超音波(エコー)検査(体に負担の少ない検査で、石や尿のたまりを確認)
- CT検査(石の大きさや位置をくわしく調べる。必要に応じて行います)
- レントゲン検査(画像検査の一つとして行われることがあります)
- 場合によっては、尿の成分を調べる検査や、代謝の異常を調べる検査
診察で予想されること
検査は多くが短時間で終わり、体への負担は比較的少なめです。画像検査の結果は、その日のうちに説明されることが多いです。石の大きさや場所によって、自然に出るのを待つか、治療を受けるかが変わります。診断の流れや検査の内容について不安があれば、遠慮せず医師や看護師に質問してください。
治療
治療の目的は、痛みをやわらげること、石を出すこと、そして感染や腎臓への負担を防ぐことです。石が小さければ、水分をとりながら自然に出るのを待つことが多く、痛みには痛み止めが使われます。石が大きい場合や、尿の流れがとどこおっている場合、感染を伴う場合には、石を取り除く処置が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる(尿の色がうすい黄色になるくらいが目安。心臓や腎臓の病気がある方は医師に量を相談してください)
- 痛みがあるときは無理をせず、楽な姿勢で休む
- 医師から出された痛み止めを、指示されたとおりに使う
- 尿の色や量、発熱の有無を記録しておくと、受診のときに役立つ
- 石が出た場合は、きれいに洗って保存し、受診時に見せると成分の分析に役立つ
- 発熱、尿が出ない、痛みが強くなるなどの変化があれば、すぐ受診する
医療治療
痛みに対しては痛み止めが使われ、吐き気には吐き気止めが使われることがあります。尿路に感染がある場合は、感染を落ち着かせる治療が行われます。石の種類によっては、石が出やすくなるようにする治療や、再発を防ぐための生活・食事の指導が行われることがあります。大きな石や流れをとどこおらせている石には、体の外から衝撃波を当てて砕く治療や、内視鏡を使って石を取り除く治療などが行われます。治療の選び方は、石の大きさ・場所・感染の有無・持病などをふまえて医師と相談して決めます。
手術が検討される場合
石が大きい、尿管に詰まって尿が流れない、痛みが続く、感染を伴う、腎臓の働きに影響が出ているといった場合には、石を取り除く処置が検討されます。代表的には、体の外から衝撃波を当てて砕く治療、細い内視鏡を尿の通り道から入れて砕く治療、大きな石に対して行われる治療などがあります。入院が必要かどうか、どの方法が合うかは、検査の結果と体の状態によって変わります。
この病気と共に生きる
結石の痛みは突然やってくることがあり、仕事や家事、睡眠にも影響します。痛みが落ち着いている間も、「また来るかもしれない」という不安を抱えやすいものです。水分をこまめにとること、痛み止めを手元に用意しておくこと、受診の目安を家族と共有しておくことが、日々の安心につながります。
生活習慣のアドバイス
- 1日にこまめな水分補給を心がける(汗をかいたら多めに)
- 塩分を控えめにする
- 動物性たんぱく質や脂っこい食事に偏らない
- シュウ酸を多く含む食品は、急に控えるのではなくバランスよくとる(気になる場合は医師や管理栄養士に相談)
- 適正体重を保つ
- 痛風や糖尿病、高血圧などの持病があれば、その治療を続ける
- 定期的に体を動かし、長時間同じ姿勢で過ごしすぎない
食事と運動
食事は「これを食べなければ」「これは絶対だめ」と極端に考える必要はありません。基本は、水分をしっかりとること、塩分を控えめにすること、野菜・主食・たんぱく質のバランスをとることです。運動は、ウォーキングなど無理のない範囲で続けるのがおすすめです。汗をかいたら水分を補いましょう。食事や水分量は体の状態によって合う量が違うため、再発を繰り返す方は医師や管理栄養士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
激しい痛みを何度も経験すると、「また痛くなったらどうしよう」という不安や、外出や旅行を控えてしまう気持ちが出てくることがあります。これは自然な反応です。不安が強いときや気分が落ち込む状態が続くときは、ひとりで抱え込まず、医師や看護師、周囲の人に話してください。つらさが続き、日常生活に支障があると感じたら、医療機関や地域の相談窓口に相談しましょう。
予防
完全に防ぐことは難しい病気ですが、再発のリスクを下げることはできます。水分をこまめにとること、塩分を控えめにすること、バランスのよい食事と適正体重を保つことが基本です。一度結石ができた方は再発しやすいため、生活習慣の見直しと定期的な受診が役立ちます。
ワクチン
尿路結石を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
決まった健康診断の項目としてのスクリーニングはありませんが、結石を経験した方は、医師の指示に従って尿検査や画像検査などの定期チェックを受けることで、再発の早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 石が尿管をふさぎ、尿がたまって腎臓がはれる(水腎症/すいじんしょう)
- 尿路の感染が広がり、腎盂腎炎(じんうじんえん)という腎臓の炎症を起こす
- 感染が全身に広がる重い状態になる(まれですが命に関わることがあります)
- 腎臓の働きが低下する
- 強い痛みや嘔吐による脱水、体力的な消耗
長期的な見通し
尿路結石はとても痛い病気ですが、多くは適切な対応で改善します。小さな石は自然に出ることも多く、大きな石も治療で取り除けます。再発しやすいため、水分と食事の工夫を続けることが大切です。痛みや発熱などの変化があれば早めに受診し、医師と一緒に自分に合った再発予防を見つけていきましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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