高齢者の肝臓の健康
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肝臓は、食べ物の栄養を処理したり、体にたまった不要なものを解毒(解毒=体に害のある物質を無害化すること)したりする、とても大切な臓器です。年齢を重ねると肝臓の働きはゆるやかに低下し、脂肪がたまりやすくなったり、傷ついた細胞を修復する力が弱まったりすると言われています。ここでは、高齢者の肝臓の特徴と、健康を保つために知っておきたいポイントをまとめました。
重要な事実
- 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気になっても初期には自覚症状がほとんどありません。
- 高齢者は若い人に比べて肝臓の予備力(予備力=余分に働く力)が低下しています。
- 脂肪肝は生活習慣の改善で良くなることが多いですが、放っておくと肝硬変や肝臓がんに進むことがあります。
健康診断で肝機能の値が高くなる人は、特に50代以降に増えます。高齢者では、薬の影響やほかの病気との関係で肝臓の働きが弱まることもあり、注意が必要です。
主に65歳以上の方に多く見られます。糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病がある方や、長年お酒をたくさん飲んできた方は、特に肝臓の健康に注意が必要です。
症状
- 急に意識がもうろうとして呼びかけに反応しない(すぐに119番)
- 血を吐く(すぐに119番)
- 黒くてタールのような便が出る(すぐに119番)
- おなかが急に激しく痛む(すぐに119番)
- ⚠皮膚や目がはっきり黄色くなっている
- ⚠おなかが張って息苦しい
- ⚠長期間続く強いだるさや食欲低下
- ⚠これらはその日のうちに医療機関への相談が必要です
一般的な症状
- だるさや疲れが続く
- 食欲がない、体重が減る
- 皮膚や目が黄色くなる(黄疸=おうだん)
- おなかが張る、むくむ
- 吐き気やおう吐
子供の症状
- この記事は高齢者向けですが、子どもでも肝臓の病気はあります。気になる症状があれば、早めに小児科で相談してください。
高齢者の症状
- 健康診断で肝機能の数値が高いと指摘された
- 足やおなかのむくみが続く
- 考えがまとまらない、ぼんやりすることがある
- 出血しやすくなった、あざができやすい
原因
主な原因
- 加齢による肝臓の働きの自然な変化
- お酒の飲みすぎ
- 脂肪肝(肝臓に脂肪がたまる状態)
- ウイルス性肝炎(B型・C型など)
- 薬の影響(高齢者は肝臓で薬を処理する力が弱まっているため、使い方に注意が必要です)
リスク要因
- 高齢であること
- 糖尿病や肥満などの生活習慣病
- 長期間にわたる飲酒
- 肝臓に負担をかける薬やサプリメントを複数使用している
- ウイルス性肝炎に感染した経験がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がぼんやりする、呼びかけに反応しにくい
- 吐血や下血がある
- 激しい腹痛がある
- 黄疸が急に悪化している
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で肝機能の異常を指摘された
- だるさや食欲不振が2週間以上続く
- 足やおなかのむくみが続く
- 肝臓の病気で通院中の方で、症状に変化がある
診断
肝臓の状態を調べるには、問診、血液検査、画像検査が中心になります。お酒の量や飲んでいる薬、ほかの病気の有無も大切な情報です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(AST、ALT、γ-GTPなどの肝機能の値)
- 腹部超音波(エコー)検査(肝臓の形や脂肪のたまり方を見ます)
- CTやMRIなどの画像検査
- フィブロスキャンなどの肝臓の硬さを測る検査
- 肝生検(針で肝臓の組織を少し取って顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
血液検査やエコー検査は体に負担が少なく、検査時間も短いです。肝生検は入院や安静が必要なこともありますが、診断を確定するために必要な場合があります。医師が目的や流れを説明してくれるので、不安な点は遠慮なく質問してください。
治療
治療は原因や進行具合によって異なります。脂肪肝や飲酒が関係している場合は、生活習慣の見直しが基本です。ウイルス性肝炎などが原因の場合は、専門医の指導のもとで治療を進めます。高齢者では、ほかの病気や体力の状態を考慮して、無理のない計画を立てることが大切です。
自宅でのセルフケア
- お酒は控えめにし、休肝日(飲まない日)をつくる
- 甘い飲み物や脂っこい食事を避ける
- 週に数回、無理のない範囲で散歩などの運動をする
- 医師に相談せずにサプリメントや市販薬をたくさんとらない
- 体重を急激に落とさない(月1〜2kg程度のゆるやかな減量を心がける)
医療治療
肝臓の病気の種類によっては、食事療法や運動療法だけでは十分ではない場合があり、薬物治療が行われます。どの薬を使うかは、肝臓の状態やほかの病気との関係を考えて医師が決めます。処方された薬は指示どおりに服用し、自己判断で休止したり増量したりしないでください。
手術が検討される場合
肝臓がんや進行した肝硬変などでは、手術が検討されることがあります。ただし高齢者の場合は体への負担を考慮し、手術以外の治療法(カテーテルを使う治療やラジオ波治療など)が選ばれることもあります。最終的な方法は、専門医が説明したうえで、本人や家族の希望も聞きながら決められます。
この病気と共に生きる
肝臓の病気と上手に付き合うには、規則正しい生活が何よりも大切です。疲れをためず、十分な睡眠をとり、主治医との予約は必ず守りましょう。体調の変化があれば、小さなことでも記録して受診時に伝えてください。
生活習慣のアドバイス
- 禁酒もしくは節酒をする
- 禁煙する(たばこは肝臓にも悪影響があります)
- ストレスをためない工夫を持つ
- 毎日決まった時間に食事をする
- 定期的に体重を測る
食事と運動
食事は野菜や魚、豆腐などを中心にした和食が基本です。塩分、糖分、脂質はとりすぎないようにし、お酒はできるだけ控えましょう。運動はウォーキングなど軽い有酸素運動を、毎日無理なく続けるのがおすすめです。医師に運動の制限を言われている場合は、それに従ってください。
精神的健康と心の健康
長く続く病気では、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。それは決して珍しいことではなく、あなたが弱いわけではありません。つらいときは一人で抱え込まず、家族や医療者に気持ちを伝えてください。気分の落ち込みが続く場合や眠れない日が続く場合は、専門家のサポートを求めることも大切です。
予防
肝臓の健康は、生活習慣の見直しで大きく守ることができます。特に脂肪肝は、食事と運動で改善が期待できます。お酒は適量を守り、バランスのよい食生活を心がけましょう。
ワクチン
B型肝炎には予防接種があります。また、C型肝炎は治療法が進んでいますが、感染を防ぐことが大切です。ワクチン接種の必要性については、医師に相談してください。
検診プログラム
年に一度は健康診断で肝機能の検査を受けましょう。特に糖尿病や肥満がある方、長くお酒を飲んでいる方は、血液検査に加えて腹部エコー検査を定期的に受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 肝硬変(肝臓が硬くなり、働きが大きく低下する状態)への進行
- 肝臓がんの発症リスクの上昇
- 意識障害(肝性脳症=肝臓の働き低下によって脳の機能に影響が出る状態)
- 腹水による腹部の張りや感染症
長期的な見通し
肝臓の病気は、早期に見つけてしっかり管理すれば、進行を抑えながら長く元気に過ごせる方がたくさんいらっしゃいます。高齢になってからでも、生活習慣を改善して効果が出ることも十分にあります。あきらめずに、医療者と一緒にあなたに合った方法を見つけていくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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