局所麻酔(きょくしょますい)―体の一部だけをしびれさせる麻酔
概要
局所麻酔は、体の一部だけを一時的にしびれさせて、痛みを感じにくくする方法です。眠ってしまう全身麻酔とはちがい、意識ははっきりしたままで、処置の最中に話をしたり、質問したりすることもできます。歯の治療や皮膚の縫合(傷をぬう処置)、いぼの切除、内視鏡の検査など、いろいろな場面で使われます。しびれは時間がたつと自然に消えていきます。
重要な事実
- 意識はそのままで、処置中に会話をすることもできます。
- 効果はふつう数十分から数時間で自然に切れていきます。
- アレルギー歴や持病、飲んでいる薬、妊娠の可能性は、処置の前に必ず伝えてください。
とてもよく行われている方法です。歯科医院や皮膚科、外来の小さな処置など、日常の医療のさまざまな場面で使われています。
症状
- 息が苦しい、のどが詰まる感じがする、声が出しにくい
- 全身にじんましんが出る、顔やまぶたが大きく腫れる
- 意識がもうろうとする、けいれんが起きる
- 動悸が激しい、胸が痛い
- 処置中や直後に冷や汗が出る、顔色が悪くなる、気を失いそうになる
- ⚠しびれが予想よりずっと長く続く(半日以上など)
- ⚠処置した場所の腫れや痛みが、どんどん強くなる
- ⚠発熱がある、赤みが広がる、膿のようなものが出る
- ⚠口の中の処置のあと、飲み込めないほどの腫れがある
- ⚠麻酔が切れたあと、強い痛みで眠れない
一般的な症状
- 注射の針が入るときの、チクッとした短い痛み
- 数分以内に始まる、触られても感覚がにぶい、重い感じ
- 処置中に感じる、押される・引っぱられる感じ(痛みではないことが多いです)
- 麻酔が切れかけるころの、ずきずきした痛みや腫れ
- しびれている間に、気づかないうちにほおや唇をかんでしまうこと
子供の症状
- 注射をこわがって泣いたり、体を動かしたりすることがあります
- 言葉だけでは伝わりにくいので、絵ややさしい言葉で説明すると安心しやすいです
- 処置のあと、しびれている間に舌や唇、ほおをかんでしまうことがあります
- 帰宅後にぐずったり、眠りが浅くなったりすることがあります
高齢者の症状
- 持病や飲んでいる薬の影響で、麻酔の効き方が違うことがあります
- 処置のあとにふらつきや血圧の低下が起きることがあります
- 認知症があると、しびれの説明が伝わりにくいことがあります
- 処置のあとは、少し休んでから帰ると安心です
原因
主な原因
- 処置や検査の痛みをやわらげ、安全に進めるために使われます
- 歯の治療や抜歯のとき
- 皮膚を縫う処置、いぼやほくろの切除のとき
- 出産のときの会陰部(縫う処置など)の痛みをやわらげるため
- 内視鏡などの検査のとき
リスク要因
- これまでに麻酔でアレルギー反応が出た、または疑われたことがある
- 喘息(ぜんそく)や強いアレルギー体質がある
- 心臓・肝臓・腎臓に病気がある
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある、授乳中である
- 高齢である、体重が少ない、やせている
- 複数の薬を飲んでいる(特に血をサラサラにする薬など)
- 以前に麻酔や注射で気分が悪くなった経験がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさ、全身のじんましん、顔の腫れ、意識がもうろうとするなど、アレルギーを疑う症状がある
- しびれが長時間続く、体が動かしにくい
- 処置した場所の腫れ・赤み・痛みが急に強くなる、熱が出る
- 処置のあと、強い痛みが続いて眠れない、水分がとれない
定期受診を予約すべき場合:
- これまでに麻酔で気分が悪くなった、具合が悪くなったことがある
- 麻酔薬のアレルギーがある、またはそう思う
- 妊娠している、または妊娠の可能性がある
- 薬を飲んでいる、持病がある(処置の前に相談しておくと安心です)
- 歯科や注射がとても苦手で、事前に相談したい
診断
局所麻酔は「診断する病気」ではなく、処置を安全に受けるための方法です。そのため、処置の前に問診(質問に答える形の確認)が行われます。アレルギー歴、これまでの麻酔の経験、持病、飲んでいる薬、妊娠の可能性などを確認し、安全に使えるかを判断します。
行われる可能性のある検査
- ふつうは特別な検査は必要ありません
- 持病の状態を確認するための血液検査が行われることがあります
- アレルギーが疑われる場合は、専門の医療機関に相談することがあります
- 処置中に血圧や脈を確認することがあります
診察で予想されること
処置の前に、どのような麻酔を使うか、どんな感覚になるか、気をつけることを説明してもらえます。わからないことは、この時点で質問しておくと安心です。処置中は声をかけてもらえるので、具合が悪くなったらすぐに伝えてください。
治療
局所麻酔は、処置の内容や時間に合わせて方法が選ばれます。大きく分けると、塗る・スプレーするタイプ、注射で処置する場所の周りをしびれさせるタイプ、神経の近くに注射するタイプ、背中から注射するタイプ(区域麻酔)などがあります。いずれも意識は保たれます。
自宅でのセルフケア
- 処置の前に食事の指示があれば、そのとおりにしてください
- アレルギー歴、持病、飲んでいる薬、妊娠の可能性は必ず伝えてください
- しびれている間は、熱い飲み物や食べ物を避けてください(やけどに気づきにくいためです)
- 口の中の処置のあとは、しびれが切れるまで、かたい物や熱い物を避け、かむ感覚に注意してください
- 処置のあとはしばらく休み、ふらつきがないことを確かめてから帰りましょう
- 痛みが強いときは、自己判断で薬を選ばず、医療機関や薬剤師に相談してください
- 処置した場所は清潔に保ち、説明されたとおりに手入れをしてください
医療治療
医療機関では、処置の内容・場所・時間に合わせて、麻酔の方法と量が選ばれます。処置の途中で効果が足りないと感じたら、追加してもらえることがあります。緊張が強い方には、麻酔の前にリラックスできる工夫を相談することもできます。アレルギーが心配な方は、事前に相談しておくと安心です。
手術が検討される場合
手術の種類によっては、局所麻酔だけで行えるものもあれば、全身麻酔や区域麻酔のほうが安全な場合もあります。どれが合っているかは、担当医と相談して決めます。
この病気と共に生きる
ほとんどの方は、処置のあとすぐにふつうの生活に戻れます。しびれが残っている間だけ、やけどや噛み傷に気をつけて過ごしてください。しびれが消えれば、感覚も元に戻ります。
生活習慣のアドバイス
- 処置の前はよく眠り、余裕をもって受診しましょう
- 処置の内容によっては、当日の飲酒や激しい運動を控えるよう指示されることがあります
- 付き添いがいるとは安心です。特に子どもや高齢の方では helpful です
- 説明された注意事項を、帰宅後にもう一度読み返しましょう
食事と運動
処置の種類によって指示は変わります。しびれている間は、熱い物やかたい物を口に入れるのは避けましょう。運動は、処置の内容によっては当日の激しい運動を控えることがあります。指示があればそれに従ってください。
精神的健康と心の健康
歯科や注射に対するこわさは、とてもよくある気持ちです。恥ずかしいことではありません。事前に「こわい」「痛みに弱い」と伝えるだけで、医療者が工夫してくれます。強い不安が続くときは、一人で抱えず、医療者や信頼できる人、お住まいの地域の相談窓口に話してみてください。もし自分を傷つけたい気持ちが浮かぶようなら、すぐに地域の救急・相談窓口に連絡してください。
予防
局所麻酔によるトラブルの多くは、事前の情報共有で防げると考えられています。アレルギー歴、これまでの麻酔の経験、持病、飲んでいる薬、妊娠の可能性を、処置の前にしっかり伝えてください。不安が強いことも、遠慮なく伝えて大丈夫です。
検診プログラム
処置の前の問診と確認が、安全のための大切なチェックの役割を果たします。アレルギーが疑われる場合は、処置の前に専門の医療機関へ相談することがあります。
合併症
治療しない場合
- 局所麻酔は処置のための方法なので、使わない場合は処置中の痛みが強くなり、体が動いてしまったり、処置が難しくなったりすることがあります
- 痛みへの不安やこわさが強くなり、次回の受診をためらうことがあります
- 考えられる合併症には、しびれが長く続くこと、内出血や腫れ、感染、まれにアレルギー反応や麻酔薬による全身の症状があります
長期的な見通し
局所麻酔は、多くの方にとって安全で、とてもよく使われている方法です。しびれのほとんどは数時間で自然に消え、ふつうの生活に戻れます。気になる症状があるときは、早めに医療者に相談してください。相談することで、次の処置もより安心して受けられます。
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最終更新: 2026年10月24日
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