おなかの不調と上手につきあう
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ここでは、下痢や便秘、おなかの痛み、張り、ガスなど、腸の働きに関わる不調をまとめて『腸の不調』とよびます。これは一つの病気の名前ではなく、さまざまな原因や病気によって起こる症状のあつまりです。多くの場合、食事や生活習慣を見直すことで症状をやわらげることができます。
重要な事実
- 腸の不調はとても身近なもので、多くの人が一度は経験します。
- 便の回数や形は、人によって違うのが普通です。自分にとっての『普通』を知ることが大切です。
- 下痢や便秘が長く続く場合は、我慢せずに医療機関に相談しましょう。
はい、とてもよくあることです。日本人の約3人に1人が便秘や下痢などのおなかの不調を経験しているという報告もあります。
子どもから高齢者まで、どの年代でも起こり得ます。特に、ストレスを感じやすい人、食生活が不規則な人、女性はホルモンの影響で便秘になりやすいと言われています。
症状
- 突然の激しいおなかの痛みがある
- 便に大量の血が混じる、または黒い便が出る
- 吐き続けて水分がとれない
- おなかが板のように硬く張っている
- これらの症状がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- ⚠血が混じった便が続く
- ⚠下痢が1週間以上続く
- ⚠発熱をともなう腹痛がある
- ⚠体重が急に減った
- ⚠これらの症状がある場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
一般的な症状
- おなかが痛む・張る
- 下痢や便秘をくり返す
- 便に血が混じる
- 残便感がある(出した後にすっきりしない)
- ガスがよく出る
- 吐き気や食欲の低下
子供の症状
- おなかをよく痛がる
- 便の回数や硬さがいつもと違う
- 食事を嫌がる
- おなかが張って苦しそう
高齢者の症状
- 便秘が続き、便秘と下痢をくり返す
- 便が細くなる、または便に血が混じる
- 体重が減る、食欲がない
- 腹痛が長く続く
原因
主な原因
- 食事や水分のとり方の偏り
- ストレスや不安
- 感染症(細菌やウイルス)
- 腸の動きや感じ方の変化
- 薬の副作用
- そのほかの病気(炎症性腸疾患や大腸がんなど)
リスク要因
- 不規則な食生活
- 食物繊維や水分の不足
- 運動不足
- 強いストレスを感じやすい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便が続く、または量が多い
- 急な体重減少がある
- 激しい腹痛がある
- 高熱が続く
- 脱水の症状(めまい、立ちくらみ)がある
定期受診を予約すべき場合:
- 便秘や下痢をくり返す
- おなかの張りや痛みが長く続く
- 便の形や色がいつもと変わり、気になる
- 症状が生活に支障をきたしている
診断
医師は、まずあなたの症状や経過、食事や生活習慣、服薬している薬などについて詳しく話を聞きます。必要に応じて、おなかを触診し、検便や血液検査、内視鏡検査などをおこないます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症や貧血の有無を調べます)
- 便の検査(感染症や出血の有無を調べます)
- 腹部エコー(超音波検査)
- 大腸内視鏡検査(大腸の中を直接観察します)
診察で予想されること
診察では、まず問診が中心になります。『いつから・どんなふうに・どのくらい続いているか』を伝えてください。必要なら検査をおこないますが、すべての人が高度な検査を受けるわけではありません。検査前に、腸をきれいにする下剤を飲むこともありますが、医師や看護師がていねいに説明してくれます。
治療
治療は原因によって異なりますが、まずは生活習慣の見直しが基本になります。食事や水分、運動、ストレスを適切に整えることで、多くの場合、症状は改善します。症状が強い場合や、改善しない場合は、医師の指導のもとで薬による治療などを検討します。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめに、十分にとる
- 食物繊維を少しずつ増やす(野菜、果物、海藻、豆類など)
- 食事は3食規則正しく、よく噛んで食べる
- 適度な運動を習慣にする(散歩やストレッチなど)
- ストレスをためすぎないよう、休息や趣味の時間をつくる
医療治療
医師は、症状に合わせて、腸の動きを整える薬、下痢をしずめる薬、便秘を改善する薬、腸の炎症を抑える薬などを処方することがあります。市販薬を自己判断で使うのではなく、必ず医師や薬剤師に相談してください。どの薬にも合う・合わないがあるため、自分の症状や体質にあった治療を医師と相談して決めましょう。
手術が検討される場合
ごくまれですが、腸の病気が原因で、手術が必要になることもあります。たとえば、大きなポリープや大腸がん、重症の炎症性腸疾患などです。しかし、多くの腸の不調は手術をせずに治療できます。もし手術が必要な場合でも、医師が治療の選択肢についてしっかり説明してくれます。
この病気と共に生きる
腸の不調は、からだと心の状態を映す鏡のようなものです。毎日の生活リズムを整え、食事、睡眠、運動、ストレスにバランスよく気を配ることが、長く付き合っていくための基本です。自分の腸のくせを知り、悪化させる要因を避けることで、症状は大きく変わります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを心がける
- 朝、ゆとりをもってトイレに行ける時間をつくる
- 適度な運動、特にウォーキングなどを日中おこなう
- ストレス発散法を見つける(音楽、入浴、友人との会話など)
- 禁煙し、アルコールは適量にする
食事と運動
食事は、1日3食、バランスよくとることが基本です。食物繊維は便秘にも下痢にも有効ですが、急に多くとるとおなかが張ることがあるので、少しずつ増やしましょう。ミルクや脂肪分の多い食事が症状を悪くすることがあります。運動は、食後に軽い散歩をすると腸の動きがよくなります。激しい運動は逆効果になることもあるため、無理のない範囲で続けてください。
精神的健康と心の健康
下痢や便秘をくり返すと、外出や人との食事が不安になることがあります。また、ストレスが腸の症状を悪化させることもよくあります。つらい気持ちを一人で抱え込まず、家族や友人、医師に話してみましょう。必要に応じて、心の専門家(カウンセラーや精神科医)のサポートを受けることも選択肢のひとつです。
予防
すべての腸の不調を予防できるわけではありませんが、健康的な食事、適度な運動、ストレス管理、十分な睡眠などの生活習慣を整えることで、多くの症状を防いだり和らげたりすることができます。また、規則正しい排便習慣を身につけることも大切です。
検診プログラム
大腸がんは早期に発見すれば治る可能性が高い病気です。日本人のがん検診では、大腸がん検診として便に血が混じっていないかを調べる検便が推奨されています。年齢やリスクに応じて、医師と相談のうえ検診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 長引く下痢や便秘によって脱水や栄養不足になることがある
- 持続する炎症が腸を傷つけ、狭窄や瘻孔ができることがある
- 大腸がんなどの重い病気を見逃してしまうことがある
長期的な見通し
多くの腸の不調は、適切な治療と生活習慣の改善で症状をうまくコントロールできます。たとえ長く付き合う必要があっても、自分のからだと向き合い、工夫することで、十分に充実した日常生活を送ることができます。あきらめずに、医療者と一緒にあなたに合った方法を見つけていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。