Orthostatic hypotension
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
起立性低血圧(きりつせい ていけつあつ)とは、立ち上がったときに血圧が急に下がる状態のことです。血圧が下がると、脳に十分な血液が届かず、めまいやふらつきが起こることがあります。通常、立ち上がると血圧は少し上がりますが、この状態では逆に下がってしまいます。
重要な事実
- 立ち上がったときの血圧の急な低下が特徴です
- めまいや立ちくらみの原因になることがあります
- 多くの場合、生活習慣の改善で症状を和らげられます
- 重症の場合、失神(一時的に意識を失う)のリスクがあります
はい、特に高齢者ではよくみられる状態です。日本では高齢化に伴い、起立性低血圧を経験する人が増えています。
高齢者に多くみられますが、若い人や子どもでも起こることがあります。特に、寝たきりや水分不足、貧血のある人、糖尿病やパーキンソン病などの病気を持つ人に起こりやすいです。
症状
- 立ち上がった後に意識を失った(失神)
- 胸の痛みや強い息苦しさがある
- 激しい頭痛や、言葉がうまく話せない
- 顔や手足に麻痺(まひ)がある
- ⚠繰り返し失神する
- ⚠めまいが強くて立てない
- ⚠尿や便に血が混じるなど、出血の兆候がある
- ⚠日内科の診療時間内に受診できないほど症状が続く
一般的な症状
- 立ち上がったときに起こるめまいや立ちくらみ
- ふらつく感じや、目の前が暗くなる感覚
- 頭がぼーっとする、集中できない
- 疲れやすくなる
- 吐き気や首の後ろのこり
子供の症状
- 立ちくらみや、急にじっとしていられなくなる
- 学校や遊びの最中に「気持ち悪い」と言う
- 成長期の急な身長の伸びに伴って起こりやすい
高齢者の症状
- 立ち上がったときに足がもつれる、転びやすくなる
- 意識を失いそうになる(失神)
- だるさや集中力の低下
- 食事の後に症状が悪化することがある(食後低血圧)
原因
主な原因
- 立ち上がったときに血液が下半身にたまり、心臓に戻る量が減ることで血圧が下がる(自律神経の調節がうまくいかない)
- 脱水(水分が不足している)
- 薬の副作用(特に血圧を下げる薬や利尿剤など)
- 貧血(血液が少ない)
- 長期間寝たきりや安静にしていた
- 糖尿病やパーキンソン病などの神経系の病気
- アルコールの摂りすぎ
リスク要因
- 65歳以上の高齢
- 脱水症状を起こしやすい状態(暑い場所、下痢、発熱など)
- 糖尿病や心臓病などの慢性疾患
- 血圧調整に影響する薬を服用している
- アルコールを多く飲む習慣
- 長期間の安静や寝たきり
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 立ち上がって意識を失ったとき
- 胸の痛みや息苦しさがあるとき
- 激しい頭痛や体の片側が動かしにくいとき
定期受診を予約すべき場合:
- 立ちくらみやめまいが頻繁に起こる
- 日常生活に支障が出ている
- 転倒が増えた、または転びそうになる
- 自分の血圧が気になる
診断
医師が問診と血圧測定を行い、起立性低血圧かどうかを調べます。特に、寝た状態と立った状態の血圧を比較する検査が重要です。
行われる可能性のある検査
- 起立試験(寝た状態、立った直後、1分後、3分後の血圧を測る)
- 血圧の24時間モニタリング
- 血液検査(貧血や脱水の有無を確認)
- 心電図(心臓のリズムを確認)
- 自律神経機能検査(必要な場合)
診察で予想されること
診察は通常30分~1時間程度で、痛みや負担の少ない検査です。起立試験では、検査着に着替えてベッドに横になり、その後立ち上がって血圧を測ります。特に準備は必要ありませんが、朝の受診が勧められることがあります。
治療
起立性低血圧の治療は、原因となる病気や生活習慣を改善することが基本です。症状に合わせて、生活指導や薬物療法(薬を使った治療)が行われます。治療は医師の指導のもとで進めましょう。
自宅でのセルフケア
- 急に立ち上がらず、ゆっくりと動作を行う
- 水分をこまめに摂る(1日1.5~2リットルを目安に)
- 塩分を適度に摂る(医師の指示に従う)
- 弾性ストッキング(足を圧迫するストッキング)を着用する
- 寝るときは頭を少し高くする(枕の高さを調整)
- 長時間同じ姿勢で立たない、座る時は脚を組まない
- アルコールを控える
- 暑い場所を避ける
医療治療
症状が強い場合や生活改善だけでは十分でない場合、医師が薬物療法を検討することがあります。例えば、血圧を上げる働きのある薬や、水分を体内に保つ薬などがありますが、具体的な薬の名前や量は医師の判断で決まります。また、原因となる病気(貧血や内分泌疾患など)があれば、その治療も同時に行います。
手術が検討される場合
通常、起立性低血圧に対して手術が行われることはありません。
この病気と共に生きる
毎日の生活で、動作をゆっくりにすること、水分をしっかり摂ること、転ばないように注意することが大切です。特に朝起きるときや、トイレで立ち上がるときはゆっくりと。日常生活の小さな工夫で症状をコントロールできます。
生活習慣のアドバイス
- 朝起きたら、まずベッドの端に座って1~2分休む
- 入浴はぬるめのお湯にし、湯船から急に立ち上がらない
- 食事は一度にたくさん食べず、少量を何回かに分ける
- 弾性ストッキングを朝から着用する
- トイレでのいきみを避ける(便秘予防も大切)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に塩分は医師の指示に従って適度に摂りましょう。水分は十分に(ただし心臓や腎臓に病気がある場合は医師の指示に従う)。運動は、ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない範囲で行うと血圧調整に役立ちます。
精神的健康と心の健康
症状が続くと、外出が怖くなったり、不安やうつ気分になることもあります。「また気を失うかもしれない」という心配は自然な感情です。無理をせず、周囲のサポートを得ながら、自分に合ったペースで生活しましょう。必要なら医師やカウンセラーに相談することも大切です。
予防
完全に予防できるわけではありませんが、リスクを減らすことは可能です。十分な水分摂取、ゆっくりした動作、バランスの良い食事、適度な運動を心がけることで、症状の発生を抑えられます。また、原因となる薬の服用がある場合は、医師と相談して調整することも予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 転倒による骨折やけが
- 失神(一時的に意識を失う)
- 脳卒中や心臓病のリスク上昇(血圧の変動が原因となることがある)
- 日常生活の質の低下(外出を控えるなど)
長期的な見通し
起立性低血圧は適切に対処すれば、多くの場合症状をうまくコントロールできます。転倒を防ぎ、安全に生活するための工夫を取り入れれば、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。原因となる病気があれば、その治療と並行して進めることで、さらに見通しは良くなります。医師と協力して、自分に合った対策を続けていきましょう。
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最終更新: 2026年7月9日
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