子どもの肝臓の病気
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肝臓はおなかの右側にある、体重の約2.5%を占める大きな臓器です。胆汁を作って脂肪の消化を助けたり、体に必要な栄養を蓄えたり、薬や体に害のあるものを処理したりする働きがあります。子どもの肝臓の病気には、生まれつきのもの、感染症、代謝の問題、体の免疫の異常などさまざまな原因があり、早期に気づけば治療の効果が高い病気も多いです。
重要な事実
- 肝臓は「化学工場」のように多くの仕事をしている臓器です。
- 子どもによくみられる肝臓の病気には、ウイルス性肝炎、脂肪肝、胆道閉鎖症などがあります。
- 赤ちゃんの黄疸(白目や肌が黄色くなる)は、生後2週間を超えて続く場合は検査が必要です。
多くはないものの、まれではありません。新生児の約20~40人に1人が生理的黄疸を経験しますが、病的な肝臓の病気は数千人に1人程度です。
乳幼児から思春期まで、どの年齢の子どもにも起こりうります。特に新生児期には胆道閉鎖症などの先天異常、幼児期以降にはウイルス性肝炎や脂肪肝がみられます。
症状
- ぐったりして呼びかけに反応しない
- 意識がもうろうとしている
- 吐血・下血(血を吐く、黒い便)
- けいれんが止まらない
- 急に激しい腹痛がある
- ⚠黄疸が続く、悪化する
- ⚠白い便や濃い尿が続く
- ⚠繰り返す嘔吐
- ⚠体重が増えない
- ⚠腹部がはり続ける
- ⚠発熱を伴う
一般的な症状
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 吐き気・嘔吐
- お腹の張り(腹部膨満)
子供の症状
- 尿が濃い(コーラ色)
- 便が白っぽい
- 体重が増えない、発育が遅い
- ぐったりする、機嫌が悪い
- あざができやすい、出血しやすい
高齢者の症状
- この記事は子どもの肝臓についてです。高齢者の場合は一般的に該当しません。
原因
主な原因
- ウイルス感染(A型肝炎、B型肝炎など)
- 胆道閉鎖症などの生まれつきの異常
- 代謝性疾患(糖や脂質の代謝に障害がある)
- 自己免疫性肝炎(免疫が自分の肝臓を攻撃する)
- 肥満による脂肪肝
- 薬剤性肝障害(一部の薬が肝臓に影響する)
リスク要因
- 早産や低出生体重
- 家族に肝臓病や代謝病がある
- 肥満・偏食・高カロリーな食事
- 不衛生な環境(感染症リスク)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 黄疸がある
- 白い便・濃い尿がある
- お腹がはって痛がる
- 吐き続ける、水分がとれない
定期受診を予約すべき場合:
- 発育や体重増加が気になる
- 食欲がない、疲れやすい
- 学校の健康診断で肝機能の値が引っかかった
診断
まず小児科医が問診と診察を行います。おなかの触診や、黄疸の程度を確認します。必要に応じて血液検査や画像検査を行い、原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能・ウイルス抗体・代謝物)
- 腹部超音波(エコー)検査
- CT・MRI
- 胆汁シンチグラフィ(胆道の流れをみる検査)
- 肝生検(針で肝臓の組織を少し取って調べる)
診察で予想されること
検査は痛みを伴わないものがほとんどです。小さなお子さんには、鎮静剤や麻酔を使う場合もあります。結果は病気の種類や進み具合によって違いますが、医師が保護者にわかりやすく説明します。
治療
治療は原因となる病気と、肝臓の状態によって異なります。根本治療だけでなく、症状をやわらげ、肝機能を保ちながら自然に治る力を助けることも大切です。
自宅でのセルフケア
- 栄養バランスのよい食事をとる
- 内服薬は医師の指示どおりにのむ
- 水分を十分にとる
- 感染予防のため手洗いを徹底する
- 体重を適正範囲に保ち、運動の習慣をつける
医療治療
薬物療法としては、ウイルス性肝炎に対する抗ウイルス薬、自己免疫性肝炎に対する免疫抑制薬などがあります。また脂溶性ビタミンの補給や、肝臓の負担を減らすための食事療法を組み合わせます。薬の種類や量は、個々の症状や年齢に合わせて医師が決めます。具体的な薬名や用量を自己判断せず、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
胆道閉鎖症では、できるだけ早期(生後60日以内)に肝門空腸吻合術(かさんくうちょうふんごうじゅつ)という手術を行います。肝臓の機能が大きく低下した場合は、肝移植が検討されることもあります。
この病気と共に生きる
日々の体温や食欲、便の色などを記録し、病気の変化に早く気づけるようにします。学校生活は多くの場合、普通に送れますが、運動や遠足などは医師の許可に従ってください。感染症にかからないよう、予防接種や手洗いも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- かかりつけ医の定期健診を欠かさない
- 体重を急に増減させない
- 学校や保育園の先生に病気について伝える
- アルコールは絶対に避ける(思春期を含む)
食事と運動
肝臓の状態に合わせて、塩分や脂肪を控えめにし、野菜や果物を十分にとりましょう。糖尿病や脂肪肝の予防には、適度な運動(毎日30分程度)が効果的です。食事療法が必要な場合は、管理栄養士の指導を受けることもできます。
精神的健康と心の健康
長期的な治療になると、子どもや家族が不安やストレスを感じることがあります。学校生活と両立できるよう、医師や看護師、学校の養護教諭に相談しましょう。親は無理をせず、つらいときは周囲に助けを求めてください。
予防
すべての肝臓病を予防できるわけではありませんが、感染症予防と生活習慣の見直しで、リスクを減らせるものがあります。
ワクチン
A型肝炎とB型肝炎は予防接種で予防が可能です。日本ではB型肝炎ワクチンが定期接種になっています。厚生労働省の予防接種計画に従いましょう。
検診プログラム
生まれた直後に行われる先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング)では、一部の代謝性肝疾患を早期に発見できます。また、学校の健康診断で肝機能の値をチェックすることもあります。
合併症
治療しない場合
- 肝硬変(肝臓が硬くなり機能が低下)
- 肝不全(全身の状態を悪化させる)
- 門脈圧亢進症(食道静脈瘤や脾腫)
- 肝性脳症(意識障害などを起こす)
- 発育・発達の遅れ
長期的な見通し
多くの小児肝疾患は、早期に適切な治療を受ければ、健康に成長できる可能性があります。胆道閉鎖症なども、早期手術と継続的な管理で多くの子が成人期を迎えられます。あきらめずに専門医と一緒に長くつきあっていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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