Normal pressure hydrocephalus awareness
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
正常圧水頭症(NPH)は、脳の内部にある脳室という空間に、通常よりも多くの髄液(脳と脊髄を守る液体)がたまり、脳を圧迫する病気です。しかし、脳の中の圧力(脳圧)は正常範囲にとどまることが特徴です。このため「正常圧」という名前がついています。
重要な事実
- 正常圧水頭症は、歩きにくさ、認知機能の低下(もの忘れなど)、尿失禁(おしっこが我慢できない)の3つの症状がよく見られます。
- 原因ははっきりしないことが多いですが、くも膜下出血や髄膜炎の後に起こることもあります。
- 適切な治療(多くは手術)により、症状が改善する可能性があります。早めの診断が大切です。
正常圧水頭症は比較的まれな病気ですが、高齢になるほど見つかりやすくなります。特に65歳以上の方で、認知症と間違われやすいことがあります。
主に60歳以上の高齢者に多く見られますが、若い人や子どもにも起こることがあります。ただし、子どもに多い水頭症とはタイプが異なります。
症状
- 突然の強い頭痛
- 意識がもうろうとする
- けいれん発作
- 急に手足が動かせなくなる
- ⚠症状が数週間〜数ヶ月で急に悪化した場合
- ⚠歩けなくなった
- ⚠尿が出せない、またはまったく我慢できない
一般的な症状
- 歩き方が小さくなる(すり足、足を引きずる)
- もの忘れや考えるスピードが遅くなる
- 尿失禁(特に夜間や急に我慢できなくなる)
子供の症状
- 子どもの場合、頭が異常に大きくなる
- 嘔吐(吐くこと)や頭痛
- 発達の遅れ(歩き始めるのが遅いなど)
高齢者の症状
- 歩行障害(歩きにくい、ふらつく)
- 認知機能の低下(注意力の低下、無気力)
- 尿意を感じにくい、または尿漏れ
原因
主な原因
- 原因がはっきりしない「特発性」のものが最も多い
- くも膜下出血(脳の血管が破れて出血する病気)の後
- 髄膜炎(脳や脊髄を覆う膜の炎症)の後
- 頭部外傷や脳腫瘍の後
リスク要因
- 高齢(特に65歳以上)
- くも膜下出血や髄膜炎の既往歴
- 脳卒中(脳血管障害)の既往
- 頭部の手術歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 歩行が急に困難になった場合
- 尿失禁が突然始まった場合
- もの忘れが数週間で急速に悪化した場合
定期受診を予約すべき場合:
- 上記の症状がゆっくり進行している場合
- すでに認知症と診断されているが、症状が典型的なアルツハイマー病と違う場合
- 尿失禁や歩行のことで気になることがある場合
診断
医師が問診と神経診察を行い、典型的な症状(歩行障害、認知機能低下、尿失禁)がないか確認します。その後、画像検査で脳室の大きさを調べます。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT検査(脳の断面をX線で撮影)
- 頭部MRI検査(磁気で脳の詳細を調べる)
- 腰椎穿刺(背中から針を刺して髄液を採取し、圧力を測定)
- 髄液排液テスト(少量の髄液を抜いて症状が改善するか確認)
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることがあります。腰椎穿刺や排液テストは外来でも行えることが多く、比較的簡単な処置です。検査結果に基づいて、治療方針を医師と相談します。
治療
正常圧水頭症の主な治療は手術です。薬で症状を治すことはできませんが、手術により症状が改善する可能性があります。手術の適応は医師が慎重に判断します。
自宅でのセルフケア
- 転倒予防のために家の中の整理整頓をする
- 杖や歩行器を使うなど安全な歩行を心がける
- もの忘れ対策としてメモやカレンダーを活用する
- 水分を適切に摂り、尿失禁に備えてパッドなどを使用する
医療治療
手術以外の治療法として、髄液の流れを良くするお薬が使われることもありますが、効果は限定的です。必ず医師の指導のもとで使用してください。
手術が検討される場合
最も一般的な手術は「脳室‐腹腔シャント術」で、脳室に細い管(シャント)を入れ、余分な髄液をお腹の空洞に流して吸収させます。手術は脳神経外科で行われ、全身麻酔が必要です。手術後は症状の改善が期待できますが、感染やシャントの詰まりなどの合併症に注意が必要です。
この病気と共に生きる
正常圧水頭症と診断されたら、まずは医師の指示に従って治療を受けましょう。手術後は症状が改善することが多いですが、完治しない場合もあります。日常生活では、安全に過ごすために工夫が必要です。
生活習慣のアドバイス
- 転倒に注意し、必要なら介護サービスを利用する
- 認知機能を保つために脳トレや社会参加を続ける
- 家族や友人に症状を伝え、理解と協力を得る
- 運転は医師と相談し、安全が確認できるまでは控える
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけ、便秘にならないように食物繊維を取ることが大切です。運動は、歩行訓練やリハビリを医師や理学療法士の指導で行うとよいでしょう。無理のない範囲で体を動かすことが症状の維持に役立ちます。
精神的健康と心の健康
もの忘れや歩行困難が続くと、不安や抑うつ気分になりやすいです。また、周囲に理解されないこともストレスになります。自分を責めず、必要なら医師やカウンセラーに相談しましょう。
予防
特発性の正常圧水頭症は、予防する方法がわかっていません。しかし、くも膜下出血や髄膜炎など原因となる病気のリスクを減らすことで、二次的な水頭症を予防できる可能性があります。例えば、高血圧の管理や頭部外傷の防止が役立つかもしれません。
ワクチン
該当しません。
検診プログラム
特に推奨されるスクリーニング検査はありません。通常は症状が出てから診断されます。しかし、65歳以上で歩行障害やもの忘れが気になる場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 歩行障害が進行し、寝たきりになるリスク
- 認知機能の低下が進み、日常生活に大きな支障が出る
- 尿失禁が続き、皮膚トラブルや感染症のリスク
- 脳の萎縮(縮むこと)が進み、症状が元に戻らなくなる可能性
長期的な見通し
正常圧水頭症は、適切な治療(特に手術)により症状が改善する可能性がある病気です。早期に診断されれば、歩行や認知機能が元に戻ることも期待できます。治療を受けずに放置すると症状が固定化することがありますが、診断後も希望を持って治療に取り組んでください。医療の進歩により、多くの方が快適な日常生活を取り戻しています。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月16日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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