中皮腫(ちゅうひしゅ)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
中皮腫は、体の内側を覆う「中皮」という薄い膜にできる、まれながんです。最も多いのは肺の周りの胸膜ですが、お腹の膜や心臓の周りにもできます。主な原因は、アスベスト(石綿)という繊維状の鉱物を吸い込むことです。
重要な事実
- 中皮腫はまれながんで、アスベスト(石綿)へのばく露が最も大きな原因です。
- アスベストを吸ってから発症するまで、20~40年以上かかることがあります。
- 診断が遅れやすい病気ですが、治療法は進歩しており、症状を和らげるためのケアも重要です。
まれながんです。日本では年間に約1,000~2,000人と報告されています(厚生労働省の統計に基づく)。一般の人がかかることは多くありません。
中皮腫は、過去にアスベストを取り扱う仕事(建設業、造船業、アスベスト工場など)に長く携わった人や、その家族に起こることがあります。男性が多く、診断時の平均年齢は60歳以上です。アスベストに触れたことがない人でも、まれに起こることがあります。
症状
- 突然の激しい息苦しさがあり、じっとしていても治まらない(すぐに119番へ)
- 胸や背中に突然の激しい痛みがある(すぐに119番へ)
- 意識がもうろうとしたり、ぼんやりしたりする(すぐに119番へ)
- ⚠息切れがしだいにひどくなり、日常の動作もつらい(お近くの医師に当日中に相談を)
- ⚠血の混じったせきが出た(当日中に医療機関を受診)
- ⚠お腹の張りや痛みが急に強くなった(当日中の受診を)
- ⚠原因はわからないが体重が大きく減った(できるだけ早く受診)
一般的な症状
- 息切れ(特に体を動かしたとき)
- 胸の痛みや背中の痛み
- 長く続くせき
- 原因がわからない体重減少
- 疲れやすさ
- お腹にできる中皮腫では、お腹の張りや痛み、むくみ
子供の症状
- 中皮腫は子どもにはほとんどない病気です。同じような症状があれば、かぜやぜんそくなどほかの病気の可能性が高いので、小児科を受診してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では、息切れや胸の痛みを、心臓や肺の持病のせいにしやすいことがあります。症状が普段と違うと感じたり、悪化するときは早めに受診しましょう。
原因
主な原因
- アスベスト(石綿)の繊維を吸い込むこと(最も大きな原因)
- アスベストに長期間、高濃度でさらされること(職業性ばく露)
- アスベストを含む建物の解体や改修時のばく露
リスク要因
- 建設業、造船業、鉄鋼業、アスベスト製造などの仕事に長く携わる
- アスベストで汚染された作業着や道具を家庭に持ち帰った
- 喫煙している(アスベストとたばこの組み合わせでリスクが高まる)
- ごくまれに、アスベストに触れたことがない場合でも発症することがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れや胸の痛みが急に悪化した
- 血の混じったせきが出た
- 原因がわからない体重減少や発熱が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 過去にアスベストを扱った仕事をしていた方で、気になる症状があるとき
- 定期的な健康診断や職場の検診を活用しましょう。アスベスト関連疾患の相談は、地域の保健所や労災病院でも受け付けています。
診断
診断は、問診(仕事の履歴を含む)、胸部X線、CTなどの画像検査、胸水の検査などから行います。中皮腫かどうかを確定するには、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる「生検」が必要です。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査
- コンピュータ断層撮影(CT)検査
- MRI検査(磁気を使って詳細な画像を得る)
- PET検査(がんの広がりを調べる画像検査)
- 胸水検査:胸にたまった液体を抜いて調べる
- 生検:針や内視鏡を使って組織の一部を採取する
診察で予想されること
まずは身近な総合病院や呼吸器科を受診しましょう。症状や仕事の経歴を伝えることで、検査の順序を決めてくれます。確定のためには入院を伴う検査もありますが、担当医がその都度説明してくれます。
治療
中皮腫の治療は、がんの進行度、年齢、体調によって方針が異なります。手術、抗がん剤治療、放射線治療、そして近年は免疫療法も選択肢となっています。治療の目的は、治癒だけでなく、症状のコントロールと生活の質を保つことも含まれます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する。喫煙している場合は医師に相談しましょう
- 症状や不安を一人で抱えず、家族や医療チームに話す
- 息苦しいときは無理をせず、楽な姿勢で休む
- 治療の予定や体調変化をメモして、診察時に伝える
医療治療
治療には、手術でがんを摘出する方法、抗がん剤を用いる方法、放射線を使ってがん細胞を破壊する方法があります。進行度に応じてこれらを組み合わせることが一般的です。また、免疫の力を利用した治療も行われています。いずれの治療も、専門医が患者の状態に合わせて計画します。進行した場合でも、痛みや息苦しさを和らげる緩和ケアを並行して行うことが大切です。
手術が検討される場合
がんがまだ胸膜の内側に限られている初期の段階では、根本的な治療を目的に手術が選択されることがあります。ただし、手術が可能かどうかは、がんの広がり、年齢、心臓や肺の機能などによって医師が慎重に判断します。
この病気と共に生きる
中皮腫の治療は長引くこともあり、つらい時期があるかもしれません。できるだけ日常のリズムを保ちながら、体調に合わせて活動しましょう。息苦しさや痛みがあるときは、早めに医療者に相談し、症状のコントロールに努めます。
生活習慣のアドバイス
- 疲れを感じたら、こまめに休みましょう
- 禁煙し、たばこの煙を避ける
- 呼吸を楽にするために、医師や理学療法士の指導を受ける
- 毎日続けられる小さな楽しみを見つける
食事と運動
食欲がないときは、無理せず、少しずつ栄養のあるものを食べるようにしましょう。管理栄養士に相談することもできます。運動は、医師の許可があれば、散歩や軽いストレッチなど、呼吸が苦しくならない範囲で行います。
精神的健康と心の健康
がんと診断されると、不安や悲しみ、怒りなどを感じるのは自然なことです。一人で抱え込まず、信頼できる人に話しましょう。もし気分が沈んだ状態が続いたり、死にたいという気持ちが強ければ、すぐに支援を求めてください。地域の保健所や精神保健福祉センター、かかりつけ医に相談しましょう。緊急の場合は救急(119番)を利用してください。
予防
中皮腫は主にアスベストの吸入が原因です。日本では現在アスベストの使用は原則禁止されており、新しいばく露の機会は大きく減っています。過去にアスベストを扱った可能性がある方は、定期的な健康診断を受け、医師にそのことを伝えておきましょう。アスベストを扱う作業では、適切な防じんマスクなどの保護具の使用が推奨されます。
ワクチン
中皮腫を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
現在、中皮腫の早期発見を目的とした一般的ながん検診はありません。ただし、アスベストへの職業性ばく露がある方には、職場の健康診断や、定期的な胸部画像検査が行われることがあります。
合併症
治療しない場合
- 胸水がたまり、呼吸困難が進行する
- がんが胸膜の外やほかの臓器に広がる(転移)
- がんによる痛みが強くなる
- 治療が遅れて、全身の状態が悪くなる
長期的な見通し
中皮腫は難治性のがんの一つで、診断が遅れることもありますが、治療は確実に進歩しています。現在は、手術や薬物療法、放射線治療を組み合わせ、症状と上手に向き合いながら生活することを目指す時代になりました。一人ひとりの状態に合わせた治療とケアがあります。希望を持って、担当医としっかり話し合ってください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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