膵臓の病気と治療法のあらまし
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膵臓(すいぞう)は、胃のうしろにある小さめの臓器で、食べ物を消化するための消化液と、血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを作っています。この膵臓に炎症や腫瘍などが起こることで、さまざまな症状が出ることがあります。この記事では、膵臓の病気の治療法について、わかりやすく説明します。
重要な事実
- 膵臓は食べ物の消化と血糖コントロールに欠かせない臓器です。
- 膵臓の病気には、急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんなどがあります。
- 治療法は病気の種類や進行具合によって異なります。
- アルコールや喫煙、胆石などが膵臓の病気に関わることがあります。
膵臓の病気の中でも、急性膵炎は比較的よく見られます。慢性膵炎も増えていますが、膵臓がんはすべてのがんの中ではまれな部類です。とはいえ、早期の診断と治療が大切です。
膵臓の病気は大人に多く、特に40代以降で増えます。男性にやや多い傾向がありますが、女性でも発症します。アルコールを多く飲む人、喫煙する人、胆石がある人、糖尿病や脂質異常症のある人ではリスクが高くなります。
症状
- 突然の激しい腹痛や背中の痛み
- 繰り返す激しい嘔吐
- 高熱と悪寒(おかん)
- 顔色が真っ青になる、冷や汗
- 意識がもうろうとする
- ⚠皮膚や目が黄色くなった
- ⚠腹痛が続く、または何日も重くなる
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠便に血が混じる
一般的な症状
- みぞおちや背中の痛み(食事のあとに出やすい)
- 吐き気や嘔吐
- 食欲がない、体重が減る
- 便が白っぽくなる
- 皮膚や目が黄色くなる(黄だ)
- 発熱や倦怠感
子供の症状
- 腹痛(みぞおちやおへそのまわり)
- 吐き気や嘔吐
- 母乳や食事が十分に摂れない、体重が増えない
高齢者の症状
- 急に食欲が落ちる
- 体重の減少
- ぼんやりしたり、意識がはっきりしない
- 痛みがあまりはっきりしないこともある
原因
主な原因
- 胆石(たんせき)が胆管をふさぐ
- アルコールの大量摂取
- 自己免疫の異常(免疫が自分の膵臓を攻撃する)
- ウイルスや細菌の感染
- 遺伝子の変化による膵臓がん
- 原因がはっきりしない場合もある
リスク要因
- アルコールを多く飲む
- 脂質異常症(中性脂肪が高い)
- 家族に膵臓がんなどの人がいる
- 膵臓に外傷がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛や背中の痛みが突然起こった
- 吐き気や嘔吐が続いて水分が摂れない
- 皮膚や目が黄色くなった
- 高熱が出た
定期受診を予約すべき場合:
- みぞおちの痛みや不快感が何日も続く
- 食欲がない、体重が減ってきた
- 便の色や形が変わってきた
- 血糖値など健康診断で気になる所見がある
診断
膵臓の病気は、問診、血液検査、画像検査、組織検査などを組み合わせて診断します。まずは内科(消化器内科)を受診し、必要に応じて専門的な検査がすすめられます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(膵臓の酵素や血糖値、腫瘍マーカーを調べる)
- 腹部超音波(エコー)検査
- CT検査やMRI検査
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの内視鏡検査
- 膵臓の一部を採って調べる生検(せいけん)
診察で予想されること
検査には、数時間の絶食が必要なものもあります。また、内視鏡の検査ではのどに麻酔をしたり、鎮静剤を使うこともあるので、そのときは病院の指示に従ってください。検査は入院が必要なこともありますが、外来でおこなえるものも多くあります。結果が出るまで数日かかることがあります。
治療
膵臓の治療法は、病気の種類と重症度によってかわります。急性膵炎では入院して安静にし、点滴や痛みの管理をおこないます。慢性膵炎では症状を和らげ、栄養状態を保つことが大切です。膵臓がんの場合は、手術をはじめ、抗がん剤治療や放射線治療、緩和ケアなどを組み合わせて治療します。治療の選択肢について、担当医と十分に話し合いましょう。
自宅でのセルフケア
- アルコールを完全にやめる
- 禁煙する
- 脂っこい食事をひかえ、消化しやすい食事をとる
- 少量を何回かに分けて食べる
- 十分な水を飲み、脱水を防ぐ
- 腹痛や悪心など症状が変わったらすぐ記録する
医療治療
医師による治療の中心は、原因への対応と症状の管理です。急性膵炎では、点滴による水分補給、痛みを和らげる薬、吐き気を抑える薬などが使われます。慢性膵炎では、消化を助ける薬や、痛みをコントロールするための薬、血糖値を下げる治療などがおこなわれます。膵臓がんの場合、手術が可能な人は手術が第一選択になることがありますが、進行具合によって抗がん剤治療や放射線治療などが選ばれます。緩和ケアは、がんの有無にかかわらず、症状や苦痛を和らげるために治療と並行しておこなうこともあります。具体的な薬の名前や用量は担当医の指示に従ってください。
手術が検討される場合
手術が必要になるのは、胆石が原因の急性膵炎で胆石を取り除くとき、重症の急性膵炎で膵臓の周りにできた膿や壊死(えし)した組織を除くとき、慢性膵炎で膵管がつまって痛みが強いとき、そして膵臓がんや腫瘍を取り除くときなどです。手術の方法や時期は、状態を見ながら慎重に決められます。
この病気と共に生きる
膵臓の病気があると、日常生活で食事や体調管理に気をつけることが大切です。定期的に通院して経過を観察し、新たな症状があればすぐに医師に伝えましょう。家族や周囲の人に病気のことを伝えて、サポートを得ることも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 禁酒、禁煙を徹底する
- 食事は規則正しく、消化のよいものを選ぶ
- 適度な運動を続ける(激しすぎないウォーキングなど)
- 体重を管理し、肥満を防ぐ
- 安静が必要なときはしっかり休む
食事と運動
食事は、脂質が少なめでたんぱく質をほどよく含むものを、1日3回に分けてゆっくりとるのが基本です。膵臓の働きが弱まっていると消化が追いつかないことがあるので、何回かに分けて少量ずつ食べるのも方法です。運動は、体力に合わせて無理のない範囲で続けましょう。特に糖尿病を合併している場合は、医師や管理栄養士と相談しながら食事と運動を調整してください。
精神的健康と心の健康
膵臓の病気は、痛みや治療の長期化で不安や落ち込みを感じることがあるかもしれません。それは自然なことです。気持ちがつらいときには、ひとりで抱え込まずに、医師や看護師に相談したり、家族・友人に話したりしてください。必要に応じて、心のケアの専門家につなげることもできます。
予防
すべての膵臓の病気を完全に防げるわけではありませんが、リスクを減らすことはできます。禁酒、禁煙、バランスのよい食事、適度な運動、肥満の改善は、いずれも膵臓の健康に役立ちます。また、胆石が見つかった場合は、早めに治療することで急性膵炎を防げることがあります。
検診プログラム
一般の健診で膵臓の病気を早期に見つけるための特別な検診は、まだ多くは行われていません。ただし、家系に膵臓がんの人がいる場合や、糖尿病が新たに見つかった場合などは、医師に相談して定期的な画像検査を考慮することもあります。
合併症
治療しない場合
- 糖尿病を発症したり、血糖コントロールが悪化する
- 食べたものを十分に消化・吸収できず、栄養不良や体重減少が進む
- 膵臓の周りに感染や膿瘍(のうよう)ができる
- 内出血や消化管の閉塞が起こる
- 膵臓がんが進行する
長期的な見通し
膵臓の病気は治ることも多く、特に急性膵炎は適切な治療で回復する人がほとんどです。慢性膵炎や膵臓がんでも、医学の進歩により治療の選択肢が増えており、長くよい状態を保つことが可能になってきています。診断や治療の経過は人それぞれですが、あきらめずに医師と協力して治療に取り組むことが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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