LADA糖尿病(成人になってからゆっくり進む糖尿病)
概要
LADA(ラダ)糖尿病は、成人になってから発症し、ゆっくり進むタイプの糖尿病です。体の免疫(身を守る仕組み)が、膵臓(すいぞう)の中でインスリン(血糖を下げるホルモン)を作る細胞を少しずつ攻撃してしまうことで起こります。最初は2型糖尿病と見分けがつきにくく、数年かけてインスリンを作る力が低下していくことがあります。
重要な事実
- LADAは「成人潜在性自己免疫性糖尿病」と呼ばれ、成人の発症で進行がゆっくりな点が特徴です。
- 生活習慣だけで起こる糖尿病ではなく、免疫の反応が関係します。
- 早期に正しく把握し、定期的に血糖値をみていくことで、合併症のリスクを減らせます。
LADAは糖尿病全体から見ると比較的まれですが、成人してから糖尿病と診断された人の一部に含まれます。正確な人数は分かっていません。
主に成人(30〜50歳代で気づかれることが多い)にみられます。やせ型・普通体重の人にも起こり、糖尿病と診断された人の一部に含まれます。子どもには通常LADAとは言いませんが、子どもの糖尿病症状は小児科で相談してください。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しにくい、けいれん、昏睡
- 呼吸が深く速い、息が苦しい、強い腹痛と呕吐が続く、口から水分がとれない
- 呼気(はいき)がフルーティーなにおいがする、脱水が強い
- 血糖を下げる治療中に、冷汗、震え、強い眠気、混乱、意識消失がある(重い低血糖)
- これらがあるときは、ためらわずすぐに119番へ連絡してください。
- ⚠血糖値が非常に高い状態が続き、だるさや呕吐が悪化している
- ⚠発熱や感染症があり、水分がとれず尿が減っている
- ⚠軽い低血糖症状(冷汗、手の震え、動悸)がくり返す
- ⚠強い疲労、体重減少、視界のかすみが急に進む
一般的な症状
- のどが渇く、水をよく飲む
- 尿の回数や量が増える(特に夜間)
- 疲れやすい、だるい
- 食べているのに体重が減る
- 視界がぼやける
- 傷が治りにくい、皮膚や陰部のかゆみ・感染をくり返す
- 初期は症状がほとんどないこともある
子供の症状
- LADAは成人の病気で、子どもには通常使われない名前です。
- 子どもが強いのど渇き、頻尿、体重減少、腹痛、呕吐などを示す場合は、糖尿病以外の緊急疾患も考えられるため、早めに小児科を受診してください。
高齢者の症状
- 高齢者では症状が目立たず、疲れや食欲低下、体重減少だけで気づかれることがあります。
- のどの渇きを感じにくいこともあり、血糖値が高い状態が続いて意識がぼんやりする場合は急いで受診が必要です。
原因
主な原因
- 免疫の誤作動により、膵臓のインスリンを作る細胞がゆっくり傷つく
- 遺伝的な体質と、何らかの環境要因(感染症など)が組み合わさって起こると考えられている
- 食べ過ぎや運動不足だけが原因ではない
リスク要因
- 家族に1型糖尿病や自己免疫疾患(甲状腺疾患など)の人がいる
- 成人で、やせ型または普通体重なのに糖尿病を指摘された
- 自分自身に別の自己免疫疾患がある
- 成人発症の糖尿病で、インスリンを作る力の低下が疑われる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強いのど渇き、頻尿、呕吐、腹痛、深く速い呼吸、意識の変化がある
- 血糖値が非常に高く、水分がとれない、尿が出ない
- 重い低血糖症状(意識消失、けいれん、対応できないほどの混乱)があるときは119番へ
定期受診を予約すべき場合:
- のど渇きや頻尿、疲れ、体重減少が続く
- 糖尿病と診断され、治療を始めたい、または見直したい
- 家族に1型糖尿病や自己免疫疾患があり、心配
- 血糖値の測定値やHbA1cの意味を相談したい
診断
問診、症状、血液検査を組み合わせて判断します。血糖値やHbA1c(過去1〜2か月の平均的な血糖の目安)を確認し、自己抗体(免疫が自分の細胞を攻撃する印)やCペプチド(体がインスリンを作れているかの目安)を調べることがあります。2型糖尿病との区別に時間がかかることもあります。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖、随時血糖、HbA1c
- 経口ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖を飲んで血糖の変化をみる検査。必要な場合)
- 糖尿病に関連する自己抗体の血液検査
- Cペプチド測定(インスリンを作る力の目安)
- 尿ケトン体(体がエネルギー不足になっていないかを見る検査)、腎機能、脂質、眼や神経の合併症チェック
診察で予想されること
診断には複数の結果と経過をみることが多く、再検査や専門医への紹介が必要な場合があります。診断がついたら、血糖値のモニタリングや生活の工夫、必要に応じた治療を主治医と一緒に組み立てます。
治療
治療の目標は、血糖値を安全な範囲に保ち、低血糖を避け、眼・腎臓・神経・心臓などの合併症を予防することです。LADAはインスリンを作る力が少しずつ低下するため、経過に合わせて治療内容を見直します。
自宅でのセルフケア
- 決まった時間にバランスよく食べ、間食や甘い飲み物をとりすぎない
- 無理のない範囲で定期的に体を動かす
- 血糖値を記録し、体調の変化とあわせて主治医に見せる
- 足の傷や皮膚の変化を毎日チェックする
- 発熱や呕吐で食べられないときの対応(シックデイ)をあらかじめ主治医に確認する
- 禁煙し、節酒を心がける
医療治療
主治医の判断で、食事・運動療法に加えて血糖値を下げる治療を行います。インスリンを作る力が低下してきた場合は、血糖を下げるホルモンの補充が必要になることがあります。治療の種類や始める時期は、血糖値、自己抗体、Cペプチド、低血糖のリスクなどをみて個別に決めます。自己判断で中止・変更しないでください。
手術が検討される場合
LADA糖尿病そのものに対する手術は通常ありません。合併症や他の病気で手術が必要なときは、血糖管理について主治医と麻酔科・糖尿病スタッフが相談して進めます。
この病気と共に生きる
LADAは長く付き合う病気ですが、日々の記録と定期的な受診で安定を目指せます。血糖値の変動に一喜一憂せず、体調や食事、運動、睡眠の記録を一緒にとると、主治医と相談しやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 主食・たんぱく質・野菜をバランスよくとる
- ウォーキングなど無理のない運動を習慣にする
- 十分な睡眠とストレス対策を心がける
- 血糖値測定の結果を記録する
- 定期健診(眼、腎臓、足、血圧、脂質)を欠かさない
- ワクチン接種や感染症予防について主治医に相談する
食事と運動
特別な食品だけに頼らず、規則正しい食事と継続できる運動が基本です。急な糖質制限や過度な運動は低血糖や体調不良につながることがあるため、治療内容に合わせて管理栄養士や主治医に相談してください。
精神的健康と心の健康
診断された直後は、不安、落ち込み、怒り、先のことを心配する気持ちがわくことがあります。これは自然な反応です。気持ちがつらい日が続くときや、日常生活に支障があるときは、主治医や地域の相談窓口に早めに相談してください。緊急に自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ためらわず119番や地域の緊急相談窓口に連絡してください。
予防
LADAは免疫の反応が関係するため、今のところ確実に防ぐ方法は分かっていません。ただし、禁煙、バランスのよい食事、適度な運動、適正体重を保つことは、糖尿病全体の管理や合併症予防に役立ちます。
ワクチン
LADAそのものを防ぐワクチンはありません。糖尿病がある方は感染症が重くなりやすいことがあるため、インフルエンザや肺炎などのワクチンについて主治医に相談してください。
検診プログラム
LADAだけを対象にした一般的な集団検診はありません。日本では特定健診で血糖値やHbA1cを調べることがあります。のど渇きや頻尿、体重減少などの症状があるときや、家族歴・自己免疫疾患があるときは、医療機関で血糖値の検査について相談してください。糖尿病と診断された後は、合併症の定期検査が大切です。
合併症
治療しない場合
- 高血糖が続き、脱水や意識障害、糖尿病ケトアシドーシス(体が強い酸性に傾く緊急状態)を起こすことがある
- 眼の網膜症、腎臓の障害、神経の障害、心臓や血管の病気のリスクが高まる
- 治療に伴う低血糖(血糖が下がりすぎる状態)に注意が必要
- 感染症にかかりやすくなり、傷が治りにくくなることがある
長期的な見通し
LADAはゆっくり進むことが多く、早めに診断して定期的にケアを続けることで、合併症を防ぎながら活発に暮らしている人が多くいます。治療は一人ひとり違うため、主治医と相談しながら無理のない計画を立てることが大切です。
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最終更新: 2026年10月24日
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