下肢静脈瘤とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下肢静脈瘤とは、脚の静脈の血管がふくらんで、曲がって浮き出て見える状態です。静脈の中には血液が逆流しないようにする「弁」がありますが、この弁や静脈の壁がうまく働かなくなると、血液が脚にたまって血管が膨らみます。多くの場合、命にかかわる病気ではありませんが、痛みやむくみ、見た目の悩みの原因になることがあります。
重要な事実
- 静脈の中の弁が傷んだり、静脈の壁が弱くなったりすると、血液がたまって血管が膨らみます。
- とても一般的な病気で、特に女性に多く見られます。
- 多くの場合、すぐに治療が必要なわけではありませんが、放置すると皮膚の変化や潰瘍を起こすことがあります。
- 治療法はいくつかあり、症状や希望に合わせて選択できます。
とても一般的な病気です。特に30代以降の女性や妊娠中・出産後の女性に多く見られます。加齢とともに増えるといわれています。
大人であれば誰にでも起こりえますが、特に女性、高齢者、長時間立ちっぱなしの仕事をしている人、家族に下肢静脈瘤の人がいる場合に多いです。
症状
- 静脈瘤から出血が止まらない
- 脚全体が急に腫れて、激しい痛みや熱感がある
- 急な胸の痛みや息苦しさがある
- ⚠静脈瘤の周りが赤く腫れて、触ると熱い(感染の可能性)
- ⚠皮膚に深い傷や潰瘍ができた
- ⚠痛みが強く、歩けない
一般的な症状
- 脚の血管が青紫色に浮き出て、ねじれたスジのように見える
- 脚が重だるい、疲れやすい
- 脚がむくむ(特に夕方)
- ふくらはぎや太ももが痛む、またはピリピリする
- かゆみやしびれ、足がつる(こむらがえり)
- 足首のまわりに湿疹や色の変化が出る
子供の症状
- 子どもでは非常にまれですが、生まれつき血管の異常があると見られることがあります。もし子どもに脚の血管が異常に浮き出ている、痛がる、むくみがあるといった症状があれば、小児科の医師に相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者では皮膚が薄くなるため、静脈瘤が破れて出血しやすくなります。
- 足首のまわりの皮膚が黒ずむ、湿疹ができる、治りにくい潰瘍(皮膚のただれ)ができるといった症状が増えます。
原因
主な原因
- 静脈の壁が弱くなること
- 静脈の中の弁が正しく閉じないこと(逆流が起こる)
- 長時間立ったまま・座ったままの姿勢で血液が脚にたまりやすいこと
リスク要因
- 年齢(加齢)
- 家族に静脈瘤の人がいる
- 長時間の立ち仕事や座り仕事
- 過去の脚のけがや血栓
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脚の痛みや腫れが急にひどくなった
- 静脈瘤が割れて出血した
- 潰瘍(治らない傷)ができた
定期受診を予約すべき場合:
- 脚の重だるさやむくみが続く
- 静脈瘤が大きくなってきた
- 皮膚に色の変化や湿疹がある
- 見た目が気になり、治療を考えたい
診断
まず医師が脚の状態を目で見て、触って確認します。その後、超音波検査(エコー)で静脈の流れや逆流がないかを調べます。これで診断が確定します。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診
- 超音波(エコー)検査
- 必要に応じて、静脈の圧力や血液の流れを評価する検査
診察で予想されること
超音波検査は、ベッドに横になって、ジェルを塗った脚にプローブ(機械)を当てるだけの検査です。痛みはありません。検査時間は15分ほどで、結果はその場で確認できます。
治療
治療は、症状の軽さや静脈の状態、希望に応じて決めます。軽い場合は自己ケアと弾性ストッキング、症状が強い場合や合併症がある場合は血管内治療や手術などがあります。
自宅でのセルフケア
- 脚を心臓より高い位置に上げて休む(足枕を使う)
- 弾性ストッキング(着圧ソックス)を日中使用する(薬局や医療機関で相談)
- 長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしを避け、1時間ごとに動く
- 適度な運動(歩く、水泳など)でふくらはぎの筋肉を使う
- 高温のお風呂やサウナを避け、ぬるめのお湯に入る
医療治療
医療機関で行われる治療には、弾性ストッキングによる圧迫療法、血管内治療(レーザーや高周波を使って血管を閉じる方法)、硬化療法(薬剤を血管に注入して閉じる方法)、外科的な切除手術があります。痛みを和らげるための薬が処方されることはありますが、静脈瘤そのものを治す特別な飲み薬はありません。どの治療が適しているかは、医師があなたの状態を説明した上で一緒に決めます。
手術が検討される場合
重度の症状があり、脚の潰瘍や出血、血栓症などの合併症がある場合は手術が検討されます。最近の血管内治療は皮膚の切開が小さく、入院期間も短いことが多いため、体への負担は少ない方法が進んでいます。
この病気と共に生きる
静脈瘤と上手に付き合うには、脚に血液がたまらないようにすることが大切です。日中はこまめに足を動かし、仕事の合間に軽く歩いたり、足首を回したりしましょう。夜は脚を高くして休むとむくみが楽になります。
生活習慣のアドバイス
- 弾性ストッキングを朝、むくみが出る前に履く
- ぴったりした靴や服、ハイヒールを避ける
- 階段の上り下りや足首の運動を習慣にする
- 体重を適正に保つ
- 禁煙する(喫煙は血流を悪くします)
食事と運動
塩分を控えめにしたバランスのよい食事を心がけ、食物繊維をしっかり取って便秘を防ぐことも大切です。便秘になると、いきむときに脚への圧力が高まり静脈瘤に影響することがあります。運動は、ウォーキングや水泳など、ふくらはぎの筋肉を動かすものがおすすめです。
精神的健康と心の健康
脚の見た目が気になって、人前で脚を見せるのが恥ずかしいと感じたり、痛みやむくみで気分が落ち込んだりすることもあります。そうした悩みは一人で抱えず、医師や看護師に話してください。治療によって見た目や症状は大きく改善することがあります。
予防
残念ながら、遺伝や加齢などの影響もあるため、完全に予防するのは難しいとされています。しかし、運動や体重管理、長時間の同じ姿勢を避けることなどで、症状の悪化を防ぎ、新たにできるリスクを減らすことはできます。
合併症
治療しない場合
- 皮膚の色が茶色に変わる、硬くなる
- 湿疹やかゆみが続く
- 潰瘍(治りにくい傷)ができる
- 静脈瘤から出血する
- 血栓性静脈炎(静脈の炎症と血の塊)や深部静脈血栓症(深い静脈の血の塊)のリスクが高まる
長期的な見通し
下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありません。多くの場合、適切な自己ケアと治療によって症状は改善し、見た目の悩みも軽くなります。重症化しても、最近の治療は体への負担が少なく、成功率も高いので、希望を持ってください。気になることがあれば、早めに医療機関に相談しましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。