膵臓がんとは?—知っておきたい基礎知識と患者さんへのガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膵臓は、食べ物を消化するための消化液や、血糖を調整するインスリンというホルモンを作る臓器です。膵臓がんとは、その膵臓の細胞ががん化してできる悪性の腫瘍(悪性腫瘍)のことです。早期には症状が出にくく、発見されたときには進行していることも少なくありません。
重要な事実
- 初期のうちはほとんど症状がないことが多く、健康診断で偶然見つかることもあります
- 治療は、手術・薬物療法(抗がん剤など)・放射線療法などを組み合わせて行います
- 気になる症状がある場合は、ためらわずに医師に相談することが早期発見につながります
日本では年々増加傾向にあるがんで、厚生労働省の統計によると、年間数万人が新たに診断されています。全部のがんの中では多くはありませんが、決して珍しい病気ではありません。
50歳以上で多く、特に60代から70代に多く見られます。喫煙習慣がある方、過度の飲酒をされる方、慢性膵炎や糖尿病を持つ方、家族に膵臓がんの方がいる方はリスクが高まることがあります。ただし、誰にでも起こり得る病気です。
症状
- 突然の激しい腹痛や腰背部痛が続く
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 黄疸に加えて高熱が出る
- 吐血や下血がある
- ⚠皮膚や白目が黄色くなっている(黄疸)
- ⚠みぞおちの痛みが続く
- ⚠急に体重が減った
- ⚠食欲がなく、吐き気や嘔吐が続いている
一般的な症状
- 初期にはほとんど症状が現れないことが多い
- 腹痛や腰背部の痛み
- 皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)
- 体重の減少
- 食欲不振や消化不良
- 吐き気や嘔吐
- 新たに糖尿病と診断された、または血糖コントロールが悪化した
子供の症状
- 子供に膵臓がんができることは非常にまれです。
- ごくまれに遺伝性の病気が関係して発症することがありますが、腹痛や黄疸など、大人と同じような症状が現れることがあります。
- 子供の腹痛で膵臓がんを心配する必要はほとんどありませんが、長く続く症状があれば小児科で相談してください。
高齢者の症状
- 高齢者では、特に体重減少や食欲不振、疲れやすさなどの症状が目立ちやすくなります。
- 黄疸や腹痛が現れることもありますが、腰の痛みや背中の痛みとして感じることもあります。
- 高齢の方は体力が落ちやすいため、症状が出たときには早めに受診することが大切です。
原因
主な原因
- 膵臓がんの原因はまだ完全にはわかっていません。
- 細胞の遺伝子に変化が起こり、がん細胞が増えてしまうと考えられていますが、そのきっかけは人によって異なります。
- はっきりした単一の原因はないため、多くの人は特別な理由がなくても発症し得る病気です。
リスク要因
- 過度の飲酒
- 慢性膵炎(膵臓に長い間炎症がある状態)
- 家族歴(血縁者に膵臓がんの人がいる)
- 加齢(50歳以上)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚や白目が黄色い(黄疸)
- 強い腹痛や背中の痛みがある
- 急に体重が減った
- 吐き気や嘔吐が続き、食事や水分が取れない
- お腹が張って息苦しい
定期受診を予約すべき場合:
- 食欲不振や消化不良が続く
- 腹部になんとなく違和感がある
- 血糖値が急に上がった、もしくは血糖コントロールが悪くなった
- 便の色が白っぽくなった
診断
膵臓がんの診断は、血液検査や画像検査、組織の採取などを行い、総合的に判断します。まずはお腹の状態を詳しく調べるための検査が行われ、必要に応じてより詳しい検査に進みます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(腫瘍マーカーや膵臓の機能を調べる検査を含む)
- 腹部超音波検査(お腹の表面から超音波で膵臓を観察)
- CT検査(コンピューター断層撮影)
- MRI検査(磁気を使って詳しい画像を作る検査)
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
- 超音波内視鏡下生検(内視鏡に付いた超音波で膵臓を観察し、組織を取る検査)
診察で予想されること
まずは身体の状態を確認しながら、血液検査や腹部超音波検査を行うことが多いです。その結果、膵臓の異常が疑われれば、CTやMRI、内視鏡を使った精密検査へと進みます。検査には時間がかかることもありますが、医師が一つずつ説明しながら進めてくれます。結果を待つ間は不安もあるでしょうが、どうぞ医療チームに相談してください。
治療
治療は、がんの進行度(ステージ)、本人の年齢や体力、持病の有無などを考慮して、医師をはじめとする多職種のスタッフが集まって方針を立てます。手術、薬物療法、放射線療法、緩和ケアなどを組み合わせて治療することが一般的です。治療方針についてわからないことや不安なことは、遠慮なく医療チームに伝え、納得いくまで話し合うことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 治療中は体調を優先し、無理をしない
- 禁煙を心がける
- お酒は控えめにする
- バランスの良い食事をとる
- 十分な睡眠と休息をとる
- 気になる症状や変化があればすぐに医療者に伝える
医療治療
進行度や体の状態に応じて、手術、薬物療法(抗がん剤などの薬を使う治療)、放射線療法を単独または組み合わせて行います。がんを縮小させたり、進行を抑えることを目指す治療です。また、痛みや吐き気などのつらい症状を和らげる緩和ケアも、治療の初期から大切な選択肢のひとつです。
手術が検討される場合
がんが膵臓の中だけにとどまっていて、周りの血管やほかの臓器に広がっていない場合は、手術でがんを取り除ける可能性があります。ただし、多くの場合、発見されたときには進行していることが多く、手術ができるとは限りません。手術を受けるかどうかは、担当医と詳しく相談して決めます。
この病気と共に生きる
膵臓がんの治療後は、体力を回復することが大切です。急に元通りになろうとせず、毎日の生活リズムを整えながら、少しずつ活動量を増やしていきましょう。痛みやだるさ、食欲がないときは我慢せずに伝えてください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙や節酒を心がける
- 医師と相談しながら、無理のない範囲で体を動かす
- ストレスを一人で抱え込まず、家族や専門家に話す
- 定期的に通院し、検査を続ける
食事と運動
栄養状態を保つことがとても大切です。消化に良いものを、無理のない量で少しずつ食べるようにしましょう。食欲がないときは、管理栄養士に相談することで工夫できることもあります。運動は、散歩や軽い体操など、体力に合わせてできる範囲で行うことが勧められます。
精神的健康と心の健康
がんだと知らされたときの不安や恐怖、気持ちの落ち込みは自然な反応です。無理に明るく振る舞う必要はありません。気持ちを言葉にすることで心が軽くなることがあります。必要であれば、心理の専門家やカウンセラーに相談するのも良い方法です。
予防
膵臓がんを完全に予防する方法は、まだ見つかっていません。しかし、喫煙や過度の飲酒を控えること、バランスの良い食事、適度な運動を心がけ、健康的な体重を保つことは、がん全体のリスクを下げるために有効とされています。糖尿病や慢性膵炎などの持病がある場合は、適切に治療を続けることも予防につながる可能性があります。
検診プログラム
一般的な健康診断で膵臓がんの検診を全員に行うことはまだ広く行われていません。しかし、家族歴がある方や、かかりつけ医が高リスクと判断した方は、画像検査(CTや超音波など)を受けることがあります。気になる方は、健康診断の結果を持って医師に相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- がんが進行して、肝臓や腹膜など他の臓器に広がる(転移する)
- 黄疸(おうだん)が悪化して皮膚のかゆみや全身のだるさが強くなる
- 膵臓の周りの血管や消化管を圧迫し、痛みや食べ物の通りづらさが現れる
- がん性腹膜炎(がん細胞がお腹の内側に広がり炎症を起こす)
- 体重減少や栄養不良が進み、全身の体力が低下する
長期的な見通し
膵臓がんは早期発見が難しいがんですが、治療法は進歩しています。手術で取り切れる場合は根治が期待できることもありますし、進行していても薬物療法や放射線療法との組み合わせで、元気な時間を長く保つための選択肢が増えてきています。あきらめずに、医療チームと一緒に自分に合った治療やケアを選んでいくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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