Orchitis
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
精巣炎(せいそうえん)とは、精巣(睾丸)が炎症を起こして腫れたり痛んだりする状態です。多くは細菌やウイルスの感染が原因で起こります。炎症は赤みや熱を持ち、不快感や痛みを伴います。
重要な事実
- 精巣炎は多くが尿道や前立腺の感染が広がって起こります
- おたふくかぜ(ムンプスウイルス)が原因になることもあります
- 早期に治療すれば多くの場合は治りますが、放置するとまれに不妊や精巣萎縮の原因になることがあります
それほど一般的な病気ではありませんが、性感染症(STI)の一種であるクラミジアや淋菌の感染によって生じるケースが増えています。若い男性にやや多く見られます。
精巣炎は主に男性に起こります。思春期以降の男性、特に25~40歳代に多く見られます。子どもでは、おたふくかぜをきっかけに起こることがあります。高齢者では、前立腺の細菌感染が広がることで起こることもあります。
症状
- 突然の激しい精巣の痛み(精巣捻転の可能性もあるため、すぐに119番へ)
- 痛みとともに精巣が固くなり、触れると激痛がある
- 精巣の痛みに加えて吐き気や嘔吐がある
- ⚠精巣の腫れや痛みが続く(特に発熱を伴う)
- ⚠排尿時に痛みがある、またはおしっこに血が混じる
- ⚠陰嚢の赤みが広がる、または熱を持っている
一般的な症状
- 精巣の片側または両側が腫れる
- 精巣が重く感じる、または痛む
- 陰嚢(いんのう:精巣を包む袋)の赤みや熱感
- 鼠径部(そけいぶ:脚のつけ根)や下腹部の痛み
- 排尿時の痛みや頻尿(おしっこの回数が多い)
- 発熱や悪寒(さむけ)
子供の症状
- おたふくかぜにかかった後に精巣の痛みや腫れが出る
- 強い痛みで歩きにくくなることがある
- 発熱や体のだるさを伴うことがある
高齢者の症状
- 前立腺の感染に伴って起こることが多く、排尿障害(おしっこの出にくさ)を伴う
- 症状が軽い場合もあり、だるさや微熱だけのこともある
原因
主な原因
- 細菌感染:尿道や前立腺の細菌が精巣に広がる(多くは性感染症による)
- ウイルス感染:おたふくかぜウイルス(ムンプスウイルス)が原因となることがある
- その他の感染:結核やブルセラ症など、まれな感染症が原因になることもある
- 非感染性の原因:外傷や自己免疫反応(体の免疫が誤って精巣を攻撃すること)もまれにある
リスク要因
- 性感染症にかかったことがある、または現在かかっている
- 多人数との無防備な性行為
- 前立腺炎や尿道炎の既往
- おたふくかぜのワクチン未接種
- 高齢で前立腺の病気がある
- 留置カテーテル(尿道に管を入れる処置)を受けている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 精巣に急な強い痛みがある場合はすぐに医療機関(泌尿器科)を受診してください。特に夜間や休日でも救急外来を受診しましょう。
- 発熱や悪寒があり、精巣の腫れが急速に進む場合
定期受診を予約すべき場合:
- 精巣の軽い腫れや違和感が続く場合(数日経っても改善しない)
- おたふくかぜの後で精巣の痛みや腫れが出た場合
- 排尿時の違和感やおりもの(尿道からの分泌物)がある場合
診断
医師が問診(症状の経過や性行為の有無など)と身体診察(陰嚢や精巣の触診)を行います。必要に応じて検査を追加します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査:細菌や白血球の有無を調べる
- 血液検査:炎症の程度や感染症の有無を調べる
- 尿道分泌物の検査:性感染症の原因菌を調べる
- 超音波検査(エコー):精巣の腫れや血流、膿のたまりなどを確認する
診察で予想されること
診察では陰嚢や精巣を優しく触れられることがあります。検査のために尿道に綿棒を入れることもありますが、痛みは一瞬です。結果がすぐに出るものと数日かかるものがあります。検査結果に基づいて適切な治療方針が決まります。
治療
治療は原因となる感染症によって異なります。細菌が原因なら抗生物質、ウイルスが原因なら安静と症状を和らげる治療が中心です。自宅でできるケアと医療機関での治療を組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- 安静にして横になり、精巣を冷やす(氷や冷たいタオルを陰嚢に当てる)
- サポーターやぴったりした下着で精巣を支えると痛みが和らぐことがあります
- 痛みや発熱には、市販の解熱鎮痛薬(かぜ薬の成分など)を用法用量を守って使用してもよいですが、必ず医師や薬剤師に相談してください
- 十分な水分をとり、排尿を促す
- 性行為は治療が終わるまで控える
医療治療
医師は細菌感染に対して、原因菌に合わせた抗生物質を処方します。ウイルス性の場合は安静と症状を和らげる薬(解熱鎮痛薬)が中心です。炎症が強い場合はステロイド薬が使われることもあります。痛みが強い場合は医療機関で痛み止めの注射をすることもあります。必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
まれに、精巣の炎症がひどく膿がたまった場合(精巣膿瘍)には、排膿(のうを出す)ための手術が必要になることがあります。また、精巣捻転(精巣がねじれる)と区別がつかない場合は、緊急手術で精巣の状態を確認することもあります。
この病気と共に生きる
治療中は痛みや腫れが続くことがあります。安静を第一にし、無理をしないでください。普段の生活に戻るまでには1~2週間かかることもあります。医師の指示に従い、通院や服薬を続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 治療中は激しい運動や長時間の立ち仕事を避ける
- 性行為は医師の許可が出るまで控える(感染が広がるのを防ぐため)
- 陰部を清潔に保つ
- 再発を防ぐために、性感染症の予防(コンドームの使用など)を心がける
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、免疫力を高めるためにバランスの良い食事をとりましょう。水分をしっかりとることが大切です。運動は症状が落ち着いてから徐々に再開してください。
精神的健康と心の健康
精巣の痛みや腫れは不安やストレスを引き起こすことがあります。治療に関する心配や将来の不妊への不安があるかもしれません。そのような気持ちは自然なことです。信頼できる人に話したり、医師に相談したりすることで気持ちが楽になることがあります。もし強い不安や抑うつ状態が続く場合は、こころの健康相談(厚生労働省の相談窓口など)を利用することもできます。
予防
完全に予防することはできませんが、リスクを減らすことはできます。性感染症を予防するためにコンドームを正しく使用すること、おたふくかぜの予防接種を受けることが効果的です。尿道や前立腺の感染症は早めに治療しましょう。
ワクチン
おたふくかぜワクチン(MRワクチンに含まれる)は、おたふくかぜによる精巣炎を予防する効果があります。日本では定期接種の対象となっていますので、接種状況を確認しましょう。
検診プログラム
特に定期検診はありませんが、性感染症のリスクがある方は泌尿器科で検査を受けることをおすすめします。また、おたふくかぜにかかった後は、精巣の症状に注意しましょう。
合併症
治療しない場合
- 精巣の萎縮(小さくなる)
- 慢性の痛みや不快感が続く
- 不妊(精子の質や数が低下する)
- 膿瘍(膿のたまり)ができる
- 感染が広がって敗血症(全身に細菌が回る重い状態)になることはまれ
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、ほとんどの精巣炎は数週間で改善します。痛みや腫れは治療開始後2~3日で徐々に和らぎます。ウイルス性のものも時間はかかりますが自然に治ることが多いです。ただし、炎症が強かったり治療が遅れたりすると、まれに不妊や精巣萎縮のリスクがあります。しかし、早期に治療を始めれば、これらの合併症を防げることがほとんどです。希望を持って治療に取り組みましょう。
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地域の団体
- 厚生労働省 性感染症に関する情報 ↗ · 日本
- 日本泌尿器科学会 ↗ · 日本
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月16日
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