立ちくらみ・ふらつきが起きる5つのよくある理由
概要
立ちくらみやふらつきとは、急に頭がぼんやりする、目の前が暗くなる、体がふわふわする、今にも倒れそうな感じがすることをいいます。頭に届く血の量や、脳が使える酸素・糖分が一時的に足りなくなったときに起こる感覚です。めまいとまとめて呼ばれることもありますが、原因はさまざまで、多くは体からの「ちょっと休んで」というサインです。
重要な事実
- 立ちくらみの多くは、急に立ち上がったときの血圧の変化や、水分・食事の不足など、日常的な理由で起こります。
- 多くは数秒から数分でおさまりますが、転倒やけがにつながることがあるので油断は禁物です。
- 胸の痛み、息苦しさ、ろれつの回りにくさ、意識を失うなどを伴うときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
とてもよくある症状で、診療所を受診する人の多い理由のひとつです。多くの人は一生のうちに何度か経験します。
子どもから高齢者まで幅広く起こります。特に、成長期の思春期、妊娠中、高齢の方、暑い場所や水分をとりにくい環境にいる人、血圧や心臓、睡眠の薬を飲んでいる人に多くみられます。
症状
- 意識を失った、またはもう少しで失いそうになった
- 胸の痛み、締めつけられる感じ、激しい動悸が続く
- 息苦しい、話せないほどの息切れがある
- ろれつが回らない、片方の手足が動かない、顔がゆがむ(脳卒中のサイン)
- けいれんが起きた、今までにない激しい頭痛がある
- 大量の出血、吐血、黒い便や血の混じった便がある
- 顔色が真っ青で、冷や汗がひどい
- ⚠立ちくらみやふらつきを何度も繰り返す
- ⚠倒れて頭を打った、けがをした
- ⚠水分がとれない、嘔吐や下痢が続いている
- ⚠妊娠中でふらつきがある
- ⚠脈が速い・不規則だと自分で感じる
- ⚠ふらつきのせいで歩くのが不安になった
一般的な症状
- 急に立ち上がったときに「くらっ」とする
- 目の前が暗くなる、視界がぼやける、視野が狭くなる
- 体がふわふわする、浮いているような感じがする
- 生あくびが出る、吐き気、冷や汗
- 頭が重い、耳鳴りがする
- ぼんやりして集中しにくい、力が抜けた感じがする
子供の症状
- 言葉でうまく伝えられず、顔色が悪い・元気がない・遊びを急にやめるなどの形で現れることがあります
- 朝ごはんを抜いた、水分をあまりとっていない、長時間立っていた、暑い場所にいたなどの心当たりがあることが多いです
- 成長期に身長が急に伸びる時期は、立ちくらみが起きやすくなることがあります
高齢者の症状
- ふらつきから転倒して骨折することがあります。症状が出たら、その場ですぐ座る・つかまるを習慣にしましょう
- 高齢の方は水分不足を感じにくく、気づかないうちに脱水になっていることがあります
- 血圧の薬や睡眠の薬、複数の薬の組み合わせが影響していることもあるので、気になる場合は医師や薬剤師に相談しましょう
原因
主な原因
- 1. 起立性低血圧(たちくらみ):立ち上がったときに血圧が下がり、頭に届く血が一時的に減って起こります。長時間立っているときや、暖かい場所、食後にも起こりやすくなります。
- 2. 脱水・エネルギー不足:水分、塩分、糖分が足りない状態です。暑い日の熱中症、朝食抜き、食事量が少ない、寝不足、飲酒などがきっかけになります。
- 3. 貧血:血液の中で酸素を運ぶヘモグロビンが少ない状態です。鉄が足りないことで起こることが多く、疲れやすさや息切れを伴うことがあります。
- 4. 心臓や脈の異常:不整脈などで血の流れが一時的に不安定になり、ふらつくことがあります。胸の不快感や動悸を伴うときは早めの受診が必要です。
- 5. ストレス・過換気(息のしすぎ)や耳の平衡感覚の問題:強い不安や緊張で呼吸が速くなるとふらつくことがあります。内耳(耳の奥のバランスを感じる器官)の働きの乱れでも、回転するようなめまいやふらつきが起こります。
- そのほか、薬の影響(血圧を下げる薬、睡眠薬、利尿薬など)や、血糖値の低下、甲状腺の病気なども原因になります。
リスク要因
- 水分をあまりとらない、暑い場所に長時間いる
- 朝食を抜く、食事量が少ない、体型が細い
- 長時間立ちっぱなし、急に立ち上がる動作が多い
- 睡眠不足、疲れがたまっている、強いストレスがある
- 妊娠中、月経の出血が多い
- 高齢である
- 血圧、心臓、睡眠、利尿の薬を飲んでいる
- 糖尿病、心臓病、貧血などの持病がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識を失った、倒れた
- 胸の痛みや息苦しさ、強い動悸がある
- ろれつが回らない、手足の動きがおかしい、顔がゆがむ
- 転倒して頭を打った、けがをした
- 水分がとれない、嘔吐や下痢が続く
- 妊娠中にふらつきがある
定期受診を予約すべき場合:
- 立ちくらみやふらつきが何度も繰り返す
- ふらつきのせいで外出や仕事が不安になった
- 疲れやすさ、息切れ、顔色の悪さが続く
- 薬を飲み始めてからふらつくようになった
- 食事や水分をとる量が減っている
診断
まず問診で、どんなときに、どんなふうに、どのくらい続くのかを詳しく聞きます。そのうえで、寝たまま・座ったまま・立ったときの血圧を測るなど、体の状態を確かめます。原因によって必要な検査は変わります。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(寝たまま・座って・立ち上がった直後の血圧を比べる)
- 血液検査(貧血、血糖、電解質、甲状腺の働きなど)
- 心電図、必要に応じて24時間心電図や心臓の超音波検査
- 起立試験(台の上で体を傾けて血圧と脈の変化をみる検査)
- 耳鼻咽喉科での平衡機能の検査
- 必要に応じて頭の画像検査
診察で予想されること
検査の多くは痛みがなく、短時間で終わります。症状が出たときの状況(食事、睡眠、暑さ、薬、立っていた時間など)をメモしておくと、診断の助けになります。原因がはっきりしないこともありますが、その場合も生活の工夫で症状を減らす方法を一緒に考えていきます。
治療
治療は原因によって変わります。多くは、水分や食事、立ち上がり方、睡眠といった毎日の工夫で改善します。そのうえで、必要に応じて医療機関での検査や治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- 立ち上がるときは、ゆっくりと。ベッドや椅子で一度体を起こし、足を動かしてから立ちましょう
- 水分をこまめにとる。汗をかいたときは塩分も少し意識しましょう
- 朝食を抜かず、3食を規則的に。食べすぎもふらつきの原因になることがあります
- 長時間の立ちっぱなしを避け、ときどき足を動かす、つま先立ちをする
- 症状が出たら、すぐに座る・しゃがむ・つかまる。倒れる前に姿勢を低くすることが大切です
- 暑い場所や熱いお風呂を避け、十分な睡眠をとる
- 飲酒は控えめに。アルコールは脱水と血圧の変化を招きます
- 症状が出たときの状況を記録しておくと、受診のときに役立ちます
医療治療
原因に応じて、血圧の調整を助ける治療、鉄分などを補う治療、脱水を補う点滴、脈の異常に対する治療などが検討されます。薬を使うかどうかは、症状の強さ、持病、他の薬との組み合わせをふまえて医師が判断します。薬の名前や量は、必ず処方した医師・薬剤師の説明に従ってください。自己判断で薬を始めたり中止したりしないようにしましょう。
手術が検討される場合
通常、立ちくらみやふらつきのために手術が必要になることは多くありません。ただし、心臓の脈の異常が原因で、専門的な処置が検討される場合があります。
この病気と共に生きる
症状は「いつ出るかわからない」からこそ不安になります。朝はゆっくり起きる、外出時は座れる場所を確認しておく、水分を持ち歩くなど、小さな備えを重ねることが安心につながります。症状がある日は無理をせず、予定を調整するのも大切な対処です。
生活習慣のアドバイス
- 起床時はゆっくり。布団の中で足首を動かしてから起き上がりましょう
- 長時間立つ仕事では、足踏みやつま先立ちをこまめに
- 暑い日は涼しい時間帯に移動し、こまめに休憩
- 睡眠時間を確保し、疲れをためない
- 入浴は熱すぎないお湯で、長湯を避ける
- 飲酒はほどほどに、飲酒後や二日酔いの日は特に注意
食事と運動
3食を規則的にとり、主食・たんぱく質・野菜をバランスよくそろえましょう。水分はのどが渇く前に少しずつ。適度な運動は血の巡りと体力づくりに役立ちます。激しい運動をいきなり始めるのではなく、ウォーキングや軽い筋力運動から、無理のない範囲で続けるのがおすすめです。歩くときは、ふらついたときにすぐ手を添えられる場所を選ぶと安心です。
精神的健康と心の健康
ふらつきが続くと「また倒れたらどうしよう」という不安が強くなり、外出や人と会うのを控えたくなることもあります。これは自然な反応ですが、長く続くと気分の落ち込みや眠りの乱れにつながることがあります。つらい気持ちが強いとき、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、一人で抱えず、かかりつけ医や地域の精神保健福祉センター、医療機関の相談窓口に連絡してください。緊急の場合は119番、相談先がわからないときは救急安心センター(#7119、実施している地域)も利用できます。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、水分と食事、睡眠、立ち上がり方の工夫で、起こる回数をかなり減らせます。暑い季節や疲れている時期は、特に意識してみてください。
検診プログラム
貧血や血圧、血糖、心臓の状態は、健康診断やかかりつけ医での診察で確認できます。健診結果で気になる項目があれば、そのままにせず相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 転倒して骨折や頭を打つけがをする
- 車の運転中や階段で症状が出ると危険
- 貧血や心臓の病気など、背景にある原因の発見が遅れる
- 外出を控えるようになり、体力や筋力が落ちる
- 不安が強くなり、気分の落ち込みや眠りの乱れにつながる
長期的な見通し
多くの立ちくらみは、原因に応じた工夫と必要な治療で良くなっていきます。症状の記録を持って受診し、医師と一緒に原因を整理していくことが、安心への近道です。心配なことがあっても、一人で抱え込まないでください。
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最終更新: 2026年10月24日
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