子どものすい臓(膵臓)の病気:症状、治療、生活の工夫
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
すい臓(膵臓)は、胃のうしろにある小さめの臓器です。食べ物を消化する「消化液」と、血液の中の糖分(血糖)を調節する「インスリン」というホルモンを作っています。子どものすい臓に炎症や機能の低下が起こると、食べたものをうまく消化できず、栄養が体に取り込めなくなったり、血糖値が乱れたりすることがあります。こうしたすい臓の問題をまとめて「すい臓の病気」と呼びます。
重要な事実
- すい臓は、消化と血糖の調整を助ける重要なはたらきをしています。
- 子どものすい臓の病気はそれほど多くありませんが、誰にでも起こる可能性があります。
- 早期に気づいて、適切な治療や生活の工夫をすれば、多くの子どもは元気に日常生活をおくれます。
全体的には珍しい病気です。ただし、1万人に数人の割合で、子どもでもすい臓の炎症(急性すい炎)が起こることがあります。
どの年齢の子どもでも起こる可能性がありますが、特に思春期の子どもや、家族にすい臓の病気の人がいる場合に多くみられることが知られています。男の子と女の子の差はあまりありません。
症状
- 突然の激しいおなかの痛み(すぐに119番)
- 何度も吐き続ける(すぐに119番)
- 意識がもうろうとする(すぐに119番)
- 皮膚や白目が黄色くなる、黄疸がある(すぐに119番)
- ⚠おなかの痛みが続いている(当日中に受診)
- ⚠発熱が続く(当日中に受診)
- ⚠吐き気が強く、水分もとれない(当日中に受診)
- ⚠おしっこの量が減る(当日中に受診)
一般的な症状
- なかば上のあたりが痛む
- 吐き気やおう吐
- 食欲がない
- 便が白っぽくなる、または脂っぽくなる
子供の症状
- 言葉でうまく説明できないため、不機嫌になったり、ぐずったりする
- おなかを抱えて丸まる
- 食事を食べたがらない
- 体重がふえにくい
- 成長がゆっくりになる
高齢者の症状
- 背中に響くような強い痛み
- 脂肪の混ざった下痢
- 体重の減少
原因
主な原因
- ウイルスや細菌による感染
- おなかを強く打つけが
- 一部の薬の影響
- すい臓や胆管の形の先天的な異常
- 遺伝的な要因
- 原因がはっきりしないこともある
リスク要因
- 家族にすい臓の病気の人がいる
- 肥満や脂質の多い食事(ただし子どもでは少ない)
- 特定の自己免疫疾患をもっている
- けがや手術のあと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しいおなかの痛みがある
- 吐き続ける
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)がある
定期受診を予約すべき場合:
- 軽いおなかの痛みが続く
- 食欲がない
- 体重が増えない
- 便の色が気になる
診断
おなかの様子の診察に加えて、血液検査や尿検査、超音波(エコー)検査などを行い、すい臓の炎症の有無や原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(すい臓の酵素や血糖値のチェック)
- 腹部超音波(エコー)検査
- 必要に応じてCTやMRI
診察で予想されること
検査の多くは体に負担が少なく、痛みを伴いません。小さい子どもには、検査の前に説明をして安心させたり、眠るくすりを使ったりすることもあります。医師や看護師がそばでサポートします。
治療
治療の基本は、すい臓をしっかり休ませることです。入院して点滴で水分や栄養を補いながら、痛みや吐き気をやわらげる治療を行います。原因や症状に合わせて、医師が治療計画を説明します。
自宅でのセルフケア
- 十分に休む
- 水分を少しずつとる(医師に指示された量で)
- 吐き気があるときは無理に食べない
- おなかに負担をかけないようにする
医療治療
治療では、おもに点滴で栄養や水分を補います。炎症が強いときには、炎症を抑える薬を使うこともあります。また、痛みを和らげる薬も状況によって使われます。薬はすべて医師の指示に従って使い、勝手に止めたり増やしたりしないでください。
手術が検討される場合
まれに、すい臓のまわりに膿がたまって排液が必要だったり、胆管の形の異常を手術で修正したりすることがあります。また、胆石が原因の場合は内視鏡を使って石を取り除きます。手術が必要かどうかは、子どもに合った専門の医師が判断します。
この病気と共に生きる
すい臓の病気を経験したあとは、再発を防ぐために、毎日の生活リズムを整え、食事や睡眠に気をつけましょう。医師や管理栄養士に相談しながら、お子さんのペースに合った生活をつくってください。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に食事をとる
- 十分な睡眠をとる
- 暴飲暴食をさける
- おなかを強く打つようなスポーツは、体調や医師の許可に合わせる
食事と運動
すい臓に負担をかけすぎないように、脂質の多い食事をとりすぎないことや、よくかんで食べることが大切です。運動は、症状がおちついていれば、通常の遊びやスポーツは可能ですが、強い腹痛があるときは中止して休みましょう。具体的な食事や運動の量は、担当医に確認してください。
精神的健康と心の健康
慢性の病気や再発が心配な場合、子どもは不安やストレスを感じることがあります。親もまた心配になると思います。気持ちのつらさを一人で抱え込まず、学校の先生や保健室の先生、医師に話してください。子どもの気持ちに寄り添いながら、無理のない範囲で話し合うことが大切です。
予防
すべてのすい臓の病気を防ぐことはできませんが、おなかのけがに気をつける、感染症を早めに治療する、暴飲暴食をしないなどの心がけで、リスクを下げることができる場合もあります。
ワクチン
現在、すい臓の病気を直接防ぐワクチンはありません。ただし、感染症を原因とするすい臓の病気を防ぐためには、定期接種などで感染症自体を予防することが役立ちます。
検診プログラム
特に決まった検診はありません。ただし、家族にすい臓の病気の人がいる場合や、気になる症状がある場合は、かかりつけの小児科医に相談し、必要に応じて検査を受けることができます。
合併症
治療しない場合
- すい臓のはたらきが低下し、消化不良や栄養不良になる
- 血糖値を調節できなくなり、糖尿病になりやすくなる
- 炎症がくり返し起こり、慢性すい炎になる
長期的な見通し
適切な治療と生活の調整を受けた多くの子どもは、症状が治まり、ふだんの生活や学校生活に戻ることができます。中には長く治療や管理が必要な子どももいますが、現代の医療で多くのことはコントロールできます。あきらめずに、医師やチームと一緒に治療を続けていきましょう。希望は十分あります。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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