ライム病に気をつけよう — マダニからうつる感染症
概要
ライム病は、マダニという小さな虫(ダニの仲間)にかまれることでうつる、細菌による感染症です。マダニは山や草むら、河川敷などにすみ、動物や人の血を吸います。ライム病の菌を持ったマダニにかまれると、数日から数週間たって、発熱やだるさ、特徴的な赤い発疹などが現れることがあります。人から人へうつる病気ではありません。
重要な事実
- マダニにかまれてから数日〜数週間(多くは1〜2週間ほど)で症状が出ることが多いです。
- 赤い発疹が出ることが多いですが、発疹が出ない人もいます。
- 早く気づいて適切な治療を受ければ、多くはよく回復します。
日本ではまれな病気です。北海道などで報告があり、北米やヨーロッパではもっと多く見られます。海外旅行やアウトドアのあとは、体調の変化に気をつけてください。
山、森、草むら、河川敷などに入る機会がある人です。キャンプ、ハイキング、山菜取り、農作業、庭仕事、ペットの散歩をする人が含まれます。子どもも大人も、年齢に関係なくかかります。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい
- けいれんが起きた
- 呼吸が苦しい、息ができない
- 顔やのどが腫れて、声が出にくい・飲み込みにくい(アレルギー反応のサイン)
- 強い頭痛と首のこわばりがあり、頭を前に曲げられない
- ⚠赤い発疹がどんどん広がる
- ⚠高い熱が続く
- ⚠関節が腫れて動かしにくい
- ⚠顔の片側が動かない、口元がゆがむ、目が閉じにくい
- ⚠動悸がする、めまいがする
- ⚠妊娠中でマダニにかまれた、または発疹が出た
- ⚠ダニが皮膚に食い込んでいて自分では取れない
一般的な症状
- かまれた場所を中心に赤い発疹が出る。時間とともに大きくなり、中央が薄くなって輪のように見えることがある(遊走性紅斑と呼ばれます)
- 発熱、寒気
- だるさ、疲れやすさ
- 筋肉痛、関節の痛み
- リンパ節の腫れ
- 発疹が出ないこともある
- 治療が遅れると、数週間〜数か月後に顔のまひ、関節の腫れ、強い疲労感などが現れることがある
子供の症状
- 自分では発疹に気づけないことが多いので、お風呂のときなどに体をよく見てあげてください
- 微熱、不機嫌、食欲がない、なんとなく元気がない
- 膝などの大きな関節が腫れることがある
- 足を引きずる、歩き方が変わる
- 公園や草むらで遊ぶ機会が多く、かまれやすい
高齢者の症状
- 熱がはっきり出ず、だるさだけのことがある
- 関節の痛みや疲れを「年のせい」と思いやすい
- 背中や頭など、自分では見えにくい場所の発疹を見落としやすい
- 症状が長引いたり重くなったりするリスクが高い
原因
主な原因
- ライム病の原因になる細菌(ボレリア菌)を持ったマダニにかまれること
- マダニは吸血のために皮膚に数時間〜数日くっついている間に菌をうつします
- 人から人へはうつりません(咳やくしゃみ、触れ合いではうつりません)
- マダニはとても小さく、かまれても気づかないことがあります
リスク要因
- 山、森、草むら、河川敷、キャンプ場などに入る活動
- 半袖・半ズボンなど、肌を出した服装
- 虫よけ対策をしていない
- ペット(犬など)を連れて草むらを散歩する
- マダニが活発になる春〜秋(特に暖かい時期)
- 北海道など国内の報告地域、北米・ヨーロッパへの旅行や滞在
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発疹がどんどん広がる、熱が高い
- 顔の動きの左右差、動悸、めまいがある
- ダニが皮膚に残っていて取れない
- 妊娠中にダニにかまれた、または発疹が出た
定期受診を予約すべき場合:
- ダニにかまれた心配がある
- 発疹が出て消えない
- 数週間だるさや疲れが続く
- 関節の痛みや腫れが続く
- 山や海外に行ったあと、体調がすぐれない
診断
症状と、マダニにかまれた可能性(山や草むらに行ったか、ペットを触ったかなど)を聞いて判断します。特徴的な発疹がある場合は、検査の結果を待たずに治療を始めることがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(菌に対する体の反応=抗体を調べる検査)
- かまれた跡や発疹の観察
- 神経の症状があるときは、髄液(脊髄のまわりの液)を調べる検査
- 関節に腫れがあるときは、関節の液を調べることがある
診察で予想されること
初期は血液検査が陰性(反応なし)になることがあり、その場合は数週間後に再検査することがあります。診察では、いつ、どこで、どんな活動をしたかを伝えると役立ちます。発疹の写真を撮っておくと診断の助けになります。
治療
ライム病は抗菌薬(細菌をやっつける薬)で治療します。早く治療を始めるほど回復が早く、後遺症の心配も少なくなります。治療の内容や期間は、症状の段階や年齢に合わせて医師が決めます。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬は、症状が良くなっても指示された期間きちんと続ける
- 十分な休息と水分をとる
- 発疹の大きさや形の変化を写真で記録する
- ダニが付いていたら、無理に強く引っ張らず医療機関で取ってもらう
- 発熱や痛みでつらいときは、医療機関や薬局に相談する
医療治療
症状が軽く早期の場合、多くは飲み薬の抗菌薬で治療します。神経の症状や心臓の症状、関節の強い腫れがある場合は、医療機関で点滴の治療を行うことがあります。妊娠中の方や小さな子どもは、状態に合わせた治療方針を相談します。薬の名前や量は医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
ライム病そのもののために手術が必要になることは、ふつうありません。
この病気と共に生きる
治療中は無理をせず、疲れやすいときはしっかり休みましょう。症状の変化をメモしておくと、診察のときに役立ちます。多くの人は数週間で少しずつ良くなっていきます。
生活習慣のアドバイス
- 治療が終わるまでは、激しい運動や長時間の屋外活動は控えめにする
- 野外活動のあとは、体を洗って服も洗う
- ペットのダニ対策を一緒に行う
- 再びかまれないように、長袖・長ズボンなどの防護を心がける
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と水分をとりましょう。運動は、体調に合わせて無理のない範囲で、軽い散歩から少しずつ始めるとよいです。
精神的健康と心の健康
原因がわからず不安になったり、疲れが続いて焦ったりするのは自然なことです。つらい気持ちは話すことで楽になることがあります。眠れない日が続く、気分の落ち込みが続くときは、医療機関に相談してください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、工夫でリスクを大きく下げられます。・肌を出さない服装(長袖・長ズボン、ズボンの裾は靴下の中へ)・明るい色の服でダニを見つけやすくする・虫よけを使う・草むらに直接すわらない・野外活動のあとすぐに着替えて体を洗い、体と衣服のダニを確認する・ダニを見つけたら、無理に強く引っ張らず医療機関で取ってもらう。
ワクチン
日本では、ライム病を防ぐワクチンは一般的に使われていません。予防の中心は、マダニに刺されないための対策です。
検診プログラム
症状がない人が受ける一般的な検査(スクリーニング)は推奨されていません。心当たりがあるときは症状に注目し、気になるときに医療機関へ相談してください。
合併症
治療しない場合
- 関節の腫れと痛みが長引く(ライム関節炎)
- 顔のまひなどの神経の症状
- 心臓のリズムの異常、めまい
- 強い疲労感や痛みが続く
- まれに、髄膜炎のような症状が出ることがある
長期的な見通し
多くの人は抗菌薬の治療で回復し、後遺症なく日常生活に戻れます。治療が遅れた場合でも、改善する可能性は十分あります。気になる症状があれば早めに相談することが、いちばんの近道です。
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最終更新: 2026年10月24日
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