膵臓の病気:受診のタイミング
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膵臓(すいぞう)は、胃の後ろにある細長い臓器で、食べ物を分解する消化液と、血糖(血液の中の糖)を調節するインスリンなどのホルモンを作っています。膵臓の病気には、急性膵炎(すいえん)、慢性膵炎、膵がんなどがあります。この記事では、膵臓の不調を示すサインと、医療機関を受診するべき場面について説明します。
重要な事実
- 膵臓の病気は、初期には症状が現れにくいことがあります。
- 背中まで続く上腹部の痛みは、膵臓の異常のサインのことがあります。
- 急性膵炎は命にかかわることがあるため、激しい痛みの場合はすぐに緊急受診が必要です。
膵臓の病気は、他の消化器の病気と比べると頻度は多くありません。急性膵炎は、日本人では年間10万人あたり約50人程度の発症とされ、中高年に多く見られます。
40歳以上の人、喫煙者、お酒を多く飲む人、肥満の人、家族に膵臓の病気の人がいる場合に多く見られます。
症状
- 突然の激しい上腹部の痛み(我慢できない、動けないほど)
- 腹痛とともに呼吸が苦しい
- 高熱と腹痛が同時にある
- 意識がもうろうとする
- 黄疸と高熱が同時にある
- ⚠吐き続けて水が飲めない
- ⚠激しい下痢や脱水のサイン(尿が少ない、めまいがする)
- ⚠黄疸がある(皮膚や目が黄色い)
- ⚠便に血が混じる
- ⚠数日間続く激しい腹痛
一般的な症状
- みぞおちや上腹部の痛み(背中や腰まで響くことがあります)
- 吐き気や嘔吐
- 食欲低下、体重減少
- 黄疸(おうだん:皮膚や目の白い部分が黄色くなる)
- 便が白っぽくなる、または脂っぽい
- 尿の色が濃くなる
子供の症状
- 膵臓の病気は子どもにはまれですが、おなかの痛み、吐き気、熱が続くことがあります。
- 繰り返す腹痛のために、食欲が落ちて発育に影響が出ることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、痛みをあまり感じず、意識の混乱や食欲低下だけのことがあります。
- 急な体重減少や黄疸が現れた場合は、早めの受診が必要です。
原因
主な原因
- 胆石(胆のうや胆管にできる石)によって膵管が詰まる
- 長期間のお酒の飲みすぎ(過度の飲酒)
- 血液中の脂肪(中性脂肪)が非常に高い
- ウイルス感染症
- 事故やけがによる損傷(外傷)
- 自己免疫性膵炎(体の免疫が膵臓を攻撃する)
- 遺伝的要因(家族歴)
リスク要因
- 膵臓がんの家族歴
- お酒の多飲
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛が突然始まった(すぐに119番、または救急外来を受診)
- 黄疸が現れた(すぐに受診)
- 嘔吐が続く、または排尿が極端に少ない
- 自分で水分を飲めない
定期受診を予約すべき場合:
- みぞおちの痛みが数週間続く
- 食欲が落ちて体重が減ってきた
- 便の色や形の変化が続く
- 血糖値が急に高くなった(または糖尿病のコントロールが悪くなった)
診断
医師は問診と身体診察、血液検査を行い、必要に応じて画像検査で膵臓の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(膵臓から出るアミラーゼ・リパーゼなどの酵素を調べます)
- 腹部超音波(エコー)検査
- CT検査
- MRI・MRCP(膵臓と胆管を詳しく映します)
- 必要に応じて内視鏡と生検(組織の一部を採取して調べます)
診察で予想されること
消化器内科または消化器外科の受診がすすめられます。検査結果によっては入院して治療する場合もあります。痛みを和らげる薬などは医師が処方しますので、市販薬に頼らず医療機関に相談してください。
治療
原因と重症度によって治療は異なります。急性膵炎では入院して安静にし、点滴、絶食、痛みの管理が中心です。慢性膵炎では、症状を緩和し、栄養状態を保ちながら進行を防ぎます。
自宅でのセルフケア
- アルコールを完全に控える
- 禁煙する
- 食事は少量を何回かに分けて食べる
- 水分を十分にとる(医師に指示された量)
- 自己判断で市販薬を服用せず、医師に相談する
医療治療
治療には、膵臓の消化酵素を補う薬、糖尿病がある場合の血糖を調整する薬、痛みを和らげる薬などが使われます。薬の名前や量は医師が患者さんの状態に合わせて決めます。自己判断で服用するのはやめましょう。
手術が検討される場合
胆石が原因の場合は、胆のう摘出手術が検討されることがあります。膵がんや大きな腫瘍がある場合は、外科的に切除する治療が選択肢となることがありますが、専門の医師と十分に話し合ったうえで決めます。
この病気と共に生きる
慢性膵炎や膵臓の病気がある場合は、定期的な外来通院が必要です。体調の変化を記録し、受診時に医師へ伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 節酒(できれば禁酒)
- 体重を適正に保つ
- ストレスをためない
食事と運動
食事は脂肪が少なく、たんぱく質や野菜をバランスよくとりましょう。激しい運動は避け、医師に相談しながらウォーキングなどの軽い運動を続けるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや食事制限は心理的な負担になることがあります。不安や落ち込みがある場合は、遠慮なく医療者に相談してください。家族や友人に話すことも気持ちの整理に役立ちます。
予防
すべての膵臓の病気を予防できるわけではありませんが、禁煙・節酒・適正体重の維持・バランスの良い食事によって、リスクを下げることができます。
検診プログラム
家族に膵臓の病気の人がいるなど、高リスクの方は、定期的な画像検査がすすめられることがあります。医師と相談して決めましょう。
合併症
治療しない場合
- 急性膵炎が重症化すると、命にかかわることがあります
- 慢性膵炎が進行すると、糖尿病を発症しやすくなります
- 食事の消化吸収が悪くなり、栄養不良や体重減少が進みます
- 膵臓がんのリスクが高まることがあります
長期的な見通し
早期に発見して治療を始めれば、多くの膵臓の病気は症状を和らげ、進行を遅らせることができます。専門医の指導を守りながら、希望を持って治療に取り組むことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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