レズビアンの方の性と健康ガイド
概要
「レズビアン」とは、女性に恋愛感情や性的な魅力を感じる女性のことをいいます。これは病気でも異常でもなく、人の性のあり方(セクシュアリティ)のひとつです。治療したり変えたりするものではありません。この記事では、レズビアンとして暮らす人が知っておくと安心な「性の健康(セクシュアルヘルス)」のこと、病院にかかりやすくするためのヒント、こころと体を守るための情報をまとめています。
重要な事実
- レズビアンであることは病気ではなく、診断や治療の対象ではありません。
- 女性同士の性でも、性感染症(せいかんせんしょう=性行為でうつる感染症)はうつることがあります。知っておくと予防や検査に役立ちます。
- 子宮頸がん検診や乳がん検診など、定期的な健診は性的指向にかかわらず大切です。
- 医療者に伝えにくいと感じるときは、メモを渡す・一緒に行く人を頼むなど、伝え方を工夫できます。話したくないことは話さなくて大丈夫です。
人の性のあり方はさまざまで、どのくらいの人がレズビアンかは、調査のしかたや「どこまでをレズビアンと呼ぶか」の違いで大きく変わります。そのため、はっきりした数字を示すのは難しいのが実情です。大切なのは、めずらしいかどうかではなく、その人の健康と安心が守られることです。
女性として生まれ、女性に惹かれる人です。年齢も立場もさまざまで、バイセクシュアルの人、過去に男性との関係があった人、トランスジェンダーの女性なども含まれます。自分をどう呼ぶか、誰にどこまで話すかは、その人自身が決めてよいことです。
症状
- 性暴力やレイプの被害にあった、または被害にあいそうになっている(まず安全を確保し、救急・警察に連絡を)
- パートナーや家族からの暴力で、命の危険を感じる
- 自分を傷つけたい気持ちが強く、今すぐ危ないと感じる(ためらわず救急へ。地域の相談窓口にも連絡を)
- 大量の性器出血、意識がぼんやりする、顔色が悪く冷汗が出る
- 激しい下腹部の痛みと高熱が同時にある
- ⚠性暴力のあと(できるだけ早く医療機関へ。妊娠の可能性や感染症の予防について相談できます)
- ⚠発熱をともなう下腹部の痛み、強い痛みが続く
- ⚠いつもと違う性器出血や、痛みの強いできもの
- ⚠性感染症かもしれない症状がある(検査と相談は早めに)
- ⚠パートナーからの暴力が続いている、逃げ場がないと感じる
- ⚠強い不安や不眠、気分の落ち込みが続き、日常生活がつらい
一般的な症状
- 性器のかゆみ、痛み、おりものの色やにおいの変化
- 性交(性行為)のときの痛みや出血、不快感
- 排尿時の痛みや頻尿(トイレが近い)
- のどの違和感、口の中のできもの(オーラルセックスのあとに気づくことがあります)
- 肛門まわりの違和感や出血
- 乳房のしこり、月経(生理)の乱れ、下腹部の痛み
- 気分の落ち込み、不安、孤立感、疲れやすさ(偏見や差別によるストレスが関係することがあります)
- パートナーからの暴力や、無理に迫られること
子供の症状
- 思春期の前後で、自分が誰に惹かれるかに気づき始めることがあります
- 家族に話すのがこわい、誰にも相談できないと感じることがあります
- 学校でのからかいやいじめ、仲間はずれ
- 自分の体や気持ちについての不安、自信のなさ
- 信頼できる大人やスクールカウンセラー、保健室の先生につながると安心です
高齢者の症状
- 長年のパートナーが、病院や施設で「家族」として扱われにくいと感じることがあります(面会や同意の場面など)
- 施設や介護の場面で、偏見を心配して性のことを話せないことがあります
- 閉経後の性器の乾燥や痛み、性の健康の悩み
- 乳がん・子宮頸がん検診をどのくらいの間隔で受けるかの相談
- 年老いてからの孤独感や、パートナーを亡くしたあとのさびしさ
原因
主な原因
- 性的指向(誰に惹かれるか)がどのように決まるのかは、まだ完全にはわかっていません。育て方や本人の意思、病気が原因ではないと考えられています。
- いくつかの要因が関わっていると考えられており、誰かのせいにして説明できるものではありません。
- 健康面での課題には、偏見や差別によるストレス(マイノリティストレス)が関係することがあります。
- 性感染症は、コンドム(コンドーム)を使わない性行為や、オーラルセックス(口を使う性行為)などでもうつることがあります。
リスク要因
- 差別や偏見、からかいを受けた経験がある
- 周りにカミングアウト(自分がレズビアンだと伝えること)ができず、孤立しやすい
- 医療機関で性のことを話しづらく、受診や検査をためらいやすい
- 性感染症についての情報が手に入りにくい
- 子宮頸がん検診や乳がん検診を受けないまま年数がたっている
- 喫煙、飲酒量が多い、睡眠不足
- パートナーや家族からの暴力(DV)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 性暴力の被害にあったとき(できるだけ早く)
- パートナーからの暴力があり、身の安全が心配なとき
- 自分を傷つけたい気持ちがあるとき
- 激しい下腹部の痛み、高熱、大量の出血があるとき
- 性感染症を疑う症状があるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 子宮頸がん検診・乳がん検診などの定期健診を受けたいとき
- 性感染症の検査を受けたいとき(症状がなくても相談できます)
- 避妊や妊娠、性の健康について相談したいとき
- 月経の悩み、更年期の不調、性交痛などの相談
- 気分の落ち込みや不安、眠れない状態が続くとき
- 医療者に自分の性のことを話したい、安心して話せる医師を探したいとき
診断
レズビアンであることを「診断」する検査はありません。診察は、体や心の気になる症状に対して行われます。問診で、パートナーの性別や性行為の内容を聞かれることがありますが、話したくないことは話さなくて構いません。必要な検査は、症状や希望に合わせて選べます。
行われる可能性のある検査
- 性感染症の検査(おりもの、尿、血液、のどや肛門の拭い液など)
- 子宮頸がん検診(細胞診、必要に応じてHPV検査)
- 乳房の診察や画像検査
- 血液検査、尿検査
- 妊娠の可能性を確認する検査
- HIV検査(保健所などで匿名・無料で受けられる場合があります)
診察で予想されること
診察室では、聞かれたくないことを無理に話す必要はありません。「必要なことだけ伝えたい」と最初に伝えても大丈夫です。メモに書いて渡す、信頼できる人に一緒に来てもらう、といった方法も使えます。説明に納得できなければ、別の医師に相談する(セカンドオピニオン)こともできます。
治療
レズビアンであること自体に対して「治療」を行うことはありません。必要に応じて、性感染症の治療、健診で見つかった異常への対応、こころの不調へのサポートなど、一人ひとりの健康の課題に合わせたケアを行います。
自宅でのセルフケア
- コンドム(コンドーム)やデンタルダム(口を使う性行為のときに使う薄いゴム)を活用する
- 性具(セックスグッズ)は使い方と洗い方を守り、人と共有するときはコンドムをつける
- 性行為の前後にお互いの体調や気持ちを話し合う
- 症状があるときは、性行為を控えて早めに受診する
- 決められた間隔で検診を受ける習慣をつくる
- 禁煙、適量の飲酒、十分な睡眠、ストレスをためない工夫
- つらいときは一人で抱えず、信頼できる人や相談窓口に話す
医療治療
症状や検査結果に応じて、医師が必要と判断した治療が行われます。性感染症は種類に合わせた治療、こころの不調にはカウンセリングや専門医による支援などがあります。どのような治療が合うかは体調や状況で変わるため、具体的な薬の種類や使い方については、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
通常、レズビアンであることに対して手術が必要になることはありません。避妊の方法のひとつとして手術を選ぶ場合や、子宮筋腫など婦人科の病気の治療で手術が必要になる場合があります。
この病気と共に生きる
自分らしく暮らすことが何より大切です。誰に、いつ、どこまで自分の性を伝えるかは、自分で決めてよいことです。医療機関を選ぶときも、安心して話せるところを少しずつ探していけば大丈夫です。
生活習慣のアドバイス
- 安心して話せる友人や仲間とのつながりを大切にする
- 自分に合ったコミュニティや趣味の場を見つける
- ストレスを感じたときの対処法(散歩、音楽、日記など)を持っておく
- 睡眠を十分にとり、生活のリズムを整える
- 喫煙を避け、飲酒は適量にする
- 定期的に健診を受ける予定をカレンダーに入れておく
食事と運動
レズビアンだから特別な食事が必要、ということはありません。バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動(早歩きやストレッチなど)を続けることが、体と心の健康を支えます。気分が落ち込んで食欲がわかないときは、食べやすいものを少量ずつでもとるようにしましょう。
精神的健康と心の健康
偏見や差別、周りに話せないつらさ(マイノリティストレス)によって、不安、落ち込み、孤独感を感じることがあります。それはあなたが弱いからではなく、環境によるものです。つらい気持ちが続くときは、一人で抱えずに相談してください。自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、ためらわず救急や地域の緊急窓口に連絡を。
予防
レズビアンであることは予防するものでも、変えるものでもありません。健康面では、性感染症の予防、定期的な検診、ワクチン、こころのケアによって、リスクを減らし安心して暮らすことができます。
ワクチン
HPVワクチン(子宮頸がんなどの原因になるウイルスを防ぐワクチン)やB型肝炎ワクチンなどがあります。公的な接種の対象年齢や費用は自治体によって異なるため、かかりつけ医やお住まいの自治体の窓口に相談してください。
検診プログラム
子宮頸がん検診は20歳以上で2年に1回が目安とされています。乳がん検診は40歳以上で2年に1回など、自治体によって案内があります。性感染症やHIVの検査も、症状がなくても受けることができます。性的指向にかかわらず、検診は大切です。
合併症
治療しない場合
- 性感染症を放置することで、痛みや合併症が進むことがある
- 子宮頸がんなどの病気が、見つかるのが遅くなる
- こころの不調が長引き、生活がつらくなる
- 孤立が深まり、相談する人がいなくなる
- パートナーからの暴力が長期化する
長期的な見通し
レズビアンであることは、それ自体が健康を損なうものではありません。知識を持ち、検診や検査につながり、安心できる人や場所とつながることで、健康に、自分らしく暮らしていけます。つらい時期があっても、サポートは必ずあります。
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最終更新: 2026年10月24日
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