椎弓切除術(ついきゅうせつじょじゅつ)ってどんな手術?
概要
椎弓切除術は、背骨の後ろ側にある「椎弓(ついきゅう)」という骨の一部を取り除く手術です。背骨の中には脊柱管(せきちゅうかん)というトンネルがあり、その中を神経が通っています。加齢や病気でこのトンネルが狭くなると、神経が押されて脚のしびれや痛み、歩きにくさが起こります。椎弓切除術は骨の一部を削ってトンネルを広げ、押されていた神経を楽にする手術です。脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などで、手術以外の治療では十分に改善しないときに行われることが多い治療です。
重要な事実
- 背骨の後ろ側の骨を一部取り除いて、神経の通り道を広げる手術です。
- 多くは全身麻酔で行われ、数日から1週間ほどの入院が一般的です。
- 手術のあとはリハビリと生活の工夫が、回復のためにとても大切です。
決して珍しい手術ではありません。脊柱管狭窄症は中高年に多い病気で、痛み止めやリハビリなどの治療で十分に楽にならない場合に、椎弓切除術が検討されます。日本でも年間多くの件数が行われている、一般的な脊椎の手術です。
主に50代以上の中高年の方に多く、加齢による骨や靭帯の変化が原因になることが一般的です。生まれつき脊柱管が狭い方や、椎間板ヘルニア、けが、脊椎すべり症などが原因の方に行われることもあります。子どもでは非常にまれです。
症状
- 尿や便が自分で出せない、または漏れてしまう(トイレの感覚がわからない)
- 股の間やお尻の広い範囲がしびれて感覚がない
- 両脚が急に動かしにくくなった、力がまったく入らない
- 手術のあと、傷が急に大きく腫れる、出血が止まらない、意識がぼんやりする
- ⚠しびれや痛みが急に強くなった
- ⚠脚の力が落ちてきた、階段の上り下りが難しくなった
- ⚠手術のあと、傷が赤く腫れる、膿のようなものが出る、高い熱が出る
- ⚠手術のあと、がまんできないほど激しい頭痛が続く
一般的な症状
- 歩くと脚がしびれる、痛む、だるくなる(少し休むと楽になり、また歩ける)
- 長く立っているとつらく、座ると楽になる
- 脚やお尻のしびれ、ピリピリした感じ、冷たい感じ
- 脚に力が入りにくい、つまずきやすい
- 腰の痛みや張り
- 首の手術の場合は、腕や手のしびれ、手が動かしにくい、細かい作業がしにくい
原因
主な原因
- 加齢による変化:背骨の骨や靭帯が厚くなり、脊柱管が狭くなる
- 椎間板ヘルニア:椎間板の一部が飛び出して神経を押す
- 脊椎すべり症:背骨が少しずれて神経の通り道が狭くなる
- 生まれつき脊柱管が狭い体質
- けがや、まれに腫瘍などによる圧迫
リスク要因
- 年齢(中高年以上)
- 家族に同じような症状の人がいる
- 体重の増加や運動不足
- 喫煙(血流が悪くなり、骨や神経に負担がかかる)
- 重い物をよく持ち上げる仕事や、長時間同じ姿勢での作業
- 過去に背骨の手術を受けたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脚が急に動かしにくくなった、力が入らない
- 尿や便のコントロールがうまくできない
- 股の間やお尻の広い範囲にしびれがある
- 手術のあと、傷の腫れや発熱、激しい頭痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- 歩くと脚がしびれて、休み休みでしか歩けない状態が続く
- しびれや痛みが数週間以上続く、少しずつ悪くなっている
- 痛みやしびれで眠れない、仕事や家事に支障が出ている
- 以前手術を受けた場所の症状が再び出てきた
診断
まず医師が話を聞き(問診)、腰や脚の動き、感覚、筋力、反射などを診察します。そのうえで画像の検査を行い、神経がどこで押されているかを確認します。椎弓切除術が必要かどうかは、症状の強さ、日常生活への影響、画像の結果、年齢や持病を合わせて総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- レントゲン(X線)検査:背骨の形やずれを見る
- MRI検査:神経がどこで押されているかを詳しく見る
- CT検査:骨の状態を詳しく見る
- 筋電図など、神経の伝わり方を調べる検査
- 必要に応じて、造影剤を使った詳しい検査
診察で予想されること
診察のときは、どんな動作で症状が出るか、どのくらい歩けるか、トイレの回数や尿の出方に変化がないかを伝えると役に立ちます。画像の検査は痛みのないものがほとんどですが、MRIは機械の中に入るため、閉所が苦手な方は事前に相談してください。結果の説明は一度で理解しきれないこともあるので、家族と一緒に聞くか、メモを取るのがおすすめです。
治療
椎弓切除術は、症状を和らげるための選択肢のひとつです。まずは手術以外の方法でどこまで楽になるかを試すのが一般的で、それでも日常生活が難しい場合に手術が検討されます。手術そのものよりも、その前後のリハビリや生活の工夫が、長い目で見た回復を左右します。
自宅でのセルフケア
- 医師や理学療法士に教わった運動やストレッチを、無理のない範囲で続ける
- 長時間同じ姿勢を避け、30分ごとなどに姿勢を変える
- 体重が増えすぎないように気をつける
- 禁煙する(血流と骨の治りに関係します)
- 装具(コルセットなど)は医師の指示に従って使う
- 痛みが少ない範囲で歩く習慣をつける
医療治療
手術以外の治療には、痛みをやわらげるお薬、神経からくる痛みに働くお薬、痛みの出る場所へのブロック注射、理学療法(リハビリ)、装具の使用などがあります。どの治療をどの順番で行うかは、症状や持病、生活の状況によって変わります。お薬の種類や量は医師・薬剤師の指示に従い、自己判断で中止したり増やしたりしないでください。
手術が検討される場合
手術が検討されるのは、痛み止めやリハビリなどの治療を続けても、歩ける距離が短くなる、脚の力が落ちる、排尿・排便のトラブルが出るなど、日常生活に大きな支障がある場合です。神経の症状が進んでいる場合は、早めの手術が勧められることもあります。担当医とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
手術のあとは、多くの場合翌日から歩く練習が始まり、少しずつ活動量を増やしていきます。退院後は、重い物を持たない、急に体をひねらない、傷を清潔に保つといった点に気をつけます。仕事や車の運転を再開する時期は、手術の方法や回復の具合で変わるため、必ず医師に確認してください。
生活習慣のアドバイス
- いい姿勢を意識し、背中を丸めたまま長時間すごさない
- 家の中に手すりを付け、滑りにくい床にするなど転倒予防を工夫する
- 重い物は抱えず、台車や買い物の配達などを上手に使う
- 長時間の座りっぱなしを避け、ときどき立ち上がって動く
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
食事と運動
食事は、たんぱく質やカルシウム、ビタミンDを含むものをバランスよく取ると、骨や筋肉の維持に役立ちます。運動は、医師や理学療法士の指示に従って、ウォーキングや水中歩行など腰に負担の少ないものから始めるとよいでしょう。痛みが強くなる運動は避け、違和感があればすぐに相談してください。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みや、歩きにくさ、手術への不安は、気持ちを疲れさせることがあります。眠れない、気分が落ち込む、外出を控えるようになったと感じたら、ひとりで抱え込まずに医師や看護師、家族に話してください。つらい気持ちが続くときは、地域の相談窓口や医療機関で相談できます。緊急に助けが必要なときは、ためらわず救急(119)を呼んでください。
予防
加齢による変化を完全に防ぐことはできませんが、脊柱管が狭くなりにくい生活を心がけることはできます。体重を適正に保つ、禁煙する、姿勢に気をつける、適度に体を動かして筋力を保つ、重い物を無理に持たないといった工夫が役立ちます。
検診プログラム
この手術に関して決まった検診はありません。脚のしびれや歩きにくさが続くときは、自分で判断せず早めに整形外科などを受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- しびれや痛みが強くなり、歩ける距離が短くなる
- 脚の筋力が落ちて、転びやすくなる
- 排尿や排便のトラブルが出ることがある
- 外出や仕事が減り、気分の落ち込みにつながることがある
長期的な見通し
椎弓切除術は、神経の圧迫による症状を和らげるための、確立された治療です。多くの方は手術とリハビリで歩きやすさや痛みの改善を実感しますが、回復のスピードや程度には個人差があります。手術には感染や出血など一定のリスクもあるため、担当医から説明をよく聞き、納得したうえで決めることが大切です。手術をしない場合も、リハビリや生活の工夫で症状をやわらげられることがあります。どの道を選んでも、あせらず一歩ずつ進めば大丈夫です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月24日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.