動悸(どうき)— 受診のタイミングがわかる患者向けガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動悸とは、自分の心臓の拍動が普段より強く感じられたり、速く感じられたり、飛ぶような感覚がある状態のことです。心臓は通常、安静時に1分間に60~100回ほど規則正しく拍動しますが、動悸があるときは、その拍動が乱れたり、速くなったり、強くなったりします。多くの場合、心臓の病気ではなく、ストレスや生活習慣が原因で起こりますが、まれに心臓や循環器の病気が背景にあることもあります。
重要な事実
- 動悸を感じても、多くの場合は一時的で心配のいらないものです。
- 動悸の原因には、ストレス、カフェイン、運動、睡眠不足など、生活習慣が大きくかかわります。
- 胸の痛みや息苦しさ、気を失うなどの症状を伴う動悸は、すぐに119番で救急車を呼ぶ必要があります。
はい、とてもよくある症状です。人生の中で一度は動悸を感じる人は多く、特に20~40代の女性に多い傾向があります。
動悸は子どもからお年寄りまでどなたにも起こり得ます。不安を感じやすい人、疲れがたまっている人、カフェインやお酒を多く摂取する人に多くみられます。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感がある
- 意識を失う・倒れる
- 激しい息苦しさで息ができない
- 激しいめまいで立っていられない
- 痛みが腕・肩・あご・背中に広がる
- ⚠動悸が長く続く(数分以上の発作が繰り返す)
- ⚠安静にしても動悸がおさまらない
- ⚠軽いめまいや気が遠くなる感じを伴う
- ⚠運動中に動悸や胸痛が起こる
- ⚠心臓病・高血圧・糖尿病などの持病がある
- ⚠動悸の家族歴があり、突然死の既往がある
一般的な症状
- 心臓がドキドキする
- 脈が飛ぶ・脈が乱れる感覚
- 心臓がバクバクしたり、ドキンと強く打つ感覚
- 胸やのどに拍動が伝わって感じられる
- 心臓が止まりそうな不安感を伴うことがある
子供の症状
- 胸痛や動悸をうまく言葉にできず、「胸がドキドキする」「疲れやすい」と訴える
- 運動中に顔色が悪くなる・くらっとする
- 脈が速すぎたり、不規則に飛んだりする
- 集団生活で運動を嫌がるようになることもある
高齢者の症状
- 動悸の感覚があまりはっきりせず、めまいやふらつき、疲労感として現れることがある
- 脈がゆっくりすぎる・速すぎるなど、不整脈のサインとして現れることがある
- 突然の息切れや体のだるさを感じることもある
- 心臓の病気の既往がある人は、いつもと違う動悸に注意が必要
原因
主な原因
- ストレスや不安、緊張
- カフェイン(コーヒーやエナジードリンク)の取りすぎ
- お酒(特に大量飲酒や二日酔い)
- たばこ・ニコチン
- 激しい運動や過労
- 発熱や脱水
- 睡眠不足
- 貧血や甲状腺の病気
- ホルモンバランスの変化(妊娠・月経・更年期)
- 心臓のリズムの異常(不整脈)
リスク要因
- 心臓病や不整脈の既往がある
- 高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病がある
- 喫煙や大量飲酒の習慣がある
- 強いストレスや不安を抱えている
- 家族(特に近親者)に心臓病や不整脈の人がいる
- 十分な睡眠がとれていない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸痛・呼吸困難・失神を伴う場合は、ためらわずに119番で救急車を呼ぶ
- 動悸が止まらず、めまいや尿意、吐き気を伴う場合は、その日のうちに循環器内科か救急外来を受診する
- 緑色の痰や脚のむくみなど心不全を疑う症状がある場合は、すぐに受診する
定期受診を予約すべき場合:
- 動悸を頻繁に感じる(週に数回以上)
- 動悸で眠れない・仕事や生活に支障がある
- 心臓や血圧の持病がある人で、動悸の回数が増えた
- 生活習慣(カフェイン、睡眠不足など)を改善してもよくならない
- 健康診断で脈の異常や心電図異常を指摘された
診断
医師はまず、あなたの症状の詳しい話を聞き、脈を触診し、血圧を測ります。その後、必要に応じて心電図や血液検査などの検査を行い、動悸の原因となる心臓や循環器の病気を調べます。
行われる可能性のある検査
- 心電図検査(安静時の心臓の電気の動きを記録する検査)
- ホルター心電図検査(24時間以上、心電図を携帯し、ふだんの心臓の動きを調べる検査)
- 心臓超音波検査(エコー検査)(心臓の形や動きを画像で確認する検査)
- 血液検査(貧血や甲状腺の病気、心筋への負担をチェックする検査)
- 運動負荷検査(運動中の心電図と血圧を調べる検査)
診察で予想されること
診察では「いつ、どのくらい動悸がしたか」「そのとき何をしていたか」「他の症状はあるか」などを聞かれます。受診前の数週間、動悸が起きた日時と時間、そのときの状況や感覚をメモしておくと、診断がスムーズになります。動悸がその場で起きないこともあるため、必要に応じて携帯型の心電図やホルター心電図を勧められることもあります。
治療
動悸の治療は原因によって異なります。心配のない生活習慣由来の動悸であれば、生活の見直しやストレスケアで改善することが多いです。心臓の不整脈や甲状腺の病気などが原因の場合は、その病気に合わせた治療を行います。
自宅でのセルフケア
- カフェインをふくむ飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク)の量を減らす
- お酒はほどほどにし、特に一気飲みや連日の多量飲酒を避ける
- 禁煙を心がける(たばこは交感神経を刺激し、動悸を起こしやすくします)
- 十分な睡眠をとり、疲れをためない
- ストレスをため込まないように、散歩や趣味などリラックスできる時間を作る
- 呼吸をゆっくり整える・しているだけでも、動悸が落ち着きやすくなります
医療治療
動悸の原因となる不整脈や基礎疾患(高血圧、心不全、貧血、甲状腺機能亢進症など)が確認された場合、医師はそれに応じた治療を検討します。例えば、心臓の拍動を整える薬や、血圧をコントロールする薬、一部の不整脈には心臓のリズムを正常に戻すための手術(カテーテルアブレーションなど)が行われることもあります。薬の種類や治療法はあなたの状態に合わせて医師が説明しますので、自己判断で市販薬をのむのは止めてください。
手術が検討される場合
動悸の原因となる不整脈(特に頻脈性不整脈)に対して、薬が効きにくい場合や薬を避けたい場合に、「カテーテルアブレーション」という手術が行われることがあります。心臓の中に細い管を入れて、異常な電気信号を出す場所を焼灼する治療で、手術と聞くと怖く感じるかもしれませんが、一般的には回復が早い低侵襲な治療です。ただし、全ての人が手術の対象になるわけではありません。
この病気と共に生きる
動悸を感じてもパニックにならず、まずはその場で立ち止まり、ゆっくりと深呼吸をしてみましょう。動悸が起こった日時、持続時間、そのときの状況、一緒にあった症状を日記に残すと、受診の際に大変役立ちます。また、普段から自分の脈拍を測る習慣をつけると、変化に早く気づけます。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 睡眠時間を十分に確保する(理想は7時間程度)
- 仕事や家事で無理をしすぎない
- 定期的に軽い運動をする(歩く・ストレッチ・ヨガなど)
- カフェイン・アルコール・たばこを控える
- リラックスする時間を毎日少しでも作る
食事と運動
偏食をさけ、バランスのよい食事を心がけましょう。特に塩分は摂りすぎると血圧や心臓に負担をかけるため、うす味を意識するとよいです。運動はウォーキングなどの有酸素運動が心臓の健康に役立ちますが、激しい運動や無理な筋トレは動悸を誘発することがあります。持病がある人は、医師に相談してから運動の強さを決めましょう。
精神的健康と心の健康
動悸が続くと、「また起きたらどうしよう」という不安が強くなり、その不安自体がさらに動悸を引き起こす循環に陥ることがあります。これが繰り返されると、日常生活や睡眠に影響することもあります。心配な気持ちは一人で抱え込まず、家族や医療者に話すことが大切です。呼吸法や瞑想などのリラクゼーションも有効です。もし強い不安や抑うつが続く場合は、メンタルヘルスの専門家に相談するのも一つの方法です。
予防
動悸のすべてを予防することはできませんが、生活習慣を整えることで、多くの動悸は予防可能です。十分な睡眠、適度な運動、バランスのよい食事、ストレスケア、カフェインやアルコールの過剰摂取を避けることなどが基本です。
ワクチン
動悸を直接予防するワクチンはありませんが、インフルエンザや肺炎への感染は心臓への負担を増やすことがあるため、高齢者や心臓病のある人は、医師と相談のうえ定期の予防接種を検討することも勧められます。
検診プログラム
日本では健康診断(健診)で血圧測定や心電図検査を受けることができます。動悸の症状がなくても、年に1回はこれらの検査を受け、心臓や血管の健康状態をチェックすることをおすすめします。生活習慣病の早期発見が、動悸の予防にもつながります。
合併症
治療しない場合
- 心臓のリズムの異常(不整脈)を見逃すと、血の巡りが悪くなり、めまいや失神を起こすことがある
- まれに、重症の不整脈が原因で心臓が正しく血液を送り出せなくなり、突然心停止を起こすリスクがある
- 心房細動などの不整脈が続くと、心臓の中で血の塊ができやすくなり、脳梗塞(脳卒中)のリスクが高まることがある
- 動悸の背景にある心不全や心筋梗塞を治療せずに放置すると、症状が進行し、日常生活の質が低下する
長期的な見通し
動悸の原因の多くは一過性で、命にかかわらないものです。正しい検査と診断を受け、必要に応じて治療をすれば、多くの人は安心して普段の生活を送ることができます。心配な症状があるのに放置することは避け、早めに医療機関を受診することが何より大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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