胸膜炎(プレウリシー)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
胸膜炎は、肺を包む2枚の薄い膜(胸膜)に炎症が起こる病気です。この膜が炎症を起こすと、呼吸や咳のたびに痛みが生じることがあります。胸膜炎自体が一つの病気というよりも、他の病気のサインとして現れることが多いです。
重要な事実
- 胸膜炎は肺を取り囲む胸膜という膜の炎症です。
- 最も多い症状は、呼吸や咳で悪化する鋭い胸の痛みです。
- 原因はウイルスや細菌の感染、肺の病気、けがなど様々です。
- 適切な治療で多くの場合、完全に回復します。
胸膜炎は比較的よく見られる症状で、胸の痛みで医療機関を受診する方の約5人に1人の割合で胸膜炎が関係していると言われています。ただし、正確な頻度は原因となる病気によって異なります。
胸膜炎はどの年齢でも起こる可能性がありますが、成人にやや多く見られます。特に、肺の感染症や自己免疫疾患、肺の手術後などに発症しやすくなります。
症状
- 急に強い息苦しさが現れた
- 唇や顔色が青白い、または紫色になっている
- 血を吐いた
- 胸の激しい痛みで動けず、冷や汗が出る
- 意識がもうろうとしている
- ⚠高熱が続いている
- ⚠胸の痛みが徐々に強くなっている
- ⚠咳や痰が増え、息苦しさがある
- ⚠安静にしても息苦しさが改善しない
一般的な症状
- 呼吸や咳、くしゃみで悪化する鋭い胸の痛み
- 胸の痛みのために浅く速い呼吸になる
- 息苦しさ
- 発熱や悪寒
- 空咳(乾いた咳)
- 肩や背中に響く痛み
子供の症状
- 子どもでは胸の痛みをうまく言葉にできず、機嫌が悪くなったり、ぐずったりすることがあります。
- 呼吸が速くなったり、息をするときに「ゼーゼー」と音がすることがあります。
- 発熱や食欲不振が見られることもあります。
高齢者の症状
- 高齢者では痛みを感じにくく、息苦しさや全身の倦怠感だけが目立つことがあります。
- 意識のぼんやりや、いつもより動かないなどの変化が見られることもあります。
- 発熱がなくても肺炎などの感染症を伴っていることがあるため注意が必要です。
原因
主な原因
- ウイルスや細菌による感染症(かぜ、インフルエンザ、肺炎など)
- 肺の血栓(肺塞栓症)
- 自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)
- 肺や胸のけが
- がん(肺がん、胸膜中皮腫など)
- 特定の薬剤の副作用
- 腎不全などによる体液のたまり
リスク要因
- 最近、呼吸器感染症にかかったことがある
- 肺や心臓の病気の治療歴がある
- 免疫機能が低下している
- 長時間の安静や手術後で血栓のリスクがある
- アスベスト(石綿)にさらされる仕事や環境にいたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや息苦しさが突然現れた場合
- 呼吸のたびに胸が痛み、深呼吸ができない場合
- 発熱とともに胸の痛みがある場合
- 咳嗽や痰の色が変わった場合
定期受診を予約すべき場合:
- 胸の痛みが数日続いているが、急に悪化はしていない場合
- 風邪の後に、胸の違和感や痛みが残る場合
- 以前から胸の痛みがあり、その原因を調べたい場合
診断
医師は、あなたの症状や病歴を詳しく伺い、聴診器で呼吸音や胸膜のこする音を確認します。その上で、胸膜炎の原因を調べるための検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査:肺や胸膜の状態を確認します。
- 血液検査:炎症の程度や感染、自己免疫疾患の有無を調べます。
- 胸部CT検査:より詳しく胸膜の様子や肺の状態を確認するために用います。
- 胸水検査:胸膜に水がたまっている場合、針で採取して原因を調べます。
- 超音波(エコー)検査:胸水の有無や量を確認するために行うことがあります。
診察で予想されること
診断には数日かかることもあります。最初に問診と聴診、胸部X線検査を行い、必要に応じて追加の検査が行われます。検査結果に基づいて、胸膜炎の原因となった病気に合わせた治療が始められます。
治療
胸膜炎の治療は、炎症そのものに対する治療と、その原因となった病気への治療の両方が行われます。原因が感染症なら抗菌薬や抗ウイルス薬、自己免疫疾患なら免疫を調整する薬などが検討されます。胸の痛みを和らげるために、消炎鎮痛薬を用いることもありますが、すべての薬は医師の処方に従って使用することが大切です。
自宅でのセルフケア
- 安静を保ち、無理をしないこと
- 痛みがある間は、深呼吸や咳をするときに体を支えて楽な姿勢をとる
- 十分な水分をとり、部屋の空気を加湿する
- 喫煙を避ける
- 痛みが強いときは、無理に動かずに休む
医療治療
胸膜炎の治療は原因により異なります。感染症が原因の場合は抗菌薬や抗ウイルス薬、炎症を抑える薬、痛みを和らげる薬が使われます。胸水が大量にたまっている場合は、針で抜く処置(胸腔穿刺)が行われることもあります。治療は原因に応じて数週間から数か月続くことがありますが、医師の指示を守ることが回復への近道です。
手術が検討される場合
胸水が感染を起こして膿がたまった場合(膿胸)や、薬で治らない場合は、胸水を排液したり、胸膜を接着させる手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、原因となった病気や胸水の状態によって医師が判断します。
この病気と共に生きる
胸膜炎の治療中は、体を休めることが何より大切です。痛みが治まっても、肺が完全に回復するまでには時間がかかることがあります。焦らず、医師の指示に従って回復を待ちましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙し、副流煙も避けること
- 規則正しい睡眠と十分な休息をとる
- 痛みが引いた後は、医師の許可を得てから徐々に運動を再開する
- 感染症予防のため、手洗い・うがいを心がける
- 肺炎球菌やインフルエンザの予防接種を検討する
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、体の回復に必要な栄養をとりましょう。特に、たんぱく質やビタミンを含む食品(肉、魚、卵、大豆製品、野菜、果物)を意識して摂るようにしてください。運動は主治医と相談しながら始め、まずは短い散歩などから無理のない範囲で行いましょう。
精神的健康と心の健康
長引く胸の痛みや息苦しさは、不安やストレスを感じさせるかもしれません。また、原因が重大な病気である可能性を心配する気持ちは自然なことです。そのようなときは、一人で抱え込まず、医師や看護師、家族や友人に気持ちを話すことが大切です。
予防
胸膜炎そのものを完全に予防することは難しいですが、原因となる感染症や血栓症のリスクを減らすことで、発症しにくくすることができます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌の予防接種は、肺の感染症による胸膜炎を防ぐのに役立つことがあります。予防接種の対象や時期については、かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
特に定期的な検診は不要ですが、胸の痛みや息苦しさが続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 胸水(胸膜と肺の間に液体がたまる状態)が増えて息苦しさが強くなる
- 胸水が感染して膿胸(膿が胸膜腔にたまる病気)になる
- 肺の周りの膜が瘢痕(はんこん)となって厚くなり、肺の広がりが制限される
- 原因となる病気(肺炎、肺塞栓、がんなど)が進行する
長期的な見通し
胸膜炎の多くは、原因を適切に治療すれば数週間で改善します。感染症による胸膜炎は、抗菌薬などで完治することがほとんどです。原因となる病気が重い場合でも、早く診断して治療を始めれば良い経過が期待できます。安心できるよう、医師とよく相談し、治療に前向きに取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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