夜驚症(やきょうしょう)の理解と対応
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
夜驚症(睡眠時驚愕症)は、寝てすぐの深い睡眠中に、突然叫んだり、飛び起きたり、激しい動作をしたりする状態です。夢を見ている悪夢とは違い、本人はそのときのことをほとんど覚えていません。心と体の一部が目覚めて、一部がまだ眠っているように見える、くせのようなものです。
重要な事実
- 子どもに多い症状で、多くは成長とともに自然におさまります。
- 発作は数分から10分程度で、その後は静かに眠り続けます。
- 本人は翌朝、そのことを覚えていないことがほとんどです。
- 無理に起こす必要はなく、安全を確保して見守ることが大切です。
- まれに、てんかんや睡眠時無呼吸などが原因の場合もあるため、医療機関で相談できます。
子どもではおよそ10人に1人から6人に1人が一度は経験すると言われており、とても多い症状です。
特に3歳から7歳くらいの子どもに多く見られますが、大人でもストレスや睡眠不足によって起こる場合があります。高齢者の場合は、認知症や神経の病気と関係していることもあるため、注意が必要です。
症状
- 発作中に頭を強く打つ、転んで骨を折るなど、けがをした場合は、直ちに119番に連絡してください。
- 人にぶつかる、つかみかかるなど、攻撃的な行動が出た
- 顔色が真っ青になり、呼吸が止まっているように見える
- けいれんが続いて、なかなかとまらない
- ⚠けいれん様の動きを伴う(手足を硬直させてガクガクする)
- ⚠起こしても、反応がなく、ぐったりしている
- ⚠一度の発作が15分以上続く
- ⚠1週間に何度も起こり、家族が疲れ果てている
- ⚠大人になってから初めて起こった
- ⚠日中に強い眠気や、突然倒れるなどの症状もある
一般的な症状
- 寝入って1~2時間後に突然、叫び声や泣き声をあげる
- 目は開いているが、焦点が合わず、呼びかけに反応しない
- 心臓がばくばくしている、脈が速い
- 体が汗ばむ、顔が赤い
- 布団を蹴る、ベッドの上で起き上がるなどの動作
- 数分でおさまり、そのまま眠りにつく
- 翌朝、上のことを覚えていない
子供の症状
- 就寝後1~3時間以内に起こることが多い
- 叫んだり、走り回ったり、壁をたたくなどの行動を伴う
- 親が抱きしめたり起こしたりすると、さらに混乱して激しくなることがある
- 翌朝に「怖い夢を見た」と話すことはなく、幼い子どもは説明できないことが多い
高齢者の症状
- 夜間に大声を出したり、興奮したりして、認知症の症状と紛らわしいことがある
- 睡眠時無呼吸や、パーキンソン病などの神経系の病気と関係する場合がある
- 飲んでいる薬の副作用で起こることがある
- レム睡眠行動障害(RBD)という別の睡眠障害と区別することが重要
原因
主な原因
- 深い睡眠(ノンレム睡眠)から浅い睡眠への移り変わりのときに、脳の一部だけが目覚めるために起こると考えられています
- 睡眠不足や疲れがたまっている
- ストレスや不安を感じている(転園・転校・仕事の変化など)
- 発熱や体調不良
- 寝る前のゲームや映像などで脳が刺激されている
- 遺伝的な傾向がある(家族に同じ経験をしている人がいる)
リスク要因
- 睡眠不足・不規則な睡眠
- 過労や強いストレス
- カフェインやアルコールの取りすぎ(成人)
- 発熱や病気などの体調不良
- 睡眠時無呼吸などの睡眠をさまたげる病気
- ある種の薬(向精神薬など)の影響
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けがをくり返す危険がある
- 人にけがをさせる可能性がある
- けいれんを伴う
- 呼吸が止まるような様子がある
定期受診を予約すべき場合:
- 頻繁に起こって、家族が十分な睡眠を取れない
- 本人が夜中に目を覚まし、不安や恐怖を訴える
- 日中に強い眠気、集中力の低下、頭痛などの症状がある
- 大人の場合、日常生活に支障が出ている、または「変だな」と感じる
診断
診断はまず医師の問診から始まります。夜驚症が疑われる場合は、睡眠の様子を家族に詳しく聞き、睡眠日誌をつけてもらうことが多いです。必要に応じて、睡眠の専門機関で睡眠ポリグラフ検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 睡眠日誌:約1週間、寝た時刻・起きた時刻・夜間の様子を記録します
- 睡眠ポリグラフ検査:一晩の脳波・眼球の動き・筋肉の緊張・呼吸・心拍を同時に記録して、他の睡眠障害と区別します
- 血液検査:てんかんや電解質異常などが疑われる場合に、詳しく調べるために行います
診察で予想されること
診察室ではなかなか発作を再現できないことが多いため、実際の様子は家族の話が大切です。「夜中に突然叫びだした」という記録・動画などがあれば、診断の参考になります。検査が必要な場合は、睡眠専門外来を紹介されます。
治療
治療の中心は、安全な睡眠環境を整え、きっかけになる生活習慣を改善することです。原因となる睡眠時無呼吸やてんかんなどがあれば、その病気を先に治療します。多くの人は、特別な薬を使わずに改善します。
自宅でのセルフケア
- 毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きる
- 寝る前は、テレビ・スマートフォン・ゲームなどの刺激を避ける
- 寝る前にぬるめのお風呂に入り、リラックスする
- 寝室は整理整頓し、ベッドの周りに物を置かない
- カフェインやアルコールは、特に夕方以降はとらない
- 発作が起きたときは、危険がない限りそっと見守り、無理に起こさない
医療治療
医師の治療では、まず原因となる病気の有無を調べます。睡眠時無呼吸や不安症などがあれば、それぞれの治療がすすめられます。薬を処方されることもありますが、睡眠薬や抗不安薬は医師の指示に従い、必ず専門医の診察のもとで使用します。子どもの場合、薬を使うことはまれで、高い安全性が確認された医師の指示のもとで行われます。
この病気と共に生きる
夜驚症は「自分でコントロールできない」症状のため、本人も家族も不安になりがちです。大切なのは、夜中に大きな反応をしないことです。発作が起きたら、時計を見ず、起こそうとせず、ただそばについて安全を確認してください。朝になったら、そのことには触れずに、いつも通り過ごしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 週末も平日と同じ時刻に起きる(寝だめをしすぎない)
- ストレスは翌日に持ちこさず、趣味や入浴でリフレッシュする
- 家族で「起こさない・見守る」のルールを共有しておく
- 夜間は小さな常夜灯をつけて、方向がわかるようにする
食事と運動
規則正しい食事と適度な運動は、睡眠の質を高め、夜驚症のきっかけを減らします。ただし、寝る直前の激しい運動や、食べ過ぎは逆効果です。夕食は寝る2~3時間前までにすませるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
夜驚症があると「他の人に変なところを見られた」「人にけがをさせたらどうしよう」という不安や恥ずかしさを感じることがあります。特に大人では、自分を責めてしまう方もいます。しかし、これは意志の力で気をつければ治るものではありません。専門家に話すことで、適切な対応と安心が得られます。
予防
完全に防ぐ方法はありませんが、睡眠不足やストレスをためないことで、発作の頻度は大きく減らすことができます。毎日の生活リズムを整え、リラックスして眠る習慣が最も大切な予防です。
合併症
治療しない場合
- けが(ベッドから落ちる・物にぶつかる)
- 家族が寝不足や不安をかかえる
- 大人の場合、飲酒や自己判断の薬に頼ってしまうことがある
- 日中の眠気から仕事や勉強のミスが増える
長期的な見通し
夜驚症は、子どもの場合、年齢とともに自然に消えていくことがほとんどです。大人の場合も、睡眠不足やストレスが整えば、改善する可能性が高いです。適切な理解と対応があれば、安心して日常生活を送ることができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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