親族による子育て(キンシップケア)について
概要
親族による子育てとは、父母が何らかの理由で子どもを育てられないときに、祖父母、おじ・おば、成人したきょうだいなどの親族が子どもを育てることです。英語では「キンシップケア」と呼ばれます。病気ではなく、子どもを守るための養育の形のひとつです。
重要な事実
- 親族による子育ては、子どもが慣れた大人と暮らせる安心につながることがあります。
- 育てる側(祖父母が多い)の健康や経済的な負担が大きくなることがあります。
- 自治体の相談窓口や児童相談所などの支援を受けながら進めることが大切です。
日本でも、祖父母が孫を育てる「孫育て」などは珍しくありません。厚生労働省の調査でも、親族による養育は一定数あるとされています。ただし、家庭ごとに事情は大きく異なります。
子ども本人と、育てる親族(祖父母、おじ・おば、成人したきょうだいなど)に影響します。育てる側が高齢者の場合、体力や健康面の負担が大きくなることがあります。
症状
- 子どもや育てる人の命に危険があると感じるとき
- 子どもへの虐待や暴力、置き去りが疑われるとき(119番または110番へ。児童相談所虐待対応ダイヤル「189」も利用できます)
- 育てる人が倒れた、意識がない、息苦しい
- 子どもがけいれんを続ける、意識がない、呼吸が苦しい
- ⚠子どもの高熱が続く、水分が取れない、ぐったりしている
- ⚠育てる人が強い疲労や不眠、気分の落ち込みで日常生活が難しい
- ⚠子どもの心身の不調が急に強くなった
- ⚠経済的・住まいの問題で今日をしのぐのが難しい
一般的な症状
- 育てる側が強い疲れや睡眠不足を感じる
- 子どもの生活リズムが乱れやすい
- 学校や園との連絡がうまくいかない
- 経済的な不安が続く
- 医療機関の受診時に同意書などで困る
- 親族間で役割やお金の話し合いが足りない
子供の症状
- 不安、寂しさ、怒りなどの気持ちが出ることがある
- 赤ちゃん返り、夜泣き、食欲の変化
- 学校に行きしぶる、集中しにくい
- 友だちとの関係で悩む
- 親のことをどう説明するか悩む
高齢者の症状
- 疲れが取れない、体調不良が続く
- 自分の通院や趣味の時間が取れない
- 孤立感や将来への不安
- 経済的な負担
- 子どものしつけや学校対応への戸惑い
原因
主な原因
- 父母の病気、死亡、障がい
- 父母の精神的な不調、アルコールや薬物への依存
- 離婚、別居、DV(配偶者や恋人からの暴力)、児童虐待・ネグレクト(必要な世話をしないこと)
- 経済的困窮、住まいの問題
- 服役、入院、災害など
リスク要因
- 育てる親族が高齢で健康に不安がある
- 収入が不安定
- 周囲から孤立している
- 親権や医療同意の手続きが整っていない
- 子どもに発達や健康の支援が必要
- 親との関係が複雑で、連絡や面会の調整が難しい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 子どもの急な高熱、脱水、けいれん、呼吸困難
- 育てる人の強い疲労、不眠、気分の落ち込み、強い不安
- 子どもや育てる人への暴力・虐待が疑われる
- 住まいや食事に困り、今日を過ごすのが難しい
定期受診を予約すべき場合:
- 子どもの予防接種や健康診査のとき
- 育てる人の健康診断、持病の受診
- 子どもや育てる人の心の不調が続くとき
- 学校や園での困りごとについて相談したいとき
- 手続き(同意書、医療受診、福祉サービス)で迷うとき
診断
親族による子育ては「病気」ではないため、医学的な診断名ではありません。医師は、子どもと育てる人の健康状態、生活の様子、困りごとを聞き取り、必要な支援につなぐお手伝いをします。必要に応じて、児童相談所や自治体の担当者と連携します。
行われる可能性のある検査
- 子どもの成長・発達の確認
- 予防接種歴や健康診査の記録の確認
- 育てる人の健康チェック(血圧、体重、睡眠など)
- 子どもと育てる人の心の状態を聞くスクリーニング
- 必要に応じて血液検査など一般的な検査
診察で予想されること
診察では、家庭の状況を無理のない範囲で話します。話したくないことは話さなくて大丈夫です。医師は、判断や処罰をするためではなく、支援につなぐために聞きます。必要な制度や相談先を一緒に整理します。
治療
治療ではなく「支援」が中心です。子どもと育てる人が安心して暮らせるように、健康面、経済面、法律面、心の面の支援を組み合わせます。地域の窓口や専門職とつながることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 育てる人も休息をとる。短時間でも自分の時間を確保する
- 子どもの生活リズムを整える(睡眠、食事、登校)
- 困ったときに頼れる人を3人決めておく
- 学校・園・かかりつけ医と連絡を取り合う
- 手続きや書類は早めに整理し、分からないことは窓口に聞く
- 完璧を目指さず、できたことを振り返る
医療治療
医療の面では、子どもと育てる人の健康状態に応じて、一般的な診察や検査、必要に応じた専門科への紹介を行います。心の不調には、話を聞く支援やカウンセリング、地域の相談機関が利用できます。薬が必要な場合は、医師が状態に合わせて判断します。特定の薬の名前や量は、ここではお伝えしません。
手術が検討される場合
手術が必要になるのは、別の病気やけががある場合です。親族による子育てそのもののために手術をすることはありません。
この病気と共に生きる
日々の暮らしでは、子どもが安心できる「決まった流れ」を作ることが助けになります。朝起きる、食事、学校、宿題、寝る時間をできるだけ一定にしましょう。育てる人が倒れないように、休む時間も予定に入れてください。親との連絡や面会は、子どもの気持ちを大切にしながら、無理のない範囲で調整します。
生活習慣のアドバイス
- 家族以外の頼れる人とつながる(友人、近所、支援者)
- 支援制度を早めに調べる(自治体の子育て窓口、児童相談所)
- 子どもの学校・園と情報を共有する
- 育てる人の通院や健康チェックを後回しにしない
- 親族間で役割やお金のことを話し合う
- 疲れたときは一時的に預けられるサービスを検討する
食事と運動
特別な食事や運動が必要なわけではありません。子どもも育てる人も、バランスのよい食事、十分な睡眠、軽い運動(散歩など)を心がけましょう。高齢の育てる人は、無理のない範囲で体を動かし、脱水に注意してください。
精神的健康と心の健康
親族による子育てでは、子どもも育てる人も、寂しさ、怒り、罪悪感、疲れ、孤立感を感じることがあります。これは自然な気持ちです。一人で抱え込まず、話せる人や専門の相談先を利用してください。気分の落ち込みが続く、眠れない、死にたい気持ちがあるときは、すぐに信頼できる人や医療機関、地域の相談窓口に連絡してください。緊急時は119番へ。
予防
親族による子育て自体を「予防」することはできませんが、家族が困難を抱えたときに早めに支援につながることで、子どもが安心して暮らせる準備を整えることはできます。親の病気や経済的な問題、子育ての困りごとに早く気づき、相談することが大切です。
ワクチン
子どもは、厚生労働省の予防接種スケジュールに沿って接種を進めましょう。育てる人も、年齢や健康状態に応じた予防接種(インフルエンザなど)をかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
子どもの健康診査(乳幼児健診、学校健診)を忘れずに受けましょう。育てる人も、健康診断やがん検診など、自分のための健診を後回しにしないことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 育てる人の疲労や病気が悪化する
- 子どもの不安や行動の問題が強くなる
- 経済的な困窮や住まいの問題が深刻になる
- 学校や園との連携が途切れる
- 医療同意や手続きが滞り、必要な支援が受けられない
- 親族間の関係が悪化する
長期的な見通し
親族による子育ては、子どもにとって安定した愛情と生活を提供できる、大切な選択肢です。支援を早めに活用することで、子どもも育てる人も安心して暮らせる可能性が高まります。困ったときは一人で抱えず、地域の窓口や医療機関に相談してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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