低蛋白血症(血液の中のたんぱく質が少ない状態)
概要
低蛋白血症(ていたんぱくけっしょう)は、血液の中に含まれるたんぱく質、とくに「アルブミン」という成分が少なくなっている状態をいいます。病名というより、「体のどこかで栄養や吸収、作るはたらきに問題が起きているサイン」と考えると分かりやすいです。アルブミンは血管の中に水分を引きとめておく役目や、栄養を運ぶ役目を持っています。そのため少なくなると、脚やまぶたがむくんだり、疲れやすくなったりします。
重要な事実
- 血液検査の「総蛋白(そうたんぱく)」や「アルブミン」という数値が低いときに見つかります。
- それ自体が病気というより、食事不足・肝臓・腎臓・消化管などの問題が隠れていることが多いサインです。
- 原因を取り除き、栄養を整えることで改善することが多い状態です。
入院している方や高齢の方では珍しくない状態です。健康診断の血液検査で初めて気づくこともあります。
食事の量が少ない高齢者、一人暮らしの方、長期の入院や寝たきりの方、肝臓や腎臓の病気がある方、消化管の病気や手術の経験がある方、やけどや大きな手術のあとの方などに多く見られます。妊娠中・授乳中の方や、極端なダイエットをしている方にも起こることがあります。
症状
- 息が苦しい、呼吸が速い、胸が痛い
- 意識がもうろうとしている、返事がおかしい
- 尿がまったく出ない
- けいれんが起きた
- 顔や全身が急に大きく腫れた
- ⚠急に脚や顔が腫れ出した
- ⚠少し動いただけで息切れがする
- ⚠尿の量が目に見えて減った
- ⚠数日の間に体重が急に増えた(むくみで水分がたまっている可能性)
- ⚠食事がほとんどとれない状態が続いている
一般的な症状
- 脚や足首、まぶたのむくみ(押すとへこむことがあります)
- 疲れやすい、体がだるい、力が出ない
- 食欲がない、体重が減る
- 傷が治りにくい、感染症にかかりやすい
- 髪や爪の状態が悪くなる、肌がかさつく
子供の症状
- 体重が増えない、身長の伸びがゆっくりになる
- まぶたや脚のむくみ
- 食欲がなく、機嫌が悪い日が増える
- 風邪などの感染症をくり返す
高齢者の症状
- 足のむくみが目立つ、靴がきつくなる
- 筋力が落ちて立ち上がりにくい、転びやすくなる
- 食欲が落ち、食事量が減る
- 床ずれ(褥瘡:じょくそう)ができやすくなる
- 入院をきっかけに検査で見つかることが多い
原因
主な原因
- 食事からのたんぱく質やエネルギーが足りない(栄養不足)
- 肝臓の病気で、アルブミンを作る力が落ちている
- 腎臓の病気で、たんぱく質が尿に漏れている
- 胃や腸の病気で、食べたものをうまく吸収できない
- 感染症・炎症・やけど・大きな手術のあとで、たんぱく質がたくさん使われる
- 腸からたんぱく質が漏れてしまう病気(たんぱく漏出性胃腸症)
- 心不全などで体の中の水分のバランスが崩れている
リスク要因
- 高齢である、一人暮らしで食事が簡単なものになりがち
- 歯の状態が悪い、飲み込みにくいなどで食べにくい
- アルコールを多く飲む習慣がある
- 肝臓病・腎臓病・糖尿病などの持病がある
- 胃や腸の手術を受けたことがある、消化器の病気がある
- 長期の入院や寝たきりの生活
- 経済的な理由で食事が十分にとれない
- 妊娠・授乳中、または極端な食事制限のダイエット中
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に脚や顔が腫れてきた
- 横になると息苦しい、息切れが強い
- 尿の量が極端に減った
- 短期間で体重が大きく増えた
- 強いだるさで日常生活が難しい
定期受診を予約すべき場合:
- 脚がなんとなくむくむ、夕方になると靴がきつい
- 疲れやすく、食欲が落ちてきた
- 体重が少しずつ減っている
- 傷や床ずれが治りにくい
- 健康診断で「総蛋白」「アルブミン」の値が低いと指摘された
診断
まず問診と診察で、食事の内容、体重の変化、むくみの程度、持病や飲酒の習慣などをうかがいます。そのうえで血液検査と尿検査を行い、たんぱく質が少ないことに加えて、原因となる病気がないかを調べていきます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(総蛋白・アルブミン・肝機能・腎機能・炎症の程度など)
- 尿検査(尿にたんぱく質が漏れていないか)
- 便の検査(吸収不良や腸からの漏れがないか)
- 腹部超音波検査や内視鏡検査など、原因を探すための画像・形態の検査
- 栄養状態の評価(体重の推移、食事内容の聞き取り、体の筋肉量の確認)
診察で予想されること
血液検査の結果は多くは当日から数日で分かります。原因を絞り込むために、追加の検査をいくつか受けることがあります。検査の痛みは採血程度のことがほとんどで、入院が必要になるのは症状が強い場合や詳しい検査が必要な場合です。
治療
低蛋白血症は「原因によって対応が変わる」状態です。まず原因となっている病気や生活の問題を見つけ、それを治療しながら、食事や必要に応じた栄養補給で体のたんぱく質を増やしていきます。
自宅でのセルフケア
- 毎日同じ条件(朝起きてトイレのあとなど)で体重を測り、記録する
- 脚や足首のむくみを毎日チェックする
- たんぱく質を意識して、毎食少しずつ食べる
- 食事が一度に多くとれないときは、回数を分けて少量ずつとる
- 水分のとり方は医師の指示に従う(自分で極端に減らしたり増やしたりしない)
- 飲酒を控え、たばこを避ける
- 自己流のダイエットや栄養補助食品の使い方で悩んだら、医師や管理栄養士に相談する
医療治療
治療の中心は、原因となっている病気の治療と栄養状態の改善です。肝臓や腎臓、消化管の病気があればその治療を進め、食事で十分にとれない場合には、医師の判断で点滴などによる栄養補給を行うことがあります。むくみが強いときは、体の水分バランスを整える対応がとられます。どの方法が合うかは体の状態によって変わるため、治療方針は医師と相談して決めていきます。
手術が検討される場合
低蛋白血症そのものに対して手術を行うことは通常ありません。ただし、原因が消化管の病気や腫瘍などで、手術による治療が必要と判断される場合はあります。その場合も、まず栄養状態を整えてから手術に進むことが大切です。
この病気と共に生きる
体重とむくみを毎日記録することが、体の変化に早く気づく一番の方法です。食事は「何をどれだけ食べたか」を簡単にメモしておくと、診察のときに役立ちます。体調が良い日でも、無理をして一気に活動量を増やさないようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 三食を規則正しく、なるべく同じ時間にとる
- 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質を毎食に少しずつ取り入れる
- 無理のない範囲で歩くなど、軽い運動を続ける
- 睡眠と休養を十分にとる
- 飲酒は控えめにし、禁煙を心がける
- かかりつけ医の指示と通院予定を守る
食事と運動
たんぱく質は一度にたくさんとっても使いきれないため、毎食少しずつ分けてとるのがコツです。ごはんやパンなどエネルギーになる食べ物も一緒にとらないと、体がたんぱく質をエネルギーとして使ってしまいます。腎臓の病気などで「たんぱく質を控えめに」と言われている場合は、自己判断で増やさず、必ず医師や管理栄養士の指示に従ってください。運動は散歩など軽いものを毎日続ける程度が目安です。疲れや息切れを感じたら休みましょう。
精神的健康と心の健康
むくみやだるさが続くと、気分が落ち込んだり、食事のたびに不安になったりすることがあります。それは自然な気持ちです。つらい気持ちが続くとき、ひとりで抱えきれないときは、かかりつけ医に話すか、地域の相談窓口や電話相談などのサポートを利用してください。気持ちの面のケアも、体の回復と同じくらい大切です。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、バランスのよい食事を続け、持病をきちんと治療し、体重の変化に気を配ることで、リスクを下げられることがあります。
検診プログラム
健康診断の血液検査には総蛋白やアルブミンが含まれており、数値の変化から気づけることがあります。健診結果を保管し、気になる値があれば医療機関に相談してください。
合併症
治療しない場合
- むくみが強くなり、腹水(おなかに水がたまる)や胸水(肺のまわりに水がたまる)が起こることがある
- 免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなる
- 傷や床ずれが治りにくくなる
- 筋力が落ちて転びやすくなり、生活の範囲が狭くなることがある
- 栄養状態がさらに悪くなり、入院が必要になることがある
長期的な見通し
低蛋白血症は、原因を取り除き、栄養を整えることで改善することが多い状態です。検査で原因が分かれば、それに合わせた対応ができます。あせらず、かかりつけ医と一緒に少しずつ体を整えていくことが大切です。
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最終更新: 2026年10月24日
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