動脈の病気と共に生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
このページでは、特に足や手などに血液を送る動脈が細くなったり詰まったりする「末梢動脈疾患(まつしょうどうみゃくしっかん)」について説明します。動脈は心臓から体のすみずみまで酸素たっぷりの血液を届ける血管です。この通り道が狭くなると、十分な血液が届かず、症状が現れたり、進行すると重い合併症を起こすことがあります。
重要な事実
- 動脈の病気はゆっくり進み、早期は気づかないこともあります。
- 禁煙・運動・食事などの生活習慣の見直しが治療の基本です。
- 早く見つけて治療すれば、進行を遅らせ、普通の生活を続けられる可能性が高くなります。
日本では高齢化に伴い動脈の病気を持つ人は増えています。特に65歳以上の方に多く見られ、年間数十万人が診断・治療を受けていると考えられています。
喫煙者、糖尿病・高血圧・脂質異常症(こうコレステロール血症など)がある方、家族に動脈の病気や心筋梗塞・脳卒中の人がいる場合、閉経後の女性、高齢の方に多く見られます。
症状
- 突然、片方の足や手に強い痛みとしびれが出る
- 足や手が突然、真っ白または紫色になる
- 足や手の脈が触れない
- 足や手が動かせない
- 胸の痛み・息苦しさ・冷や汗がある(心臓の血管が詰まる可能性があるため)
- ⚠安静にしていても足の痛みが続く
- ⚠足の傷が深くなったり、色が悪くなったりする
- ⚠足が赤く腫れて熱を持つ(感染の可能性)
一般的な症状
- 歩くとふくらはぎ・太もも・おしりが痛んだり、けいれんしたりする(少し休むと楽になる)
- 足や手が冷たい、しびれる、感覚がにぶくなる
- 足の皮膚が青白い、または紫色に見える
- 足の爪が厚くなる、足の毛が薄くなる
- 足や足趾の傷が治りにくい、潰瘍ができる
原因
主な原因
- 動脈の内側にコレステロールなどがたまる「動脈硬化(どうみゃくこうか)」
- 血管が炎症を起こす病気
- 高血圧などで血管の壁が傷つきやすくなること
リスク要因
- 喫煙(もっとも大きなリスクの一つです)
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが高いなど)
- 肥満、運動不足
- 家族に動脈硬化の病気の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に足が痛くて動けない
- 足の色が変わる、脈が触れない
- 胸の痛みや強い動悸がある
定期受診を予約すべき場合:
- 歩くと同じ場所が痛くなり、休むとよくなる
- 手足の冷えやしびれが続く
- 健康診断で血糖や血圧、コレステロールの数値を指摘された
診断
まず医師が問診や触診を行い、腕や足首の血圧を測る「足首上腕血圧比(ABI)」という検査で血液の流れを調べます。必要に応じて画像検査で血管の細くなった場所を確認します。
行われる可能性のある検査
- 足首上腕血圧比(ABI)検査:腕と足首の血圧を比べて血流のつまり具合を調べる
- 血管超音波検査:ゼリーを塗ったプローブを当てて血管の状態を見る
- CT血管造影やMRI検査:より詳しく血管の形や狭さを確認する
- 血液検査:血糖・脂質・腎機能などを調べ、全身のリスクを確認する
診察で予想されること
これらの検査は主に外来で行われます。一部の検査では造影剤を使うため、アレルギーや腎臓の状態を事前に確認します。検査中は痛みを伴うこともありますが、スタッフが説明しながら進めるので、不安なことは何でも聞いてください。
治療
治療の中心は、動脈硬化の進行を防ぎ、症状を改善し、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を防ぐことです。生活習慣の改善を基本に、必要に応じて薬物治療や手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙を検討する(必要なら医師や禁煙外来のサポートを受ける)
- 医師の許可のもとで、無理のない範囲で歩行や運動を行う
- 毎日足を観察し、傷の有無や色の変化をチェックする
- 足を清潔に保ち、保湿クリームで乾燥を防ぐ
- 靴や靴下が足を締め付けすぎないようにする
医療治療
薬物療法では、血液が固まりにくくする薬(抗血小板薬など)や、血圧・血糖・脂質をコントロールする薬が使われることがあります。これらは医師の処方に従って、毎日きちんと飲み続けることが大切です。また、細くなった血管をバルーンや金属の管で広げる「カテーテル治療」や、血液の通り道を別の血管でつくる「バイパス手術」が行われることもあります。どの治療を選ぶかは、血管が細くなった場所や程度、患者さんの全身状態によって異なります。
手術が検討される場合
生活習慣の改善や薬物療法だけでは症状が改善しない場合、安静にしていても痛む場合、足の潰瘍や壊疽(えそ)などの重症合併症がある場合には、カテーテル治療や手術が検討されます。
この病気と共に生きる
毎日、足の色・温度・傷の有無を観察することが大切です。変化を早く見つけることで、悪化を防げます。寒い季節は手足を温かくし、靴ずれや小さな傷にも注意しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙:たばこは血管を縮め、動脈硬化を進めます。禁煙外来や医師の助けを借りてもよいでしょう。
- 運動:医師の指導のもと、痛みをがまんしすぎない範囲で歩く習慣をつけましょう。血流が促され、症状が楽になることもあります。
- 足のケア:毎日洗って清潔にし、保湿クリームを塗って皮膚を健やかに保ちます。また、足の爪を切るときは深く切らないよう注意しましょう。
食事と運動
減塩や野菜・果物・魚・大豆製品を多く取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。ウォーキングなど下半身を使う有酸素運動を、医師と相談しながら無理なく続けることがすすめられます。運動中に強い痛みがあるときは休み、そのことを医師に伝えましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の血管の病気を抱えると、「悪くなるのでは」「仕事や生活が変わるのでは」と不安になることもあります。気分の落ち込みや不安が続く場合は、一人で抱え込まず、家族や医療者に話しましょう。必要に応じて、心療内科やこころの相談窓口の利用も検討できます。
予防
動脈の病気は、完全に防ぐことはできませんが、進行を遅らせることは十分に可能です。特に禁煙、適度な運動、バランスの良い食事、検査で見つかった高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療が大切です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、感染症にかかったときに動脈の状態が悪化するのを防ぐのに役立つことがあります。かかりつけ医に相談して、接種を検討しましょう。
検診プログラム
自覚症状がなくても、年に一度は健康診断で血圧・血糖・脂質の検査を受けましょう。特に40歳を過ぎたら、リスクがあるかどうかを確認することがすすめられます。
合併症
治療しない場合
- 足の血流がさらに悪くなり、安静にしていても強い痛みが出る
- 足に潰瘍や壊疽ができ、重症になると足の切断が必要になることもある
- 全身の動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなる
長期的な見通し
動脈の病気は、早期に発見して適切な治療を受け、生活習慣を整えることで、進行を遅らせることができます。症状が重い場合でも、現在の医療では足を救える可能性が高くなっています。あきらめずに、あなたのペースで医療者と一緒に歩んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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