脂肪腫(リポーマ)
概要
脂肪腫(リポーマ)は、脂肪の細胞がゆっくりと増えてできる、やわらかい「しこり」です。皮膚のすぐ下(皮下)によくできて、触るとプニプニして皮膚の上で動くことが多いのが特徴です。脂肪腫は「良性腫瘍」、つまり体の他の場所に広がったり、命に関わったりしないタイプのできものです。見た目や触り心地に不安を感じることはありますが、多くの場合は放っておいても問題ありません。
重要な事実
- 脂肪のかたまりがゆっくり大きくなってできる、良性(悪性ではない)のしこりです。
- 痛みがないことが多く、皮膚の下で動くやわらかい感触が典型的です。
- 多くの場合は治療の必要がなく、気になる場合や大きくなった場合に切除を検討します。
脂肪腫はとてもよくあるできものです。皮膚の下にできる良性のしこりの中ではもっとも多いもののひとつで、特別めずらしい病気ではありません。
大人によく見られ、特に40〜60代で見つかることが多いです。子どもにはあまりできません。男性にも女性にもできますが、やや男性に多いといわれています。体のどの部分にもできますが、背中・肩・首・お腹・太ももなどによく見られます。
症状
- 首やのど周辺のしこりで、急に息が苦しくなった、声が出にくくなった
- しこりが急激に腫れて激しい痛みがあり、発熱や意識の変化もある
- しこりが破れて多量に出血し、止まらない
- ⚠数週間ほどで急に大きくなった、または急に硬くなった
- ⚠しこりが皮膚に固くくっついて動かない
- ⚠しこりの部分が赤く腫れて熱を持ち、痛みが強い(感染や炎症の可能性)
- ⚠しこりの上に傷や潰瘍(かいよう)ができて治らない
- ⚠痛みで眠れない、日常生活に支障が出ている
一般的な症状
- 皮膚の下に、やわらかくて弾力のあるしこりができる
- 押しても痛くないことが多い(痛みがあっても軽いことが多い)
- しこりの上の皮膚は普通の色で、赤くなったり熱を持ったりしない
- ゆっくりと、何か月・何年もかけて大きくなることが多い
- 指で押すと皮膚の下で動く(皮膚と一緒には動きにくい)
- 数センチ程度のことが多いが、大きくなると服が当たって違和感が出ることもある
- からだにいくつか同時にできることもある
子供の症状
- 子どもに脂肪腫ができることはあまりありません。
- 子どもにしこりが見つかった場合は、良性であっても他の種類のできものである可能性もあるため、小児科や皮膚科で一度相談しておくと安心です。
- 子どもは自分から「しこりがある」と言えないこともあるので、お風呂や着替えのときに気にかけてあげるとよいでしょう。
高齢者の症状
- 年齢とともに数が増えたり、からだのあちこちにできることがあります。
- 加齢による皮膚の変化と見分けにくいこともあるため、急な変化があれば受診してください。
- 複数ある場合は、他の脂肪のかたまりの病気(多発性脂肪腫症など)の可能性もあり、医師が確認することがあります。
原因
主な原因
- 脂肪の細胞がゆっくりと増えてかたまりになることでできます。
- はっきりした原因はまだわかっていません。けがや生活習慣が直接の原因になるとは考えられていません。
- 一部は遺伝的な体質(家族にできやすい人がいる)が関係していると考えられています。
- まれに、からだの複数の場所にたくさんできるタイプ(多発性)があり、遺伝的な要因が調べられることがあります。
リスク要因
- 40〜60代の大人であること
- 家族に脂肪腫ができた人がいること
- からだに複数の脂肪腫がある(多発性の体質)
- 体重や食事との関係ははっきりしておらず、肥満が直接の原因というわけではありません
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- しこりが数週間で急に大きくなった、硬くなった
- しこりが動かず、皮膚に固くくっついている
- しこりの部分が赤く腫れて熱を持ち、強い痛みがある
- しこりの上に傷や潰瘍ができて治らない
- 痛みが強く、日常生活や睡眠に支障がある
定期受診を予約すべき場合:
- しこりに気づいて心配なとき(まずは一度相談すると安心です)
- 少しずつ大きくなっているように感じるとき
- 服やアクセサリーが当たって気になったり、見た目が気になるとき
- からだのあちこちに複数のしこりができてきたとき
診断
診察では、まず医師がしこりの大きさ・やわらかさ・動きやすさ・皮膚とのくっつき方などを触って確認します。多くの場合はそれで脂肪腫が疑われます。必要に応じて超音波(エコー)検査を行い、しこりの内部が脂肪のようになっているかを確認します。診断をはっきりさせたいときや、他の種類のできものと見分けたいときには、しこりの一部を採って検査したり、切除した組織を詳しく調べたりすることがあります。
行われる可能性のある検査
- 触診(大きさ・硬さ・動き・皮膚との関係を確認)
- 超音波(エコー)検査:しこりの内部の様子を画像で見る
- 必要に応じてMRIやCT検査:深い場所のしこりや大きいしこりの確認に
- 針を刺して細胞を採る検査(穿刺吸引細胞診)や、切除した組織の病理検査:良性かどうかの確認に
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、超音波検査も痛みはありません。検査の結果が出るまでに数日〜1週間ほどかかることがあります。医師からは「脂肪腫と考えられます」「経過を見ましょう」などと説明されることが多く、その場で切除を決める必要はありません。気になることは遠慮なく質問してください。
治療
脂肪腫は良性で、多くの場合は治療をしなくても問題ありません。痛みや違和感がなく、大きさも変わらないのであれば、定期的に自分でチェックしながら経過を見ていくことが一般的です。治療を考えるのは、見た目が気になる、服が当たって痛い、大きくなってきた、といった場合です。
自宅でのセルフケア
- しこりの大きさや硬さの変化を、月に一度など決まったタイミングで記録しておく
- 強く押したり、もんだり、叩いたりしない(刺激はおすすめできません)
- しこりの上に跡が残らないよう、やさしく扱う
- 急な変化(大きくなる・硬くなる・痛む・色が変わる)があれば、記録を持って受診する
- 不安なことは一人で抱えず、診察のときに医師に伝える
医療治療
治療の中心は、必要に応じて行う切除です。局所の麻酔をして、しこりを小さく切開して取り出す方法がよく行われます。傷あとを小さくしたい場合などは、脂肪を吸い出す方法が検討されることもあります。切り取った組織は、良性であることを確かめるために検査に出されることがあります。飲み薬や塗り薬で脂肪腫そのものを小さくする治療は、一般的ではありません。治療の適応や方法は、しこりの場所・大きさ・症状に合わせて医師と相談して決めていきます。
手術が検討される場合
切除は、痛みや違和感が強い、服が当たって困る、見た目が気になる、大きくなってきた、良性かどうかをはっきりさせたい、といった場合に検討されます。手術は日帰りで行えることが多いですが、しこりの場所や大きさによって変わります。傷あとが残る可能性や、再発(同じ場所に再びできること)の可能性についても、事前に医師から説明を受けられます。
この病気と共に生きる
脂肪腫は多くの場合、日常生活にほとんど影響しません。しこりの場所を服でこすらないようにしたり、バッグのひもが当たらないようにしたりと、ちょっとした工夫で快適に過ごせます。大きさの変化をときどき確認しておけば、安心して付き合っていけます。
生活習慣のアドバイス
- しこりを強くもんだり、つまんだりしない
- 入浴や着替えのときに、大きさや色の変化をさっと確認する
- 服や下着、バッグのひもが当たる部分は、やわらかい素材や位置の工夫で負担を減らす
- 気になる変化をメモしておき、受診のときに医師に見せる
食事と運動
食事や運動が脂肪腫を小さくする、あるいは防ぐというはっきりした evidence はありません。特別な食事制限は必要なく、ふだんどおり、バランスのよい食事と無理のない範囲の運動を心がけることが、からだ全体の健康のためにおすすめです。
精神的健康と心の健康
からだにしこりがあると、「悪いものではないか」と不安になるのは自然なことです。多くは良性ですが、不安が続くと眠れない、気になって何度も触ってしまう、といったことが起こるかもしれません。不安が強いときや気持ちが落ち着かないときは、一人で抱えず、医師や看護師、薬剤師、自治体の健康相談窓口などに話してみてください。気持ちがとてもつらいとき、自分を傷つけたい気持ちがわいてきたときは、すぐに救急(119)や地域の緊急の相談窓口を頼ってください。
予防
脂肪腫を確実に防ぐ方法は、今のところわかっていません。できるのは「早めに気づいて、変化を確認する」ことです。からだを洗うときや着替えのときに、しこりの有無や大きさの変化を意識してみるとよいでしょう。
検診プログラム
脂肪腫そのものをみつけるための決まった検診はありません。気になるしこりがあれば、検診を待たずに皮膚科やかかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 多くの場合はそのままでも問題なく、大きな変化はありません。
- ゆっくり大きくなって、服が当たる・動かしにくいなどの違和感が出ることがあります。
- まれに、しこりの内側で出血したり炎症を起こしたりして、急に痛みや腫れが出ることがあります。
- 非常にまれですが、別の種類のできもの(悪性のもの)と見分けがつきにくい場合があるため、急な変化には注意が必要です。
長期的な見通し
脂肪腫は良性で、命に関わることはほとんどありません。治療が必要ないことも多く、切除した場合も経過は良好です。切除後に同じ場所に再びできることはありますが、それも良性のことがほとんどです。気になる変化があれば早めに相談しながら、安心して付き合っていける病気です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月24日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.