骨盤内炎症性疾患(PID)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
PIDは、細菌が子宮や卵巣、卵管など女性の骨盤の中にある臓器に感染し、炎症を起こす病気です。主に、膣(ちつ)から子宮や卵管へ細菌が上っていくことで起こります。
重要な事実
- 主な原因は性感染症で、クラミジアや淋菌などの細菌です。
- 早期に正しい治療を受ければ、多くの場合治ります。
- 放置すると、将来妊娠しにくくなったり、慢性的な痛みが残ったりすることがあります。
性感染症の中では比較的多く見られる病気の一つです。ただし、症状が出にくいこともあり、実際の患者数ははっきりしていません。日本では厚生労働省が性感染症の発生状況を調査しています。
主に女性の病気です。性行為の経験がある若い世代に多いですが、閉経後の女性でも、またまれに子どもでも起こる可能性があります。
症状
- 突然の強い下腹部痛
- 高熱と悪寒(おかん)
- 意識がぼんやりする、または失神する
- 性器からの大量出血
- ⚠普段と違うおりものの増加や悪臭
- ⚠排尿時の痛み
- ⚠性行為時の痛み
- ⚠月経と関係ない出血
- ⚠下腹部の持続する痛み
一般的な症状
- 下腹部の痛み(軽いものから強いものまで)
- おりものの増加や色の変化、悪臭
- 月経以外の出血
- 性行為時の痛み
- 排尿時の痛み
- 発熱、だるさ
子供の症状
- 小児ではほとんど見られませんが、下腹部の痛みや発熱、おりものの異常があれば、ためらわずに小児科を受診しましょう。
高齢者の症状
- 閉経後の女性にも起こることがありますが、似た症状の病気も多いため、婦人科で詳しく調べてもらうことが大切です。
原因
主な原因
- クラミジアや淋菌などの性感染症を起こす細菌
- そのほかの細菌が膣から子宮や卵巣に感染する
- 出産や流産、子宮内の処置の後に細菌が入る場合もある
リスク要因
- 新しい、または複数の性的パートナーがいる
- 性感染症の既往がある
- 過去にPIDになったことがある
- コンドームを使わない性行為
- 腟洗浄(ダウチング)をする
- 子宮内避妊具(IUD)を使用している場合、装着直後にリスクが高まることがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下腹部の強い痛みや高熱がある
- 性器からの出血が止まらない
- 吐き気や嘔吐を伴う腹痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- おりものの変化や性交時の痛みなど、気になる症状がある
- 性感染症の検査を受けたことがなく、心配がある
- 過去にPIDと診断されたことがあり、定期的なフォローアップが必要
診断
まず問診で、症状や月経、性行為に関することを医師が確認します。必要に応じて、内診(ないしん)という、医師が手で子宮や卵巣の状態を確認する診察や、超音波検査などが行われます。
行われる可能性のある検査
- 内診(子宮や卵巣の圧痛の確認)
- 子宮頸管や膣の分泌物を調べる検査
- 尿検査、血液検査
- 超音波検査(エコー)
診察で予想されること
内診は少し不快に感じることもありますが、短時間です。検査結果が出るまで数日かかることもあります。医師に不安や痛みを伝えながら進められます。
治療
治療の中心は抗菌薬(こうきんやく)です。医師があなたの状態に合わせて薬を選び、指示された期間飲み続けることがとても大切です。症状が重い場合は、入院して点滴などの治療が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 安静にして、体を冷やさないようにする
- 下腹部の痛みには、カイロなどで温める(炎症が強いときは避ける)
- 水分を十分に取る
- 治療が終わり医師が許可するまで、性行為を控える
- おりものの状態を観察し、清潔を心がける
医療治療
医師の処方による抗菌薬を、指示どおりに飲み切ります。性感染症が原因の場合は、パートナーも感染している可能性が高いため、一緒に治療を受けないと再び感染してしまいます。パートナーの治療中も性行為は控えましょう。
手術が検討される場合
薬で改善しない膿瘍(のうよう、膿のたまった袋)やチューブ状の変化がある場合は、腹腔鏡手術などで取り除いたり、排液したりすることがあります。
この病気と共に生きる
治療中は、体を休めることを優先しましょう。仕事や学校を休むことも大切です。症状が落ち着いても、薬を勝手にやめず、医師の指示に従って経過を見ます。
生活習慣のアドバイス
- 定期的に婦人科を受診する
- 性行為では、コンドームを正しく使う
- パートナーと治療について話し合い、お互いに協力する
- タバコを吸う場合は、できるだけ控える(感染のリスクを上げることがあります)
食事と運動
回復期には、栄養バランスのよい食事と十分な睡眠を心がけましょう。体調が落ち着いたら、ウォーキングなどの軽い運動で血流をよくすると良いです。炎症が治るまでは、激しい運動や水泳は避けてください。
精神的健康と心の健康
PIDは妊娠やからだの状態に影響することがあり、不安や落ち込みを感じることもあります。それは自然な気持ちです。一人で抱え込まず、気持ちを言葉にして誰かに話してみてください。
予防
はい、多くの場合予防できます。性感染症を防ぐことが最も大切で、コンドームを正しく使うことや、性感染症の定期検査が有効です。腟洗浄を控えることも予防につながります。
検診プログラム
性感染症の定期検査(クラミジアや淋菌など)を、特に新しいパートナーができたときや心配があるときは受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 慢性骨盤痛(長く続く下腹部の痛み)
- 不妊症(卵管の炎症による癒着などが原因)
- 子宮外妊娠(卵管に受精卵が着床してしまう)
- 骨盤内膿瘍(膿がたまること)
長期的な見通し
早期に適切な治療を受ければ、多くの場合は完治します。もし治療が遅れてしまっても、今から医療につながり、必要なケアと経過観察を続けることで、将来のリスクを減らすことができます。希望を持って、あなたのペースで治療に向き合いましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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